未知の事象「同一カード6連戦」。選手と対戦球団の相性は、シーズンをどう変えるか

2020.7.2(木) 19:00 パ・リーグ インサイト 望月遼太

シーズン最初の6連戦で活躍を見せた選手は、各球団ごとに多く存在

 2020年のパ・リーグ公式戦では、新型コロナウイルスの感染予防の観点から、過去のシーズンにおいては極めて稀だった、「同一カード6連戦」が日程に組み込まれることが多くなっている。

 開幕2カード目となった6月23日からの6連戦は、今季初となる同一カード6連戦という点でも、これまでとは異なる経験を、各球団、各選手にもたらしたことだろう。このカードで好成績を収めた選手たちにとっては、後に同じチームと対戦した際に、良い印象を持ったまま試合に臨める可能性はあるだろう。

 今回は、その6月23日からの6連戦で特筆すべき活躍を見せた選手たちの活躍ぶりに加えて、特筆すべき事項があった選手に関しては、過去数年における該当チームとの対戦成績も紹介。過去の該当球団との相性を確認するとともに、今後の対戦についての展望も語っていきたい。

北海道日本ハム

 投手陣では、今季は開幕からリリーフに回っている村田透投手が、楽天相手に2試合、合計3イニングを投げて無失点と好投を見せた。村田投手は昨季までも楽天を得意としており、日本球界復帰後の各年の対戦成績は以下の通りとなっている。

村田透
村田透

 2018年は4試合の登板で3勝をマークし、昨季は6イニングを投げて自責点を1つも記録せず。かなりの相性の良さを感じさせるだけに、今季も同様の傾向を示せれば、強力打線を形成している楽天と相対する際の貴重なピースとなってきそうだ。

 また、6月25日の試合では新助っ人のドリュー・バーヘイゲン投手が6回1失点と好投し、来日初登板で見事にNPB初勝利を記録。有原航平投手やニック・マルティネス投手といった実績ある投手たちが苦しむ中で、好調の楽天打線を相手に快投を披露した。今後も楽天打線に対して同様の投球を続けることができれば、自身の成績の安定にもつながってきそうだ。

 打線では西川遥輝選手が6連戦の全試合で安打を放ち、打率.360、二塁打2本、本塁打1本という成績を残した。西川選手の過去の楽天戦の成績は、2016年は打率.387と好相性だったが、2017年が打率.280、2018年と2019年がともに打率.281と、直近3年は打率.280近辺の数字が続いていた。今季は久々に、楽天を“お得意様”とするシーズンにできるだろうか。

 また、中田翔選手は打率こそ.217と低かったものの、6試合で4本塁打を放つ活躍ぶりで長距離砲としての存在感を発揮。中田選手は村田投手とは対照的に、近年の楽天戦の対戦成績は芳しいものではなかった。

中田翔
中田翔

 このように、2017年以降のこのカードではかなり苦しい数字となっている。昨季は楽天との最初の6試合で打率.315と活躍を見せたが、その後は苦しんで打率.224という数字に終わっていた。今季も打率こそ低いものの、2017年と2018年の同カードで記録した本塁打数をたったの6試合で超えている点は特筆ものだ。徐々に対応された2019年と同じ轍を踏むことなく、今後も本塁打を量産できるかに注目だ。

楽天

 開幕ローテーションの一員としてプロ2年目のシーズンを迎えた弓削隼人投手が、今季初登板となった6月23日の北海道日本ハム戦で6.2回を投げて6奪三振、無失点で今季初勝利をマークした。2018年にも北海道日本ハムに対しては3試合で2勝、防御率1.40という快投を見せており、今後もこの投球が続けられれば、前年に引き続いて“お得意様”と呼べる存在となってきそうだ。

 また、エースの則本昂大投手も6月26日に7回1失点という好投を見せて白星を記録。則本投手の対北海道日本ハムの成績は、2017年から3年続けて防御率3点台という数字だった。今季はさらに相性の良い相手とできるか、今後の投球に期待したい。また、J.T.シャギワ投手が3試合に登板して2.1回を無失点、津留崎大成投手も3試合で3回を投げて無失点と、2名の新戦力も好投を披露。相手の研究を乗り越え、今後も同様の快投を続けられるか注目だ。

 打線では開幕から正捕手として出場を続けている太田光選手が、6月27日の試合で4打数4安打の活躍を見せるなど、6試合で打率.500、OPS1.368という驚異的な数字を記録。「打てる捕手」としての地位を確立するためにも、得意な相手を作ることはプラスに働くことだろう。今後もこのカードで活躍を見せられるかは、本人にとってもチームにとっても重要になってきそうだ。

