油断は禁物! 意外と盗塁している選手たちをまとめました

パ・リーグ インサイト

2021.9.29(水) 10:00

盗塁を決める埼玉西武ライオンズ・森友哉選手(C)パーソル パ・リーグTV
盗塁を決める埼玉西武ライオンズ・森友哉選手(C)パーソル パ・リーグTV

 昨季は福岡ソフトバンクの周東佑京選手が13試合連続盗塁の「世界記録」を樹立するなど、何かと盗塁が話題に。俊足走者と強肩捕手のぶつかり合いは見ものだが、今回は別視点で特集。一般的にはあまり盗塁のイメージがない「捕手」や大柄な「強打者」、打撃優先の起用が多い「外国人」に注目し、盗塁を“意外と”している選手たちをまとめた。

配球を読んでいる!? 「観察眼」が生きた走塁を見せる捕手たち

 捕手ならではの視点で相手バッテリーの配球を読んでいるのか。埼玉西武・森友哉選手は今季「5」盗塁、福岡ソフトバンク・甲斐拓也選手も「5」盗塁をマークしている(以下、データはすべて9月28日の試合終了時点)。彼らは盗塁を刺すだけでなく、自身でも決める能力が高いことも覚えていただきたい。

 森選手に「俊足」のイメージを持っている方はあまり多くないと思うが、2017年以降毎年複数盗塁を決めており、通算23盗塁を記録。9月1日の千葉ロッテ戦では、相手投手のクセを完ぺきに察知し三盗を決めている。これは捕手として常に相手を「観察」しているからこその産物か。

 一方の甲斐選手も2017年以降、毎年複数盗塁をマーク。2019年には9盗塁と2ケタまであとわずかに迫るなど、パ・リーグ現役捕手最多の通算24盗塁を記録している。「甲斐キャノン」でおなじみ、盗塁を刺す能力においては言うまでもなく一流だが実は、走者としても盗塁で実績を残している。

迫力満点! 助っ人の盗塁は「スマート」か「ワイルド」か

 強打が自慢の助っ人たちも意外と盗塁を重ねている。福岡ソフトバンク・グラシアル選手、楽天・ディクソン選手は今季2盗塁をマーク。助っ人外国人の盗塁は見てる方もワクワクするが、そのスタイルは両者で異なる。

 グラシアル選手は2018年から日本球界でプレー。ここまでの通算本塁打は52本を数え、通算打率も3割超えと強打が魅力の選手だ。打席に立つと威圧感を感じる力強さを放つが、そんな彼が来日後4年間、毎年盗塁を記録しているのは意外だろう。力強いバッティングから一転、抜群のスタートを切ってスマートなスライディングで2塁を陥れている。

 一方で、アメリカ合衆国出身の楽天のディクソン選手は、文字通り「アメリカン」な盗塁を見せてくれる。今季は3度盗塁を企画し、2度成功。そのいずれも最後は「ヘッドスライディング」でベースに飛び込む力強さを見せている。両者とも強打が魅力の選手だがその盗塁スタイルは両者で異なるのだ。

実は盗塁が得意なんです。「ラオウ」の隠れた能力

 今季ここまで複数盗塁を記録している選手で唯一体重が100kgを超える男。好調のチームを支え、本塁打王争いも繰り広げているオリックスの杉本裕太郎選手は、実は今季「3」盗塁をマークしている。4月23日の北海道日本ハム戦では、左投手の河野竜生投手に対しても臆することなく盗塁を企画。相手バッテリーの虚を衝いた盗塁を見事成功させている。

 またこんなデータも。2019年のファームでは杉本裕太郎選手は78試合の出場で8個も盗塁を決めているのだ。今後は杉本選手の走塁にも注目していただきたい。

 わずか2秒にも満たない攻防戦だが、相手の裏をかいたり気迫のスライディングで一つ先の塁をもぎ取る。そんな小さな「戦い」の積み重ねで試合が成り立っていくのだからやはり野球はおもしろい。その道のプロフェッショナルだけではなく、“意外と”記録を残す選手にも注目して試合を見てみてるのはいかがだろうか。
 
文・小野寺穂高

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