福岡ソフトバンクが1位指名、王貞治会長も「素晴らしい豪速球投手」と絶賛
22分間。会見場の椅子に座り、静かに前を向いていた。11日に行われた「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」。福岡ソフトバンクから単独1位指名を受けたノースアジア大明桜の最速157キロ右腕・風間球打投手は、会見が始まるまでプロで活躍する姿を見据えていた。覚悟を決めたような表情で言う。
「福岡ソフトバンクのユニホームを着て、活躍する姿をイメージして待っていました」
同郷である輿石重弘監督との「ドラフト1位になる」という夢を叶えた。高校から親元を離れ、秋田の地に足を踏み入れた右腕は、3年夏の秋田大会で、世代最速とされる157キロを計測。市和歌山・小園健太(横浜DeNA1位)、高知・森木大智(阪神1位)と並んで「高校ビッグ3」と呼ばれる逸材に成長した。
1、2年時には、投手コーチだった尾花高夫氏(現東京ヤクルト2軍投手チーフコーチ)に指導を受け、制球力が増した。さらに冬場の走り込みで、代名詞の直球に磨きがかかった。事前に指名することを公表していた福岡ソフトバンクの王貞治会長も「素晴らしい素質を持った豪速球投手」と惚れ込んでいた。
普段はチームのムードメーカー、サプライズの母に「可愛かった」とコメントも
ただ、マウンドでの気迫のこもった投球とは裏腹に、チームメートが語る風間は「面白いタイプ」。学校では、仲間を笑わせるムードメーカーで、試合中もエースとして引っ張るだけでなく、常に味方投手に声をかけていた。
この日も、会見が始まった当初は緊張した面持ちだったが、サプライズでオンライン画面に登場した母・今日子さんの顔を見ると頬を緩めた。報道陣に対し「久しぶりに見たので可愛らしかった」と笑わせるなど、素の一面も見せた。
今日子さんと輿石監督の願いはひとつ。「愛される選手になってほしい」。この日は18歳の誕生日。前日にはチームメートから祝福され、「お前ならいける」と背中を押されていた。ドラフト1位という最高のプレゼントをもらい「まずは新人王、そして沢村賞を取れるように」。新たな舞台で、ぐんぐん飛翔していく。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)
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