 さらに、ステフェン・ロメロ選手も6試合で打率.500、2本塁打、OPS1.547という圧巻の成績を残し、チームのカード勝ち越しに貢献している。オリックスに在籍していた2017年から2019年における、ロメロ選手の対北海道日本ハムの成績は以下の通りだ。

ステフェン・ロメロ
ステフェン・ロメロ

 2017年には17試合で9本塁打を放ち、2019年には打率.362を記録するなど、やや得意としている相手と言えそうだ。2019年にも北海道日本ハムとの最初の6試合で打率.364という数字を残していたが、太田選手と同じく2打数に1本の割合でヒットを放った今回の6連戦では、その前年をさらに上回る好成績を残している点も特筆ものだ。

 また、浅村栄斗選手も6試合で打率.417、3本塁打、11打点、OPS1.417という素晴らしい活躍を見せ、チームの勝ち越しに大きく貢献している。浅村選手の2016年以降の北海道日本ハムとの対戦成績についても、同様に見ていこう。

浅村栄斗
浅村栄斗

 埼玉西武に在籍していた2016年から2018年まではいずれも対戦打率が.300を超えるなどかなり得意としていたが、楽天移籍後の2019年はやや対戦成績を落としていた。最初の対戦で好スタートを切った今季は、再びこの対戦を好相性のカードとできるか。

埼玉西武

 投手陣では守護神の増田達至投手が3試合に登板して無失点、その間に許した走者は1人のみという抜群の安定感を見せ、1勝2セーブとチームの勝利に貢献。増田選手の2016年以降における、福岡ソフトバンクとの対戦成績は次のようになっている。

増田達至
増田達至

 2016年は見事な成績を収めていたが、2017年と2018年には対戦防御率が大きく悪化。しかし、自身初の年間30セーブを記録するなどキャリアハイの成績を収めた2019年には、再び対戦成績を良化させていた。2020年もこの流れを継続し、2019年までの2シーズンにわたった苦戦を、完全に過去のものとできるだろうか。

 また、平井克典投手も3試合で2.1イニングに登板して無失点、新戦力の宮川哲投手とリード・ギャレット投手もそれぞれ4イニングで失点は1つのみと、増田投手以外のリリーフ陣の中にも活躍を見せた面々は多かった。救援陣の踏ん張りが、6月26日から3日連続で起こした終盤の逆転劇にも大きな役割を果たしただけに、今後もこの相性が続くかどうかは、チーム全体の対戦成績をも左右しうるだろう。

 打線では山川穂高選手が6試合で打率.375、5本塁打、12打点、OPS1.873という圧巻の打棒を見せ、3年連続の本塁打王に向けて好スタートを切っている。山川選手の2016年以降の対福岡ソフトバンクの打撃成績はこのようになっている。

山川穂高
山川穂高

 2年続けて福岡ソフトバンク戦で11本の本塁打を放っており、2019年にはカード別で最多となる本塁打数を記録。2017年にも高い対戦打率を記録するなど、総じてこの顔合わせを得意としていると言えそうだ。3シーズン続けてリーグ優勝を争ってきたライバルとの直接対決を好成績で終えるためにも、主砲のバットにかかる期待は今後も大きくなりそうだ。

 また、新助っ人のコーリー・スパンジェンバーグ選手は開幕カードの北海道日本ハム戦では打率.071と苦しんだが、福岡ソフトバンクとの6連戦では来日初本塁打を満塁弾で飾るなど、打率.385、OPS.984と大活躍。新戦力のみならず、外崎修汰選手が打率.300、中村剛也選手も打率.316と、リーグ連覇を支えてきた主力選手たちも活躍を見せている。

 ただ、外崎選手は昨季までの福岡ソフトバンクとの試合では、これまで芳しい成績を残せていたとは言い難かった。外崎選手の成績はこちら。

外崎修汰
外崎修汰

 このような数字に加え、昨季も福岡ソフトバンクとの最初の6試合で打率.125と、出足からつまずいていた面は否めなかった。しかし、今季は打率.300に加えて二塁打と三塁打も既に1本放っており、出塁率も.417と高水準。これまでの苦戦を払拭する1年とできるか、今後の対決にも注目だ。

