コロナ禍で異例のシーズンとなった昨年も多くの記録が達成された。涌井秀章投手(楽天)が史上初となる3球団での最多勝利投手を獲得し、周東佑京選手(福岡ソフトバンク)は13試合連続盗塁を達成し世界新記録を樹立。宮西尚生投手(北海道日本ハム)は前人未到の350ホールドを達成するなどプロ野球界を盛り上げた。そして今季も達成が期待できる記録がたくさんある。2021年、節目の記録達成(※NPB通算)が期待される選手を球団ごとに紹介する。
福岡ソフトバンクは先発左腕の先頭を長く走ってきたベテラン・和田毅投手が節目の大記録を目前にしている。プロ19年目を迎える和田投手が積み上げてきた白星は138(日米通算143勝)で、あと12勝を挙げれば150勝になる。2020年は16試合に登板し、8勝と衰え知らずの活躍を見せた。40歳で迎えるシーズン、記録達成の可能性にも期待したい。
3つの記録が控えているのは松田宣浩選手だ。昨季は打率.228と苦しいシーズンになったが、5年連続日本一を目指すチームを鼓舞する活躍で記録達成といきたい。また、バレンティン選手は300本塁打まであと3本塁打、1000安打まであと9安打と目の前にまで迫っている。持ち前の打力なら大いに期待できるが、層の厚いホークスでレギュラーをつかみ取れるか。
プロ18年目を迎える鳥谷敬選手は3つの記録が近い。長打力の重要な指標になる“塁打”で過去3000を記録した選手には長距離打者の名前が多く並んでおり、現役では内川聖一選手(東京ヤクルト)、坂本勇人選手(巨人)と2000本安打を達成した選手の名前も。巧みなバットコントロールで安打を積み重ね、2000本安打も達成してきた鳥谷選手は、さらなる偉業の達成を目指す。
昨季、通算100セーブと500試合登板を達成した益田直也投手にはさらなる記録達成に期待。過去15人しか到達していない150セーブを目指すと同時に、プロ入り2年目以来、8年ぶりのセーブ王も視野に入る。600試合登板まであと74は自身キャリアハイの登板数が必要であるが、守護神の今季の活躍に注目だ。
注目はなんといっても栗山巧選手。一流打者の証ともいえる2000本安打に20年目の大ベテランが挑む。達成すれば球団生え抜き選手初となる2000本安打達成の快挙だ。また、栗山選手と同期の中村剛也選手も史上14人目となる450本塁打を狙う。獅子の”骨と牙”はファンの声援に応え、大記録達成となるか。
投手陣では、昨季最多セーブ投手賞の守護神・増田達至投手が150セーブ間近に迫っている。さらに松坂大輔投手や内海哲也投手といったベテラン勢も、節目の投球回まであと少しとなっている。近年は一軍登板も少なくなっているが、万全なコンディションで長く投げ続けてほしいところだ。
昨季最多勝利投手賞を獲得した涌井秀章投手は150勝と2500投球回に手が届きそうだ。これまで積み上げてきた144勝はパ・リーグの現役選手で最多の勝利数である。リーグを代表するエースは史上49人目の快挙となるか。また、日本に復帰した田中将大投手もNPB通算100勝まであと1勝。開幕直後の達成も十二分にあり得そうだ。
浅村栄斗選手は4つの記録を達成する可能性がある。キャリアハイ近くの成績を残すことが条件となるが、それでチームに勢いを付けられるのは間違いないだろう。開幕からシーズン通じた活躍、そして記録達成に期待したい。
史上初350ホールドの快挙を達成した宮西尚生投手が、さらなる大記録達成を図る。7人しか到達していない800試合登板まで、必要なのは自身最多タイの66登板。さらに400ホールドまでは43ホールドと、今季の達成には大車輪の活躍が要求される。13年連続50試合登板と安定した働きを見せる鉄腕は、記録達成にどこまで近づけるか。
昨季は108打点で自身3度目となる打点王のタイトルを獲得した中田翔選手は、1000打点の大台へあと63打点と視界良好だ。また、北海道日本ハムのスピードスター・西川遥輝選手は300盗塁まであと13盗塁。今季もチームの核として欠かせない2選手が、目前となった節目の記録に挑む。
増井浩俊投手は先発に定着すれば目下の記録は持ち越しとなりそうだが、すでに全12球団からセーブを達成しており、さらに12球団から勝利を挙げればNPB史上初(残りは東京ヤクルト)と、こちらの記録に期待がかかる。今季から在籍する能見投手は、史上57人目の1500奪三振まであと4奪三振とまもなくである。投手兼コーチとして今年42歳を迎えるベテランの大記録達成は若手、そしてチームの成長に繋がるだろう。
野手陣ではT-岡田選手と吉田正尚選手、さらに楽天から復帰したロメロ選手と、3選手の節目の一発に期待できそうだ。また、昨季に日米通算2000安打を達成したジョーンズ選手は、日米通算300本塁打まであと6本塁打、1000打点まであと12打点とこちらも大記録に挑むシーズンとなる。
球史に名を刻む“新”記録も見逃すな
ここまで選手たちが積み上げてきた数々の記録達成候補を紹介してきた。節目ともなる大記録達成の瞬間は多くの野球ファンが期待するところ。しかし、さらに見逃せないのがいまだ誰も達成したことのない、新たな記録への挑戦だ。昨季は周東選手が世界“新”記録を樹立した。今季も誰がどんな記録を生み出してくれるのか、期待をふくらませて開幕を迎えたい。
文・岡絃哉
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