打撃コーチのアドバイスに従い開幕直前に“すり足打法”に変更
エンゼルスの大谷翔平投手は二刀流の活躍で全米にセンセーションを与えている。6日(日本時間7日)の敵地マリナーズ戦では投手として今季5度目の先発登板に臨むが、打者としては4日(同5日)の同戦で今季6度目のマルチ安打をマーク。打率.339でOPS(出塁率+長打率)は1.018とハイレベルな数字を残している。
4月の月間最優秀新人にも選出された二刀流だが、先日、「MLBでの二刀流の成功にショウヘイ・オオタニを導いた小さなワンステップ」と特集したのは米スポーツ専門テレビ局「ESPN」。今季序盤の開花を促した「打者・大谷」の高い“修正能力"にあらためてスポットライトを当てていた。
スプリングトレーニングで投手として防御率27.00、打者としては打率.125と試行錯誤の日々を過ごしていた大谷だったが、開幕3日前のドジャースとのオープン戦3連戦で転機を迎えた。エンゼルスのエリック・ヒンスキー打撃コーチの打撃練習での進言で、それまでの足を上げる打法を封印。右足を地面に着けたまま、足を捻ることでタイミングを取るノーステップ打法に切り替えていた。
記事では「この修正はメジャーリーグで100年間成し遂げられなかった偉業に挑むオオタニの冒険に真実味を与えるものとなった」と開幕直前の突貫工事の成功の意義をレポートしている。
同僚カルフーン「全てがハマった感じになった」、プホルスは「安定が大事」
土壇場で驚異的な修正力を見せつけた大谷。ヒンスキー氏は記事の中で二刀流の男の高い吸収力をこう証言している。
「彼はスポンジなんだよ。彼は勤勉なんだ。アメリカの流儀を学びたがっている」
打撃コーチのアドバイスに素直に従い、手元で動くボールへの対応を成功させた大谷の姿勢をスポンジに例えて絶賛。一方で、メジャー投手との対戦経験豊富な同僚は、大きく前の足を蹴り上げ、タイミングと勢いを取る打法の難しさについて明かしている。
同記事では、同僚のコール・カルフーン外野手が「全てをシンプルにしたんだ」と、大谷の現在の打撃フォームについて語っている。「タイミングを取るためには様々な手段がある。最初は足を上げることでタイミングを取ろうとしていた。右足を地面に着けるようになると、彼は腕も使えるようになったし、そこからはご覧の通りだよ」と話し、土壇場での打撃改造こそが現在の大活躍の起爆剤になったと分析している。
さらに、史上32人目の3000安打を達成したアルバート・プホルス内野手も「足を高く上げると、タイミングを取るのが難しいんだ。安定が大事なんだ。でも足を高く上げてしまうと、自分のスイングをかなり安定させなければいけない。それは大変なことなんだ」と証言している。
今季のメジャー最大の新星となったエンゼルスの背番号17。異例の開幕直前の打撃改造も“大谷伝説"を彩る華麗なエピソードとなっている。
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