どんな形でも「試合に出たい」 千葉ロッテ5年目捕手が打撃で見出す1軍の兆し

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2021.5.2(日) 18:00

千葉ロッテ・宗接唯人※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
千葉ロッテ・宗接唯人※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

プロ5年目、出場機会を求め捕手以外のポジションにも挑戦

 プロ5年目を迎えた千葉ロッテの宗接唯人捕手。現在、イースタン・リーグで首位を独走するチームで4番を任されるなど、打撃で存在感を見せようと奮闘する。この4年間で1軍出場はわずか1試合。今季は1軍の舞台での活躍を見据えている。

 魅力は、逆方向にも飛ばせる長打力。プロ入り後、バットを立てて構えるなど様々な打撃フォームを試してきたが、現在はバットを寝かせた構えにしている。「大学でそれをやった時に1番バッティングがよくて、感覚もよかったので、いい時のフォームに戻してみようかな」と手応えを感じている。

 捕手としてプロの門を叩いたが、今季は他のポジションでの起用が多い。昨年の秋季教育リーグ「みやざきフェニックス・リーグ」では、「1番・左翼」での起用が主だった。もちろん捕手というポジションを諦めたわけではないが、出場機会を求めて内外野にも挑戦している。

 チームから「捕手以外も練習しておいてくれ」と言われたのはプロ3年目のころ。高校、大学とやってきた思い入れのある扇の要。捕手として1軍定着したい思いも強く、当時は簡単に受け入れることはできなかった。しかし、同い年の田村龍弘が正捕手として台頭。「キャッチャーでいけるんかな……」。この世界で捕手として活躍できるのか不安になっていた時期でもあった。

「結局試合に出ないと意味がない。どこであろうと出していただけるのなら」

「自分の技術の面でもやっぱり他のキャッチャーの人と比べて、ずば抜けているというところも正直なかったですし……」

 1軍出場は、2年目に1度代打で出場したのみ。昨秋、チーム内のコロナ禍で大量入れ替えとなった際に昇格したものの、出番はなかった。どんな形でも試合に出たい。今は当時とは真逆の気持ちだ。「キャッチャーもやらなくていいというわけではないんですけど、結局試合に出ないと意味がない。どこであろうと出していただけるのならと思います」。その一心でオフには、捕手以外のポジションの練習にも力を入れた。

 捕手からポジションを変え、成功した選手も少なくはない。埼玉西武や中日で活躍した和田一浩氏や、東京ヤクルトなどで活躍した飯田哲也氏も元々捕手だった。秀でた“一芸”があれば、1軍舞台もぐっと近くなる。

 低めのボール球を振ってしまうことが多く、三振数が多いのが課題。福浦和也2軍ヘッド兼打撃コーチからは、下半身の重要さを説かれた。「一番が下半身の粘り。ボールを追っかけすぎるな、ボールとしっかり距離をとってというのはずっと言われています」。春季キャンプでは松中信彦臨時打撃コーチにもトスを上げてもらい、下半身をいじめ抜いた。

 千葉ロッテ2軍はイースタン・リーグ記録に迫る14連勝を記録するなど、首位を独走中。「試合に出ている、出ていないじゃくて全員が1人1人が勝ちに、1球に集中している」。今季のチームスローガンでもある「この1点を、つかみ取る」を体現するチームの雰囲気の良さを実感している。ただ、チームが勝っているということは、自分以外の選手もアピールしているということ。熾烈な競争の中で、1軍への切符を掴み取らないといけない。

「やっぱり1軍に上がって、どんな形でもいいので活躍したいですね。それだけです」。しみじみと噛み締めながら話す口ぶりに、今季にかける想いを込める。ミットではなくバットで、マリンのグラウンドを目指す。

○宗接唯人(むねつぐ・ゆいと)1994年7月26日生まれ。26歳。兵庫県宍粟市出身。神戸国際高から亜細亜大学に進学。正捕手として第46回明治神宮大会で優勝。4年春には打率.372をマークして優勝に貢献しベストナインを獲得。2016年のドラフトで千葉ロッテから7位指名を受け入団。183センチ、90キロ。右投げ右打ち。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

記事提供:Full-Count

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