福岡ソフトバンク

 投手陣ではリバン・モイネロ投手が4試合に登板し、3.1イニングで6奪三振を奪って無失点という、まさに圧巻といえる投球を見せた。モイネロ投手が来日した2017年以降の埼玉西武戦における成績は、若き左腕の確かな成長が感じ取れるものとなっている。

モイネロ
モイネロ

 来日初年度の2017年は大苦戦を強いられ、2018年も防御率4点台と苦しめられたが、2019年には大幅に投球内容を良化させていた。最初のカードで完璧な投球を見せて強力打線を封じた今季も、同様の流れを継続して完全に“お得意様”とすることができるか。

 また、嘉弥真新也投手が3試合で2.2イニングを投げて5奪三振、無失点と、こちらもモイネロ投手同様に素晴らしい好投を披露した。嘉弥真投手が2016年以降の埼玉西武戦で記録してきた数字についても、見ていきたい。

嘉弥真新也
嘉弥真新也

 防御率を見てもわかる通り、過去4年間のこのカードでは苦しい投球が続いていた。埼玉西武には昨季の首位打者・森友哉選手、不動の遊撃手の源田壮亮選手、今季好調のベテラン・栗山巧選手、新助っ人のスパンジェンバーグ選手と、左打ちの主力打者が多く在籍。そうなれば当然ながら左のリリーフの需要も高くなるだけに、モイネロ投手と嘉弥真投手が好投を続けられるかは、今後の対戦においても重要なファクターとなってきそうだ。


 野手では開幕から絶好調の栗原陵矢選手が、6試合で打率.360、1本塁打、8打点、出塁率.429、OPS1.029と、このカードでも上位打線に座って大活躍を見せていた。先述の太田選手と同様、レギュラーの座をうかがっている栗原選手にとっては、特定の球団との6連戦での打撃成績は大事なものだ。一塁手には抜群の実績を持つ内川聖一選手が控えるだけに、ポジション争いという点でも、ライバルの埼玉西武を打ち崩せるかは重要になってきそうだ。

 また、今宮健太選手が打撃面でも5試合で打率.316、1本塁打、4打点という数字を残し、攻守にわたって強い存在感を放った。今宮選手もまた、埼玉西武との対戦成績を年々改善していった選手の一人だ。

今宮健太
今宮健太

 2016年と2017年は低打率にあえいだが、2018年、2019年と、年を経るごとに打撃成績が向上している。また、昨季は埼玉西武との最初の6試合で打率.545と、まさに大活躍を見せていた。その数字には及ばないにせよ、今季もその流れを継続できそうな気配が見えるだけに、昨季以上の成績を残すことができるか、今後の対決にも注目だ。

千葉ロッテ

 オリックスを相手に同一カード6連勝を達成して話題となった千葉ロッテでは、岩下大輝投手が今季初登板となった6月25日の試合で5.2回を無失点と好投し、今季初勝利を手にした。岩下投手は一軍にデビューした2018年はオリックス相手に3試合に登板し、対戦防御率19.29と打ち込まれたが、2019年は同カードで5試合に登板し、防御率1.52と一転して“お得意様”にしていた。今季もその流れを持続させ、チームに勝ち星を呼び込めるだろうか。

 また、種市篤暉投手が7回1失点、美馬学投手が7回3失点と、それぞれ自身に勝ち星こそつかなかったものの、チームの勝利につながる好投を見せた。同一カード6連戦では、基本的にローテーション投手全員がお互いのチームと対戦することとなる。そのため、各投手の対戦相手に対する相性が、今後はより重要となってくるだろう。おしなべて先発投手が試合を作ったうえで達成した6連勝は、今後に向けても大きな意味を持ってくるかもしれない。

 救援陣では益田直也投手とフランク・ハーマン投手がそれぞれ3試合を無失点と、両者ともに僅差の場面で安定した投球を披露。毎年多くの試合に登板して千葉ロッテを支えてきた益田投手だが、対オリックス戦での直近3年の成績は興味深いものとなっていた。

益田直也
益田直也

 2016年は防御率0.59とかなりの安定感を見せていたが、2017年以降は毎年のように苦しい投球が続いていた。守護神が苦手な相手をシーズン最初のカードでで完璧に抑え込んだことは、今後大きな意味を持ってくるかもしれない。また、ハーマン投手も楽天時代の2019年にはオリックス戦で防御率7.56と打ち込まれていたこともあり、こちらも前年の相性を払拭できるかに注目だ。

