今や名実ともに球界を代表する打者となった柳田悠岐選手。観客を魅了する豪快なフルスイングで本塁打を量産、確実性も高く毎年のように高い打率や出塁率を記録する。しかし2021年、ひそかに話題となっていることがある。それは、これまで幾度となく相手投手陣をうち砕いてきた球場、「楽天生命パーク宮城」での成績が振るっていないということだ。
球場ごとの成績はシーズンや調子によって大きく変わることがあり、偶然性が高いともいえるが、プロ野球ファンとしてはどこか気になってしまう数字でもあるだろう。贔屓の選手の残している成績を知ることによって、観戦の楽しみはきっと広がるはずだ。
得意な球場のはずが一転......。2021年のOPSは.500を下回る
まずは、楽天の本拠地が「楽天生命パーク宮城」と名を改めた2018年以降、柳田選手が残した成績を見ていただこう。(以下、成績はいずれも9月16日の試合終了時点)
2018年は打率.490、OPS1.370と圧倒的な数字を残している。1試合のみの出場に留まった2019年を除けば、昨季も打率.340とシーズン打率を上回る成績を残しており、先にも述べたようにむしろ得意な球場の部類だったと言える。
しかし今季はパ・リーグ球団の本拠地6球場の中で、最も打率が低い.207と結果を残せていない。長打力が自慢の柳田選手にとって、OPSが.448と.500を下回っていることは、特筆すべき傾向だ。
※OPSとは・・・長打率+出塁率で表される、総合的な打撃力を測る指標。平均は.700前後。
本拠地では楽天相手にも躍動している
ここまで読んだ方の中には、球場の影響と言うよりもそもそも「楽天の投手陣が苦手なのでは」と思う方もいるかもしれない。しかし、PayPayドーム、北九州市民球場、ひなたサンマリンスタジアム宮崎で行われた福岡ソフトバンク主催の公式戦では楽天相手にも活躍を見せている。
楽天生命パーク宮城以外で行われた対楽天戦打率は.289と3割には満たないものの、OPSは.883と、強打者として申し分ない成績を残している。これら2つの数字を比較すると“楽天生命パーク宮城で”結果が出ていないのは明白だ。
眠れるギータは仙台で目覚めるのか?
福岡ソフトバンクファンの皆さんは、ここまでのデータを見ると不安になるかもしれないがご安心を。今季福岡ソフトバンクが楽天生命パークで戦ったのは、4月の3連戦、6月の3連戦と8月18日の計7試合。一方で柳田選手の月間成績を見ると、特に好調だったのは5月と7月。つまり、柳田選手が好調な時期には楽天生命パーク宮城で試合が行われていなかったのだ。
9月に入り4戦連続マルチ安打を記録するなど、再び調子を上げてきた柳田選手。ここまで楽天生命パーク宮城で楽天投手陣に抑え込まれている事実に変わりはないが、この結果は必然か、否か。その答えがまもなくわかるかもしれない。
次回の楽天生命パーク宮城で行われる楽天対福岡ソフトバンクは、9月18日(土)14時プレーボールだ。
文・小野寺穂高
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