スポーツアンカー近藤祐司さんはホワイトソックス専属アナウンサーから大きな影響を受けた
Full-Countでは選手や文化人、タレントら野球を心から愛し、一日でも早く事態の収束を願う方々を取材。野球愛、原点の思い出をファンの皆さんと共感してもらう企画「私が野球を好きになった日」の第4回はスポーツ専門チャンネル「GAORA」でスポーツアンカーを務める近藤祐司さん。日本ハム主催試合での決め台詞「イッツゴーンヌ(It’s gone)」など“英語実況”でお馴染みの近藤さんの原点に迫った。
1997年にスポーツアンカーに転身し、2000年に番組プロデューサーに勧められて2004年から野球実況をスタートさせた。
「スポーツ局のプロデューサーから『野球もできるんじゃないか』と言われたのが2000年。そこから野球を勉強して、一番最初にやったのが2004年でした。その辺りから、中継の仕事が自分の中でやりがいを感じるようになりました。そこからですね。中継として生きていこうと思ったのは。いわゆる生放送で生きていこうと」
15年から日本ハム主催試合の実況を担当。高校時代まで過ごした米国で培った語学力を生かし、本塁打を「イッツゴーンヌ」、3者凡退を「ワン、ツー、スリー」など大リーグの現地中継のように実況する。野球ファンにはすっかりお馴染みとなったが、その“きっかけ”がホワイトソックス専属アナウンサーを長く務めていたケン・ハレルソン氏との出会いだ。
「野球の実況を頼まれた時に、いろんなアナウンサーを聞くことから始めました。当時は井口資仁さん(現ロッテ監督)がメジャーでプレーさせていた時で、ホワイトソックス戦の実況を聞くことが多かったんです。そしたら本塁打を打った時やファインプレーをした時に決め台詞があって『なんか個性的なアナウンサーがいるな。米国でも珍しいな』と……」
スポーツアンカー近藤さんの“英語実況”へのこだわり「決め台詞は言い続けることが大事だ」
元大リーガーだったハレルソン氏はレッドソックス時代の1968年にリーグ打点王に輝き、30歳の引退後にアナウンサーに転身。本塁打を放った時の「You can put it on the board! Yes! Yes!」と叫び、好プレーが生まれた時には「Mercy!」。2018年まで独特のフレーズで、シカゴのお茶の間を楽しませた。
近藤さんはホワイトソックス戦を現地中継することとなり渡米。現地放送ブースでハレルソン氏から実況の極意を聞き入ったという。
「決め台詞は『言い続けることが大事だ』と。最初は違和感があるけど、『言い続けることで周囲からキャラクターとして認められる』と言われました。この人に私のスポーツアンカーとしての形を作ってもらったと思います」
「(周囲から)“ゴーンヌおじさん”と呼ばれていることは知っています。嬉しいことですし、ありがたいことです。(中継中に)私の顔って10秒ぐらいしか出ないんです。それでも、視聴者の方に認識していただいている。見た目は若い? いやいや、46歳だから、おじさんでいいですよ(笑)」
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、近藤さんは日本ハム主催試合、大リーグや他の北米スポーツなど年間250試合の実況が白紙となった。「仕事ゼロ。全ての仕事がゴーンヌ。中継ゴーンヌですよ。今は『戦時中なんだ』と受け止めています」と生活は激変したが、3月18日から動画サイト「YouTube(ユーチューブ)」で自身の公式チャンネル「Ugk tube!」を開設。同時通訳できる語学力を駆使し、海外のスポーツニュースを日本語で解説している。
「大リーグは7月開幕の可能性と報道されている。だけど、日本のプロ野球は先に復帰して欲しいし、復帰できると思っています。日本が世界の模範となる国になってほしい。スポーツ活動は平和が戻ってきた象徴的な人間活動。何とか世界で最初に実現する国であって欲しいなと思っています」
1日も早い新型コロナウイルスの収束を願っている。
(小谷真弥 / Masaya Kotani)
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