ルーキー清宮の右前安打が口火となり「後輩ですし、下が打つと火が着きます」
北海道日本ハムの清水優心捕手が3日、本拠地・札幌ドームでの楽天戦で5号逆転満塁本塁打を放ち、4-1での逆転勝利に貢献、チームの連敗を3で止める救世主になった。
年下ルーキーがこじ開けた突破口に、21歳の正妻候補が奮い立った。「後輩ですし、下が打つのは火が着きます。つないでくれたのは大きかった」。6回まで楽天・辛島に1安打0封とされていた日本ハム打線。7回1死からドラフト1位ルーキー清宮が右前安打で口火を切ると、代打の杉谷拳士、鶴岡慎也が単打で続く。3連打により回ってきた1死満塁の絶好機で、清水は打席に立った。
「代打を出されるかなと思ってベンチを見たら、監督の『行って来い』という気持ちを感じて。使ってくれている感謝の気持ちもあって、絶対に打ったろと思いました。(外野手の)頭を越えるとは思いましが、入ったので本当に良かったです」
そこまで2打席、辛島のチェンジアップに翻弄され、投ゴロと三振に倒れていた。「低めは捨てました。その中で積極的に行こうと。初球(ボールになるチェンジアップ)を見ることができて、気持ち的に楽になりました」。2球目、真ん中の直球を見逃し、そのボールでタイミングを測ると、3球目の直球を完ぺきに捉えた。打球はバックスクリーンに飛び込むグランドスラム。快心の一打を、清水は興奮気味に振り返った。
最近3試合は無安打と苦しんでいた。本拠地に戻ってきた2日の全体練習開始前、グラウンドでロングティーを行っていると、中田翔内野手が飛び入り参加し、身振り手振りを交えたアドバイスを受けた。「足を上げた時のタメというか、間を教えてもらいました」と、即席の“中田塾”でヒントをもらった。そうして飛び出した4試合ぶりの安打が、値千金の逆転満塁弾。ベンチに戻ると中田が満面の笑みで迎えてくれた。「大将(中田の愛称)は『タメができていた』と褒めてくれました」と清水は胸を張った。
その潜在能力の高さを認めているからこそ、栗山英樹監督は敢えて褒めなかった。「何度も言うように、本当に大きくなってほしいから、多少活躍しても優心には『良かったね』なんて言うつもりはない。まだまだ前に進んでくれると信じている」と頬を緩めることはなかった。
打率.185ながら安打10本のうち5本が本塁打。「そんなバッターいらないと思います。もっとチームバッティングができるように頑張ります」とお立ち台で苦笑いした清水だが、パワーを秘めた「恐怖の8番打者」になりつつある。
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