日本一の余韻も残る中、北海道日本ハムが大型トレードを敢行した。北海道日本ハム・吉川光夫投手、石川慎吾外野手と、巨人・大田泰示外野手、公文克彦投手の2対2の交換トレードが2日、両球団から発表された。長打の打てる右打者を探していた北海道日本ハムと、投手陣の強化を目指していた巨人の思惑が一致した。
吉川選手は2006年にドラフト1位で北海道日本ハムに入団。田中将大投手、坂本勇人選手らの「プラチナ世代」のひとりとしてルーキーイヤーから1軍で活躍した。その後数年は伸び悩んだが、リーグ優勝を果たした2012年、14勝を挙げて最優秀選手賞を獲得するなどブレイク。今季は7勝6敗だったが、中継ぎもこなし初セーブも記録するなどチームに貢献した。「10年間、ファイターズには本当にお世話になりました。また、ファンの皆さんに対しては感謝の気持ちしかありません。これからも応援していただければ嬉しいです」とコメントした。
巨人は今季、2桁勝利は10勝の田口投手ひとりで、優勝した広島に大きく離された原因となっただけに、先発として計算できる左腕の加入は心強いだろう。
新しく北海道日本ハムに加入が決まったのは大田選手。2008年、こちらもドラフト1位で巨人に入団すると、チームの大先輩だった松井秀喜氏の背番号「55」を託されるなど大きな期待を背負った。年を追うごとに、1軍の試合出場数は増え、今季は自己最多の62試合に出場。本塁打も最多の4本を放った。だが、毎年のようにレギュラーの一歩手前まで来たが、定位置確保には至らず、2014年からは背番号も「44」に変更となるなど苦しい時代が続いた。「入団して8年間、1軍ではいい成績を残すことができなかったのを悔しく思っています」とコメント。「北海道で活躍する姿を、皆さんに見ていただけるように頑張るだけです」と新天地での活躍を誓った。
日本一のチーム、厳しいレギュラー争いは必至だが、チャンスはある。現状、来季の定位置が固いのはリーグ2位の打率.314を記録した西川選手くらいといっていいだろう。陽選手はFA権行使の可能性もささやかれており、残留か移籍か、流動的な状況。近藤選手、岡選手らとのサバイバルを勝ち抜き、プロ9年目での覚醒を果たしたい。
MVPを受賞した選手のトレード移籍は異例で、1992年の石井丈裕氏までさかのぼる。大きな注目を浴びながら、新天地でどれほどの結果を残せるか。来季の両チームの注目ポイントとなりそうだ。
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