 打線では中村奨吾選手が6月25日の試合で満塁本塁打を放つなど、打率.318、OPS1.030と活躍。また、井上晴哉選手が打率.357、出塁率.565、OPS.922。ブランドン・レアード選手が打率.348、4本塁打、6打点、OPS1.245と、多くの主力選手たちが活躍を見せた。この3選手が昨季までに残したオリックス戦の成績は、それぞれ次のようになっている。

中村奨吾、井上晴哉、レアード
中村奨吾、井上晴哉、レアード

 以上のように、それぞれ2019年まではオリックス戦を比較的苦手としていたことがわかる。多くの主力が打撃面で苦戦を強いられたことが、昨季オリックスに9勝15敗1分と大きく負け越した要因の一つにもなった。この相性が僅差でAクラスを逃した要因の一つともなっただけに、今季は各選手がこの相性を維持できるかに注目だ。

 また、荻野貴司選手が打率.364、出塁率.462、OPS.962と奮闘し、田村龍弘選手も打率.400、出塁率.538、OPS1.038と活躍。荻野貴選手は昨季も打率.297とチーム全体が苦しめられたオリックス投手陣をさほど苦にしなかったが、田村選手は前年の打率.163という数字から大きく改善を見せている。ともに2018年以前の成績は先述の3選手ほど悪くはなかったが、今後も同様の活躍を見せられるかは、チーム全体にとっても重要となってきそうだ。

オリックス

 オリックスでは開幕投手の山岡泰輔投手が故障で戦線を離脱し、昨季の最優秀防御率を獲得した山本由伸投手も5.2回を4失点と、開幕直後の楽天との3連戦を含めて投手陣のやり繰りに苦しむ状態が続いていた。そんななかで、田嶋大樹投手が6月27日の試合で6.2イニングを投げ、1失点と好投したのは明るい材料だ。田嶋選手の千葉ロッテとの対戦成績は、その好投の理由の一端がうかがい知れるものとなっている。

田嶋大樹
田嶋大樹

 登板数こそ多くはないものの、両年ともに防御率1点台と、キャリアを通して千葉ロッテをかなり得意としていることがうかがえる。今季もこの相性を維持し続け、相手に対してさらなる苦手意識を植えつけることができるだろうか。

 リリーフ陣では比嘉幹貴投手が4試合で2イニングを投げて無失点、山田修義投手が3.1イニングで4奪三振を奪って無失点と、それぞれ要所を締める投球を見せて安定感を示した。この6連戦では試合終盤に救援陣が崩れて試合を落とすケースも目立っただけに、来日初登板で無死満塁という絶体絶命のピンチを無失点で切り抜けたタイラー・ヒギンス投手も含め、この3投手の活躍は今後も重要になってきそうだ。

 野手では安達了一選手が今季第1号本塁打を含む打率.500、出塁率.600、OPS1.350と活躍を見せ、打撃の調子を上向かせている。2019年にも千葉ロッテ戦では14試合で打率.378、出塁率.451と好成績を残し、このカードでのチーム全体の好相性にも貢献していただけに、今後、今回の6連敗を払拭するためにも、その活躍は欠かせなさそうだ。

 また、主砲のT-岡田選手も試合によってさまざまな打順を経験しながら、打率.300、2本塁打、6打点、OPS1.040と存在感を放った。そんなT-岡田選手だが、直近2年の不振と歩調を合わせるように、カード別の成績でも難しい戦いを強いられてきた。

T-岡田
T-岡田

 2016年と2017年は優れた成績を残していたが、2018年以降は一転して苦戦していたことがわかる。とりわけ昨季はわずか1本しか安打を記録できず、打率、出塁率がともに.050と極端に悪い数字に。今季の最初の6試合で見せた好スタートが、過去2シーズンにわたって続いた苦戦を覆すきっかけとなるかに注目したい。

「同一カード6連戦」によって、カード別の相性の重要性はより増してくる?

 以上のように、6連戦という括りの中で出色の活躍を見せた選手は、各球団内にそれぞれ少なからず存在した。先発ローテーションに入っている投手が少なくとも一度は該当カードで登板し、打者やリリーフ投手にとっても同じ相手との試合が続くという環境が、今季のペナントレースを、昨季までとはやや趣の異なるものとする可能性は大いにあるだろう。

 今回取り上げた選手たちが今後訪れる対戦でも同様の活躍を見せるか、それとも対戦相手の球団が研究と対策を講じ、次の対戦では返り討ちにするか。今後のパワーバランスやペナントレースの順位にも影響してきそうな要素なだけに、変則的な日程がもたらす変化や、各選手の対戦成績について、いま一度注目してみる価値は大いにあるはずだ。

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