「99.9%の嬉しさと0.1%の悔しさ」 7年前を知るオリックス“元鉄腕”広報が見た歓喜の時

2021.10.28(木) 12:40 Full-Count 橋本健吾
オリックスの広報を務める佐藤達也氏(写真は選手時代)※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
オリックスの広報を務める佐藤達也氏(写真は選手時代)※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

2018年に現役を引退しオリックスの広報を務める佐藤達也氏

 オリックスが1996年以来、25年ぶりのリーグ制覇を果たした。京セラドームで千葉ロッテの敗戦を見届け首脳陣、ナインたちは喜びを爆発させた。歓喜の瞬間も束の間、メディアの対応に大忙しだったのは佐藤達也氏。2018年に現役を引退し、広報として今年で3年目を迎える“元鉄腕”は「選手たちと同じ気持ちになって応援していました」と喜びを口にする。

 現役時代はパ・リーグ最強のリリーフエースとして活躍。守護神・平野佳寿に繋ぐ“8回の男”として2013、14年は2年連続で最優秀中継ぎに輝いた。怪我もありプロ生活は7年間。活躍した期間は短かったが、魂の込もった投球でファンを沸かせた。2019年から球団広報に転身し、裏方としてチームを支えている。

 今年は何といってもエースの山本由伸投手の存在が大きかった。18勝を挙げるなど「投手5冠」の活躍でチームを引っ張り、25日の楽天との最終戦では打者を圧倒する完封勝利でVを引き寄せた。当日はベンチ裏で選手のコメント取りなどの準備をしていた佐藤氏も「自分はなにもできませんが『最後、頑張るぞ』と同じ気持ちで応援していました」と、陰ながらエールを送っていた。

 ブレークする姿を一番近くで見ていた。引退した2018年に高卒2年目の山本は54試合に登板し4勝2敗、32ホールド、防御率2.89の成績を残した。新たに“8回の男”を引き継ぐ形となった際には「どんな感じで投げていますか?」とアドバイスを求められることもあったという。

 キャリア晩年はファームで過ごすことが多く、ルーキーイヤーの山本が投げるボールは鮮明に覚えていた。後輩から「タツさん」と慕われる謙虚な男は「由伸は入ってきたときから凄かったので。技術も含めて完成された投手でしたし『俺なんかに聞かなくても凄い投手はいっぱいいるよ、心配しなくても普通に投げていれば大丈夫』と言うしかなかった。今の姿にも驚くことはないですね」と当時を振り返る。

「辛いと思ったことは一度もない」「恩返しと言える程じゃないですが、少しでも役に立てれば」

 現役時代に一度だけ優勝争いを経験している。2014年、福岡ソフトバンクと最後の最後まで争ったがあと一歩のところで逃し、涙を飲んだ。その後、チームは昨年まで6年連続でBクラスに低迷した。今年も千葉ロッテと最後まで死闘を繰り広げ、7年前の雪辱を果たしてくれた。

 当時を経験し同期入団で現役を続けているの安達了一内野手、海田智行投手の2人だけ。「若い子たちも頑張っているけど凄いこと。安達は病気もあったし、海田も怪我で辛い時期があったけど2人ともそういった(優勝)経験をしてくれて良かった。本当に99.9%は嬉しいです、残り0.1%は自分ができてないのは悔しかったかなと(笑)。でも、本当に凄いって言葉しかでないですよ」と“同士”を労う。

 この後もクライマックスシリーズ、そして日本シリーズが待っている。今年のオフは選手のメディア露出も増えるのは確実で広報になって最も忙しい1年を過ごすことになりそうだ。

「辛いと思ったことは一度もないんです。やりたくても簡単にできる仕事じゃないですし。恩返しと言える程じゃないですが、少しでも球団だったり選手の役に立てれば一番です」

 現役時代はオフ期間も投げ続け、休むことを知らない“鉄腕”として知られた。強い責任感、謙虚さ、人徳。広報になってもその姿勢が変わることはない。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

記事提供:Full-Count

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