NPB史上に残るハイレベルな数字を、複数記録してきた鳥谷敬選手
3月10日、千葉ロッテが鳥谷敬選手の入団を発表した。2003年のドラフトで自由枠として阪神に入団した鳥谷選手は、それから長年にわたって名遊撃手としてタイガースを支え続けてきた存在だ。その能力の高さは積み上げてきた数字にも表れており、連続試合出場やフルイニング出場といった部門において、NPB史上に残るハイレベルな記録を保持している。
そこで、鳥谷選手が積み上げてきた特筆すべき業績の数々を紹介。現役選手の中でも屈指の実績を持つ鳥谷選手の活躍ぶりを振り返るとともに、その加入が千葉ロッテにもたらす波及効果についても期待を寄せたい。
1939試合連続出場(NPB歴代2位)
連続試合出場の日本記録を保持しているのは、中心打者として広島の黄金時代を支え、「世界の鉄人」と呼ばれた衣笠祥雄氏(2215試合)。鳥谷選手はそれに次ぐ、歴代2位の記録を保持している。守備の負担が大きい遊撃手を長年勤めながら打ち立てた記録という点でも特筆に値するもので、鳥谷選手が持つ故障への強さと、日々の準備を欠かさない高いプロ意識の表れでもあるだろう。
667試合連続フルイニング出場(NPB歴代5位)
フルイニング出場の日本記録は、鳥谷選手にとって阪神でのチームメイトでもあった金本知憲氏が保持する1492試合だ。2位は秋山翔吾選手、3位は三宅秀史氏、4位は先述の衣笠氏で、鳥谷氏の667試合は歴代5位の数字だ。鳥谷選手の記録は遊撃手としてはNPB歴代最長であり、先述した連続試合出場も含め、日本プロ野球の歴史に残る鉄人の一人と言っても過言ではないはずだ。
シーズン104打点(2010年、遊撃手としてNPB史上最高記録)
2010年の阪神打線は、マット・マートン氏が打率.349、平野恵一氏が打率.350とチャンスメーカーの2選手が絶好調で、新井貴浩氏、クレイグ・ブラゼル氏、城島健司氏といった強打者たちも軒並み好成績を残した。この強力打線の中で鳥谷選手も中心打者として快打を連発し、遊撃手としてNPB史上初めてシーズン100打点超えを記録するという快挙を達成。最終的に104まで打点を伸ばし、この数字は現在でも遊撃手のNPB記録となっている。
通算2000本安打達成(2017年)
2000本安打を達成した福浦和也氏は昨季限りで現役を退いたが、鳥谷選手の加入でまた新たな名球会の会員が千葉ロッテに加わることになる。鳥谷選手はプロ2年目の2005年から13年連続で100安打以上を記録し、150安打以上を記録したシーズンも9度。二軍ヘッド兼打撃コーチとして後進の指導にあたる福浦氏と共に、チーム内の若手にとってはまさに最高の教材となりうるだろう。
阪神の歴代最多安打記録(2085本)
阪神在籍時に通算2000本安打を達成したのは、山内一弘氏、藤田平氏、金本知憲氏、そして鳥谷選手の4名。だが、阪神に在籍した期間だけで積み上げた安打数が2000本を超えたのは、藤田氏と鳥谷選手の2名だけだ。2018年10月4日、鳥谷選手は藤田氏が保持していた球団安打記録を塗り替える2065本目の安打を放ち、去年までに2085本の安打を積み上げた。80年以上の歴史を誇る阪神において、最も多くの安打を記録した選手となっている。
通算1046四球(現役最多、NPB史上14位)
高い打撃技術のみならず、優れた選球眼にも定評がある鳥谷選手。実際、2013年には1シーズンで104四球を記録し、通算打率.280に対して通算出塁率は.370。これらの数字からも、キャリアを通じて多くの四球を選んできたことが見て取れる。通算1000四球以上を記録している選手は、現役では鳥谷選手ただ一人。その数字はNPB通算でも14位に達しており、歴代でも上位の選球眼を有する選手であることが証明されている。
6度のベストナイン、5度のゴールデングラブ賞
これまで紹介してきた打撃面だけでなく、守備においても卓越した能力を有していた点も鳥谷選手の特長の一つだ。広い守備範囲と堅実なグラブ捌きは内野守備の要に相応しいものであり、遊撃手として4度のゴールデングラブ賞を獲得。2017年には三塁手としても同賞を受賞しており、ベストナインも6度受賞と打撃面でも遊撃手としてリーグ屈指の実力を保持。2000年代後半から2010年代前半にかけて、球界屈指の名手として躍動を続けた。
昨季は同じく大ベテランの細川亨選手が、経験を活かしてチームに貢献した先例も
以上のように華々しい実績を積み重ねてきた鳥谷選手だが、今年の6月には39歳を迎える。2019年のシーズンはスタメン出場の機会も減少し、74試合に出場して打率は.207。毎年のように全試合、全イニングに出場し、打率.280から.300以上を記録していた全盛期に比べると、やや寂しい数字にはなっている。
しかし、パ・リーグには指名打者があるという点が、鳥谷選手にとって追い風となる可能性はある。事実、ポジションを遊撃から三塁に移した2017年には、鳥谷選手は36歳にして打率.293、出塁率.390と復活を果たしている。その時と同様に、守備の負担が減少すれば打撃面の数字が向上する、という可能性もあるはずだ。
そして、抜群の実績と豊富な経験という財産は、安田尚憲選手、藤原恭大選手をはじめとした、将来を嘱望される左打者が多いチームにとっても貴重なものになりうる。また、千葉ロッテではそれまでチームリーダーとして奮闘してきた鈴木大地選手が抜けたばかりということもあり、チームを背中で引っ張るベテランの価値はさらに高まってくるかもしれない。
また、昨季は新加入の大ベテラン・細川亨選手が、試合終盤にゲームを締めにかかる“抑え捕手”としても存在感を発揮し、培ってきた経験を活かしてチームに貢献したという好例もある。鳥谷選手もその流れに乗り、グラウンド内外でチームを成長させる一助となれるだろうか。
鳥谷選手は千葉ロッテ入団に際し、「とにかくチームの優勝に少しでも貢献できるように精一杯、プレーをさせていただきます」というコメントを残している。美馬学投手、福田秀平選手、フランク・ハーマン投手、ジェイ・ジャクソン投手といった日本球界での実績を備えた選手たちを多く補強したチームにとって、図抜けた実績を持つ鳥谷選手の加入がもたらす波及効果が、躍進に向けた「ラストピース」となる可能性は十二分にあるだろう。
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