3・4月の4先発との決定的な違いとは…
投打の活躍を続けるエンゼルス大谷翔平選手。開幕前は二刀流実現に向け、懐疑的な声も多く聞かれたが、今ではそれに異を唱える人はいないだろう。6日(日本時間7日)の敵地マリナーズ戦では、左足首の軽い捻挫のため12日ぶりの先発マウンドとなったが、6回3/0を6安打2失点の好投を披露。7回にこそ2ランで2点を失ったが、そこまではマリナーズ打線に付け入る隙すら与えなかった。
野球選手として成長し続ける23歳だが、今季3勝目(1敗)を飾ったパフォーマンスの中に、ある進化を見つけたのが、米データ分析サイト「ファングラフス」だ。今季5度目の先発マウンドは、過去4度に比べてスライダーとカーブを有効に使っていたという。
記事によれば、大谷はそれまでスプリットを多用していたが、マリナーズ戦ではブレーキングボールと呼ばれるスライダーやカーブを多投。前4試合ではブレーキングボールで5度しか奪わなかった空振りを、マリナーズ戦では1試合で9度も奪っている。同様に、前4試合では合計10球しか投げなかったカーブを、この日は11球投げたという。カーブを「大谷にとって間違いなく効果的な4番目の球種」と評価する一方で、それ以上の効果を見せた球としてスライダーに注目している。
スライダーを投げる投手たちが目指すのは、グローブを持つ手の方向へ低めに制球することだ。右腕が右打者と対戦するとすれば外角低め、左打者であれば内角低めになる。大谷は3・4月に投げた4試合ではスライダーが高く抜ける場面も見られたが、6日(同7日)マリナーズ戦では低めに面白いように決まっていた。記事では、それをボールが投げられた場所の分布図を用いて紹介。このスライダーの制球が改善されたことが、スプリットに警戒していた打者たちの裏を掻く形になったようだ。
改善された理由について、記事では「捕手がマルドナドではなくリベラだったかもしれないし、右中指のマメが治ったからかもしれない。またメジャー球に慣れたからかもしれない」と推測。結論には至らなかったが、現実としてスライダーが改善され、「いいスライダーを持っていることは知っていたが、それを実戦で存分に使い始めた」ことに大きな意味があるとしている。事実、右打者も左打者も関係なく、スライダーの餌食になった。
すでに高評価を得ているスプリットに加え、時速100マイル(約163キロ)を超える速球、さらに精度の上がったスライダーとカーブが加われば、まさに敵なし。
「オオタニは4つの球種を持つエース級の投手だと言われた。そして、5回目の登板で初めて4つの球種を上手く操った。1度だけではわからない。これが続くと判断するには早過ぎる。しかし、このような投球を続けられたら、何が起こるかは言うまでもないだろう」
記事はそう締めくくられている。果たして、これから何が起こるのか。見る者は楽しみとしか言いようがない。
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