打線ではマーティンと荻野を評価、安田は「もう少し打率を…」
千葉ロッテが好調だ。13日の楽天戦から21日の北海道日本ハム戦まで2引き分けを挟んで6連勝。23日からの福岡ソフトバンク3連戦も2勝1敗で勝ち越し。27試合で13勝10敗4分けと3つの貯金を作り、首位福岡ソフトバンクと1ゲーム差さの3位につけている。現役時代は千葉ロッテで首位打者を1度、盗塁王を4度獲得し、監督として2010年に千葉ロッテを日本一に導いた西村徳文氏に好調の要因を聞いた(成績はすべて4月25日時点)。
スタートはつまずいた。開幕カードで福岡ソフトバンクに3連敗、続く楽天にも2連敗で、いきなり5連敗を喫した。福岡ソフトバンク戦では抑えの益田直也が打たれて2度のサヨナラ負け、楽天との2試合は0、1点と打線が機能しなかった。
しかし、立ち直りは早かった。4月1日の楽天戦で16点を奪って連敗を5で止めると、翌2日の北海道日本ハム戦も16得点で大勝。その後も打線は活発で、12球団トップの137得点を挙げている。「5つの借金を返すのは決して簡単ではない。大きな連勝がなければ1か月くらいはかかります」と西村氏。千葉ロッテは約3週間で完済し、現在は貯金を作っている。地力がついた証だろう。
「打線は1番から5番までが機能している。特にマーティンの存在が大きいと思います」と、西村氏は開幕3戦目から2番に固定されている助っ人の活躍が大きいと語る。ここまで8本塁打はリーグトップ、21打点もリーグ2位だ。
開幕から4番に固定されている安田尚憲内野手ははリーグトップの28打点。「去年から首脳陣が我慢して使い続けて、ようやく結果を出し始めています」とチームの育成方針を評価するが、「4番としてチームを引っ張っていくには、今の打率(.230)ではちょっと寂しい」と注文も付けた。
投手では唐川の存在が大きいと指摘、藤原の台頭が“必要不可欠”とも
好調の立役者として西村氏がさらに名前を挙げたのが1番に固定されている荻野貴司。「あの足は相手にとって脅威」というリードオフマンは、指揮を執っていた2010年にルーキーながら「2番・中堅」で開幕スタメンに抜擢した選手だった。当時から走力は群を抜いていたという。
「普通に送りバントを決めて、普通に野手が処理して一塁に投げたのにセーフになった。驚きました。彼のスピードならすぐに盗塁王を取れると思い、我慢しても起用しようと決めました。実際には我慢する必要もないほど活躍してくれましたが途中で故障離脱し、その後も毎年のようにケガで苦しんできた選手です。でも走力はまだまだ健在です」
先発陣は実績のある石川歩、美馬学が支え、初めて開幕投手を務めた二木康太(22日に登録抹消)、岩下大輝、小島和哉の成長株にルーキー左腕の鈴木昭汰、育成から支配下登録された本前郁也らコマは揃っている。
救援陣も、抑えの益田直也を中心にハーマン、田中靖洋、小野郁、ルーキーの河村説人、佐々木千隼、土居豪人ら多士済々。その中でも評価したのが14年目の唐川侑己だ。ここまで13試合に登板して1勝0敗、10ホールド、防御率0.00。
「現在は7回あたりで投げていますが、試合を進める上でそのポジションの投手がゼロで抑えることは重要です。唐川はボールに力がある上に球持ちがいいので、打者はタイミングを取りづらい。以前のように先発でもいけるとは思いますが、現在の中継ぎで1イニングをしっかり抑えるというポジションは本人にも合っているのではないかと思います」
2005年を最後に遠ざかっているリーグ優勝。千葉ロッテ監督として2010年にリーグ3位から日本一という“下克上”を成し遂げた西村氏はその条件として下位打線の充実を挙げる。「6番以降が機能して、上位につなぐ形ができれば得点能力はさらに上がるでしょう。期待しているのは藤原です。彼が結果を残せばチームはさらに強くなると思います」。開幕から9番で起用されてきた藤原は22日に出場選手登録を抹消された。しかし、今後の戦いには必要不可欠な戦力とみている。
(大久保泰伸 / Yasunobu Okubo)
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