シーズンの戦いのカギを大きく握るのが、外国人選手の存在。各チーム、米国メジャーリーグはもちろん、マイナー、独立リーグと調査し、メキシコ、韓国、台湾と世界中に散らばっている有望株の発掘に力を入れている。2016年、各球団の外国人選手たちの働きを振り返ってみたい。
日本一に輝いた北海道日本ハムは、レアード選手が39本塁打でタイトルを獲得。日本シリーズでも3本塁打を放ってMVPに輝いた。チームの絶対的4番、中田選手から離し、7番あたりを打つことで、上位から下位まで眠らない打線が完成。シーズンを通して、チームを支えた。投手ではバース投手の日本シリーズでの活躍が記憶に新しい。複数回を任されても相手を封じ、3勝をマーク。シーズン中は8勝8敗、防御率3.65と抜群の成績ではないが、最終的にチームを頂点へ導いた。
2位の福岡ソフトバンクはサファテ投手が両リーグ最多の43セーブをマーク。64試合登板で防御率1.88と文句なしの成績を残した。一方で、カニザレス選手は打率2割に満たず、外国人野手が不作だったことが誤算。最大11.5ゲーム差をひっくり返されてのV逸。様々な理由はあれ、昨年、中軸としてフル回転し、31本塁打を放った李大浩選手の穴を埋められる存在がいなかったことも大きい。
主砲として24本塁打を放った千葉ロッテ・デスパイネ選手。打率.280、打点92と結果を残した。だが新加入のナバーロ選手は開幕直前に離脱して出遅れ、さらに打率.217、10本塁打と期待に応えられなかった。
4位の埼玉西武はメヒア選手が35本塁打、103打点と孤軍奮闘の働き。だが打率.252に終わり、中盤以降は失速した感が否めない。投手陣はウルフ投手が4勝を挙げた以外は、ポーリーノ投手、バスケス投手、C.C.リー投手が未勝利と苦しい成績だった。
楽天ではウィーラー選手が27本塁打。4番として支え、チームのムードメーカーとしても存在感を示した。投手陣ではミコライオ投手が45試合に登板し防御率2.38。守護神・松井裕投手の前を務める勝利の方程式の一角を担った。だがブリガム投手、リズ投手が未勝利、メジャー162本塁打の実績で入団したゴームズ選手は4月中に帰国と想定外の事態も発生。チーム成績は5位。3年連続のBクラスだった。
最下位のオリックスは投打ともにふるわず。中軸として期待されたモレル選手、ボグセビック選手はそれぞれ8本塁打、3本塁打。首位打者、本塁打王の獲得実績もあるブランコ選手も3本塁打に終わった。投手陣も守護神を任せたかったコーディエ投手が防御率7.30。先発のディクソン投手はローテを守り抜いたものの9勝止まりだった。
外国人選手の存在は、本人の当たり、外れだけで片付けられない部分もある。まず、1軍に登録できる外国人選手は4人までというルールがある。さらにその4人を打者、もしくは投手だけで固めるのも禁止。2009年にオリックスがローズ選手、カブレラ選手、ラロッカ選手、フェルナンデス選手という長距離砲を4人集めて話題となったが、この時はローズ選手が国内FA権を取得し外国人枠を外れていたため、問題がなかった。だがそんなケースはまれ。適材適所な補強が必要になってくるから、スカウトする各チームの渉外担当にかかる責任は重大だ。
苦労を重ね、自信とプライドを持って獲得してきた選手であるからこそ、現場としてはまず、ある程度の我慢は覚悟で使い続ける。仮にその時絶好調な日本人選手が同じポジションにいたとしても、だ。だがそれが全くの鳴かず飛ばずで終わる場合もある。我慢の限界で、あの時の絶好調選手をスタメンに抜擢してみたらこちらも当たりがなくなっていた、と歯車がかみ合わなくなったケースは、過去幾度もあるだろう。現場の監督は、そのあたりの見極め、マネジメント力も求められる。
2016年、総合的にみると、パ・リーグでは本塁打数の上位3人(レアード選手、メヒア選手、ウィーラー選手)は外国人が固めたが3割打者、2桁勝利者がひとりもおらず、豊作とは言える年ではなかった。強力な助っ人がひとりいるだけで、チーム状況も大きく変わるプロ野球。来季の頂点を目指し、各球団がどんな人材をそろえてくるかにも注目していきたい。
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