ベテラン、主力、助っ人関係なく、全員がその時できる全力を尽くす
セパ両リーグでただ1チーム、開幕4連勝の好スタートを切った王者福岡ソフトバンク。30日に京セラドームで行われたオリックス戦では3-1と接戦をモノにして、開幕からの連勝を伸ばした。
2年連続のリーグ優勝、5年連続の日本一を目指し、今や球界きっての常勝軍団となっている福岡ソフトバンク。この30日のオリックス戦では、その強さを象徴する場面、プレーがあった。
それは2回の攻防だ。先頭のグラシアルが左前安打で出塁。続く中村晃が右前安打を放つと、走者のグラシアルは一気に三塁まで進んだ。デスパイネは空振り三振に倒れ、1死一、三塁。ここで栗原が放った打球は左翼への浅い飛球となった。
この打球で三塁走者のグラシアルはタッチアップ。先制のホームを狙ってスタートを切った。打球を処理した吉田正は三塁の紅林へと送球。紅林はグラシアルがスタートを切っていないと思ったのだろうか。その場でタッチするような動きを見せたあと、慌てて本塁へ送球しようとしたが、時すでに遅し。グラシアルは頭から本塁へと突っ込んだ。
さらに一塁走者の中村晃はこのオリックス守備陣の動きを確認してきっちりと二塁へと進塁。続く松田の右前安打で、2点目のホームを踏んだ。この2回に生み出した2得点が、結果として試合の行方を大きく左右することになった。
相手の隙を見逃さない状況判断や常に先の塁を狙おうとする積極的な姿勢は福岡ソフトバンクの強さの“要因”の1つだ。先日、柳田が右前安打を一気に二塁打に変えたように、それをベテランや主力が決して手を抜かずに遂行する。さらにはデスパイネ、そしてこの日のグラシアルといった助っ人にも、その意識が浸透している。
デスパイネも一塁への全力疾走を怠らず、この日の走塁から見てもグラシアルは言わずもがな。福岡ソフトバンクの強さの要因は数多くあれど、この常に全力疾走、常に先の塁を狙うという“凡事徹底”の姿勢は、このチームの強さを語る上では欠かせない事実だろう。
福岡ソフトバンクの選手たちは、選手それぞれがその場その場でできる最善を尽くすことを徹底する。小さなことの積み重ねが相手との差を生み、勝利に繋がっていく。これを出来ることが、福岡ソフトバンクの強さを生み出す土壌にある。
(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)
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