楽天の柿澤貴裕選手と巨人の小山雄輝投手の交換トレードが成立し、12月4日、両球団から発表された。投手陣の補強を図りたい楽天と、パンチ力のある左の野手の獲得を目指していた巨人、両チームの思惑が一致した形である。
今回、パ・リーグの楽天からセ・リーグの巨人に移籍した柿澤選手は、2012年にドラフト6位で楽天に入団。一度は育成契約となるも、今年の7月に再び支配下選手への復帰を果たし、外野手から内野手への転向を試みていた。一軍の試合出場機会はなかったが、今季のイースタン・リーグでの打率は.286と結果を残し、チームメイトの中川選手らと首位打者争いを繰り広げた。まだ22歳と若く、伸びしろは十分。セ・リーグという新天地での活躍に期待したい。
対して、巨人から楽天に移籍した小山投手は28歳。2010年にドラフト4位で入団した右腕だ。そんな小山投手のプロ入り後の6年間の成績は以下の通りである。
【小山投手のプロ入り後の一軍での成績】
2011年:3試合0勝0敗0S 0H 13回 8奪三振 防御率3.46
2012年:10試合2勝2敗0S 1H 43回1/3 28奪三振 防御率1.87
2013年:10試合0勝2敗0S 1H 35回 31奪三振 防御率3.86
2014年:16試合6勝2敗0S 0H 93回1/3 71奪三振 防御率2.41
2015年:7試合0勝1敗1S 2H 15回2/3 10奪三振 防御率4.02
2016年:9試合0勝1敗0S 1H 13回 12奪三振 防御率4.85
通算:55試合8勝8敗1S 5H 213回1/3 160奪三振 防御率2.87
昨季、今季と、なかなか思うような結果が出せていないが、2014年には6勝を挙げる活躍でチームの優勝に貢献。ポテンシャルの高さは誰もが知るところであり、思い切って環境を変えることで、力を発揮できる可能性は十分にある。パ・リーグに適応するまでには戸惑うことも多いと思われるが、このトレードが小山投手にとって、飛躍のきっかけになることを願いたい。
小山投手は「ジャイアンツでは6年間、いろいろな経験をさせていただきました。それを無駄にせずに、ゴールデンイーグルスでも高い意識で頑張っていきます」とコメント。楽天の安部井寛チーム統括本部長は、「小山選手はストレートに力があり、フォークボールを含めた縦の変化で勝負できる投手です。先発、リリーフ両方できる選手ですので、チームの力になってくれると評価しております」と期待を寄せている。
楽天は今オフ、積極的に補強に動く姿勢を見せている。国内FAと交換トレードにより、埼玉西武の岸投手と巨人の小山投手を獲得するに至ったのは、なにより投手陣の層を厚くしたい意図があるからだろう。今季9勝を挙げた美馬投手や、終盤に圧巻の投球を見せた安樂投手など、来季からの活躍が楽しみな選手も少なくないが、未だエースの則本投手が孤軍奮闘している感は否めなかった。
通算100勝を達成し、エースを張れる器でもある岸投手と、先発も中継ぎも両方こなせる小山投手の加入は、則本投手の負担が減り、投手陣が安定するということになるのは間違いないだろう。松井裕投手や茂木選手をはじめとした若手の選手の育成と、トレードなどによる戦力の補強を両立させながら、チームは2013年以来の栄冠を目指していく。
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