楽天19歳黒川史陽がレギュラー奪取へ正念場。成長著しい若手に浅村栄斗ら実力者の壁

Full-Count

2021.3.2(火) 17:26

楽天・黒川史陽※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
楽天・黒川史陽※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

二塁には昨季の本塁打王・浅村が君臨する

 3月に入り、26日の公式戦開幕へ向けて各球団のオープン戦でのスタメンは、いよいよベストメンバーに近いものになってくる。レギュラー陣の一角を崩して這い上がろうとする若手にとっては、ここからが正念場。プロ2年目・19歳のスター候補、楽天・黒川史陽内野手もその1人だ。

 楽天は5回途中降雨ノーゲームとなった2月28日の中日との練習試合(沖縄・北谷)で、今季から4年契約を結んだ島内宏明外野手が「5番・DH」で初めてスタメンに名を連ねていた。1番から中堅・辰己、遊撃・小深田、三塁・茂木、二塁・浅村、DH・島内、一塁・鈴木大、左翼・小郷、捕手・太田、右翼・田中和と続く打線。銀次がDH、島内が左翼に入るケースもありそうだが、コロナ禍で新外国人野手2人に来日のメドが立っていない現状では、限りなくベストに近い。

 そんな中、同25日の横浜DeNAとの練習試合で5打数5安打の猛打を振るうなど成長著しい黒川は、これまでの実戦で定位置としてきたスタメン二塁から外れ、ベンチを温めた。

 二塁手としてレギュラーを狙う上で競争相手となる浅村は、昨季本塁打王でベストナイン二塁手。当然その壁は厚いが、「浅村さんに『まだ大丈夫や』と思われていたらダメ。脅かすというか、『黒川、やるな』と思われる結果を出したい」と語っていた。黒川の活躍次第では、浅村がDHや一塁に回る可能性もあり、そのスポットを担う鈴木大、銀次らを含めての争いと見ることもできる。

オフに藤田一也に“弟子入り”「ボールを長く見る打撃」吸収

 黒川は昨季、高卒ルーキーにして9月に1軍に昇格し、10試合に出場。飛躍への足掛かりを作った。シーズンオフには、二塁手としてゴールデングラブ賞3度、ベストナイン2度の実績を誇る38歳のベテラン・藤田一也内野手に“弟子入り”、自主トレをともにした。二塁守備はもちろん、打撃でも同じ右投げ左打ちとして「これまでは自分からボールに衝突しに行って距離を取れないことがあったが、藤田さんが長くボールを見て(逆方向の)レフト前へヒットを打つのを見て勉強になった」と語っている。

 前述の5打数5安打も一、二塁間を破る右前打、左翼線二塁打、右越え適時二塁打、左前打、詰まりながら中前へ落とす安打と、実に多彩な内容だった。単に調子がいいだけでなく、根拠があって結果が出ているといえそうだ。

 石井一久監督は「浅村を? まだ脅かさないでしょ」と辛口で、「二塁手はやるべきことが多く、一瞬気持ちが抜けるというか、次の準備ができていないことがある」と指摘する。守備中に野手の間に打球が落ちた際、ベースカバーが遅れたことなどを指している。

「戦いはこの1年だけで終わるわけではない。2、3年でイーグルスに厚みを持たせるために、そこらへんの次世代の選手に出てきてほしい」と石井監督は語っている。黒川がレギュラーの座を奪うのが「2、3年後」なのか、それとも今年になるのかは、出場機会が減るこれからのオープン戦で、少ないチャンスをどれだけものにできるかにかかっている。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

記事提供:Full-Count

campaign

記事提供:

Full-Count

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE