通算70回目の大記録、過去の達成者とそれぞれの内訳は…
4月21日、福岡ソフトバンクの柳田悠岐がサイクル安打を記録した。1試合で単打、二塁打、三塁打、本塁打と4種類の安打をすべて記録すること。NPB史上65人、通算70回目の大記録だ。
これまでのサイクル安打を、内訳、打点、チームの勝敗とともに振り返ってみよう。
1948/10/2 藤村富美男(阪神)
金星戦 三二単単本 ◯
1949/4/16 金田正泰(阪神)
南海戦 凡本単二三四 ◯
1950/5/25 藤村富美男(阪神)
広島戦 単二三本四 ◯2回目
1950/6/27 門前眞佐人(大洋)
中日戦 単凡本二三 ◯
1952/4/13 東谷夏樹(阪急)
大毎戦 二凡三本四単 ◯
1952/4/20 浅原直人(東急)
近鉄戦 振本三単二 ◯
1952/6/22 滝田政治(大映)
東急戦 単三二単本 ◯
1952/6/26 山川武範(広島)
国鉄戦 単三本二凡凡 ◯
1953/4/23 青田昇(洋松)
巨人戦 三二凡単本 ◯
1953/8/17 原田徳光(名古屋)
巨人戦 本二単三凡 ●
1954/7/15 大下弘(西鉄)
阪急戦 二単三凡単本 ◯
1954/7/25 川上哲治(巨人)
広島戦 単二本三 ◯
1955/8/24 飯田徳治(南海)
トンボ戦 単振本二三 ◯
1957/6/23 毒島章一(東映)
近鉄戦 三二単本 ◯
1957/7/19 渡辺清(阪急)
近鉄戦 二本凡三単単 △
1957/8/27 葛城隆雄(毎日)
南海戦 三凡単本凡二 ◯
1959/6/20 大和田明(広島)
大洋戦 三単本二単 ◯
1959/7/26 町田行彦(国鉄)
中日戦 単三二単本 ◯
1960/8/6 小淵泰輔(西鉄)
東映戦 本二三単 ◯
1961/5/7 張本勲(東映)
近鉄戦 本三単二四 ◯
1961/7/8 近藤和彦(大洋)
阪神戦 単二三凡本 ◯
1962/9/16 前田益穂(中日)
大洋戦 本三単二 ◯
1963/4/25 王貞治(巨人)
阪神戦 単本三二 ◯
1965/7/16 スペンサー(阪急)
近鉄戦 単四本二凡三 ◯
1968/5/28 和田博実(西鉄)
南海戦 単本二三 ●
1971/8/14 山崎裕之(ロッテ)
東映戦 二三本単凡 ◯
1973/7/11 弘田澄男(ロッテ)
日拓戦 二単本三振 ●
1976/4/17 得津高宏(ロッテ)
太平洋戦 単二三三本 ◯
1976/7/7 衣笠祥雄(広島)
巨人戦 本単二三単 ●
1976/7/9 若松勉(ヤクルト)
中日戦 本凡単三二 ◯
1978/5/20 長崎慶一(大洋)
阪神戦 単三本凡二 ◯
1979/5/20 真弓明信(阪神)
中日戦 本単振二三 ●
1980/7/17 平野光泰(近鉄)
阪急戦 単本三単二振 ◯
元横浜のローズは3度も達成
1980/7/29 大宮龍男(日ハム)
南海戦 凡単三二本 ◯
1981/5/21 福本豊(阪急)
西武戦 単本凡三二 ◯
1982/10/8 松永浩美(阪急)
南海戦 単三本二単 ◯
1983/4/30 山本浩二(広島)
阪神戦 二凡本単三 ◯
1985/5/21 栗橋茂(近鉄)
南海戦 単二本三 ◯
1985/5/22 岡村隆則(西武)
ロッテ戦 単二三凡本 ◯
1986/7/17 金村義明(近鉄)
阪急戦 単三振本二 ◯
1989/7/13 秋山幸二(西武)
近鉄戦 振単本三二 ◯
1989/10/1 田村藤夫(日本ハム)
ダイエー戦 三本凡単二 ◯
1990/7/7 藤本博史(ダイエー)
日本ハム戦 振凡本三単二 ◯
1990/8/23 池山隆寛(ヤクルト)
中日戦 本単二三 ◯
1991/5/24 松永浩美(オリックス)
ロッテ戦 二単本三 ◯2回目
1992/7/29 ハウエル(ヤクルト)
広島戦 単二本三 ◯
1994/9/18 中村紀洋(近鉄)
日ハム戦 二本三単 ◯
1995/5/2 Rローズ(横浜)
中日戦 単二二本三 ◯
1997/4/29 Rローズ(横浜)
ヤクルト戦 本二単単三 ◯2回目
1997/8/22 立浪和義(中日)
阪神戦 二本単三凡 ◯
1997/9/26 広沢克(巨人)
中日戦 凡本単三二 ◯
1999/4/24 金本知憲(広島)
中日戦 二本三単 ◯
1999/6/25 仁志敏久(巨人)
広島戦 三二単本凡 ◯
1999/6/30 Rローズ(横浜)
広島戦 二四単三本 ◯3回目
2000/6/7 松井稼頭央(西武)
近鉄戦 本四単三二 ◯
2002/7/27 ロドリゲス(横浜)
広島戦 三本単二 ●
2002/9/21 井端弘和(中日)
横浜戦 二本単三 ◯
2003/5/3 オーティズ(オリックス)
西武戦 三単凡本凡二 ◯
2003/6/8 福留孝介(中日)
広島戦 二本二三単 ◯
2003/7/1 稲葉篤紀(ヤクルト)
横浜戦 三本単二 ◯
2003/7/1 村松有人(ダイエー)
近鉄戦 単二凡三四本 ◯
2003/7/2 桧山進次郎(阪神)
中日戦 本二単振三 ◯
2004/4/4 細川亨(西武)
日ハム戦 二三本単振 ◯
2004/4/13 アレックス (中日)
巨人戦 本三二四四単 ◯
2007/9/22 ズレータ(ロッテ)
楽天戦 凡二三本単 ◯
2008/9/3 小笠原道大(巨人)
広島戦 単凡本三二 ◯
2014/9/2 ロサリオ(広島)
巨人戦 本三四二単 ●
2016/7/20 大島洋平(中日)
広島戦 本二三単振四 ◯
2016/7/30 福留孝介(阪神)
中日戦 本単三二 ◯2回目
2018/4/21 柳田悠岐(ソフトバンク)
日本ハム戦 本単二単三 ◯
よく知られているように、この記録は1965年7月16日に阪急のダリル・スペンサーが達成するまで日本では知られていなかった。スペンサーが「サイクル安打をなぜ報道しないんだ? MLBだったら大騒ぎになるぞ」と報道陣に問いかけたことで、日本でも初めて注目された。
当時のプロ野球界はそこから慌てて記録を調べ直した。その結果、スペンサー以前に22人が23回記録してたことがわかったが、当然ながら達成当時は全く報道されなかった。
スペンサー以前には16シーズンで23例だったが、それ以後は54シーズンで47例。サイクル安打が注目されることで、打者にもプレッシャーがかかるためか、記録達成の頻度は落ちている。なお、戦前は一度も記録されていない。
21日の柳田のサイクル安打は、最も打ちにくいとされる三塁打を最後に打った。ただ、三塁打での達成は70例中21例目。実は、23例の二塁打に続いて2番目に多い。また、柳田は4安打+単打の5安打している。サイクル安打の試合で5安打したのは14例目だ。
サイクル安打を複数回記録した選手は以下の4人。
3回 ロバート・ローズ
2回 藤村冨美男、松永浩美、福留孝介
一方で、長嶋茂雄、野村克也、落合博満、イチローなどの大選手はサイクル安打を記録していない。この記録は実力に加えて運も味方しなければ達成できないのだ。
今年30歳になる柳田は、まさに働き盛り。今後もサイクル安打をどんどん狙ってほしいものだ。
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