8月27日の北海道日本ハム戦ではベンチで号泣した森に「野球人生の大きな糧になった」
パ・リーグを2連覇した埼玉西武が今季は苦しい戦いを強いられています。7日時点で借金4。首位の福岡ソフトバンクと7.5差開いています。シーズンも折り返して残りの試合数を考えたら、これ以上離されると苦しい状況になっています。
埼玉西武の看板は強力打線です。昨年も主軸の浅村栄斗内野手が楽天にFA移籍したにもかかわらず、リーグトップの756得点をマーク。“山賊打線”は健在でしたが、今年はメジャーにFA移籍した秋山翔吾外野手の穴が埋まらず、リードオフマンが固定できないのが苦戦の大きな要因になっているように感じます。投手からすると、1、2番の出塁を許さなければ、クリーンアップも大胆に攻められます。ポイントゲッターの中村剛也内野手も右手首痛で3日に登録抹消されたのも大きな痛手です。
ただ、昨年も夏場以降に怒涛の快進撃で逆転優勝を飾ったように、爆発力を秘めたのが埼玉西武です。課題だった先発陣も高橋光成投手、松本航投手、本田圭佑投手と若手が力をつけ、ベテランの内海哲也投手も今月2日の千葉ロッテ戦で743日ぶりとなる移籍後初勝利を飾りました。打線も山川穂高内野手、森友哉捕手、外崎修汰内野手、源田壮亮内野手、金子侑司外野手と「勝つ野球」を知っている選手がそろっています。打撃好調の栗山巧外野手も精神的支柱として心強い存在です。投打ががっちりかみ合えば、大型連勝で巻き返しの可能性は十分にあると思います。
個人的に後半のキーマンになるのは森選手だと思います。8月27日の北海道日本ハム戦(メットライフドーム)で試合途中からマスクをかぶり、逆転を許しました。山川選手のサヨナラ打で逆転サヨナラ勝ちしましたが、この試合まで5連敗中とチームが低迷していた責任を感じていたのでしょう。ベンチで号泣する姿が印象的でした。あの涙にはナインへの感謝と共に自分への腹立たしさ、リードした投手への申し訳なさなど色々な感情が入り混じっていたのではないでしょうか。
あの試合は森選手にとって野球人生の大きな糧になったと同時に、他の選手の心も揺さぶられたと思います。チーム力を考えるとこのまま終わるとは思えません。パ・リーグを一層盛り上げるためにも、埼玉西武の今後の戦いに注目したいですね。
文/構成 インプレッション・平尾類
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