田嶋大樹（たじま・だいき）／投手

#29／1996年8月3日生まれ
182cm・78kg／左投左打

　佐野日大高校からJR東日本を経て2017年のドラフト1位でオリックスに入団。佐野日大高時代には3年時にセンバツ大会で甲子園出場を果たし、エースとしてチームを準決勝まで導いた。高校卒業後はプロ志望届けを出さずに社会人の名門・JR東日本へ進むと、都市対抗野球や2度の世界大会出場と大舞台を経験。2球団による競合の末、満を持してプロ野球の世界へ足を踏み入れた。

　1年目からローテーションに名を連ねた田嶋投手は、開幕2戦目の福岡ソフトバンク戦で初登板を果たすと5回1失点の好投で幸先の良いスタートを切る。その後も先発陣の一角として順調に白星を積み重ねていた左腕だったが、6月24日の登板を最後に左肘の故障からファームでの調整を強いられると、一軍復帰することがないままルーキーイヤーを終えることとなった。
　
　故障の影響もあり、2年目の初登板は開幕から2つきが経過した6月5日。一軍の舞台に舞い戻ってきた田嶋大樹投手は、入団当初の力強く左腕を振りぬく投法から一転、ゆったりとした柔らかいフォームへと変わり身を見せる。シーズン終盤には再びファームでの調整となったため登板こそ10試合にとどまったが、3勝4敗、防御率3.44と、活躍に向けて足場を固めるシーズンを送った。

　そして迎えた2020年。田嶋投手は2年ぶりに開幕ローテーションの座をつかむと、6・7月は6試合に登板して防御率2.56と安定感のある投球を披露。この期間で1勝（1敗）となかなか援護に恵まれない中、大黒柱の1人・山岡泰輔投手が離脱した先発陣で大きな存在感を放つ。その後、9月16日の楽天戦ではプロ初完封を記録、1年を通してローテーションを守り、自身初の規定投球回到達を果たすなど大きな飛躍を遂げるシーズンとなった。

　2020シーズンの成績で特筆すべきは、過去2年と比較して長いイニングを投げられるようになった点だ。1試合平均の投球回が1年目は5.7回、2年目は4.9回だったのに対して、2020年は6.1回とその数字を伸ばした。QS（クオリティスタート）も20試合中12試合で記録。シーズン中盤以降は直球が再び150km/hを記録するなど、技術面、そして体力面双方で進境を見せ、オリックス先発陣の中心的存在へと台頭した。

　左肘の故障を経てモデルチェンジに成功し、3年目にして期待投球回到達を果たした田嶋投手。2020年も開幕ローテーションの一角を担うと、前半戦は15試合に登板して5勝5敗、86回84奪三振、防御率3.45と安定した投球を続けている。後半戦も変わらぬ投球を見せ、まずはキャリアハイの6勝を超えたい。

【2020年一軍成績】
20試合4勝6敗 122.1回 89奪三振、防御率4.05 WHIP1.18

文・成田康史

田嶋投手をもっとよく知るために。パ・リーグ インサイトの過去の記事

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福岡ダイエー、福岡ソフトバンクで13年間コーチを務め、その後オリックスでは監督を務めた森脇浩司氏が、「ストレート、変化球ともに素晴らしい。粘る力も持ち合わせている。今、経験していることの全てをエネルギーにし、必ず日本を代表する投手に必ずなるだろう。エースの山本由伸同様、末恐ろしい投手だ」と田嶋投手を絶賛している。

・田嶋大樹がプロ初完投初完封勝利！　杉本裕太郎、伏見寅威の豪快弾でオリックスが連勝
2020年9月16日の楽天戦。9回2安打1四球8奪三振無失点の快投でプロ初完投・初完封をマークした。

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