球数は要したものの、5回を投げて1安打1失点の好投
プロ初登板初先発で初勝利。今季のルーキー1番乗りで、プロ初白星をつかんだのは、オリックスの田嶋大樹投手だった。5回を投げて、わずか1安打1失点。昨季日本一になった福岡ソフトバンク打線を初回のソロ本塁打のみに抑え込む好投だった。
初回に31球、2回は34球と球数は要した。粘られながらも、アウトを重ねていき、108球で5回を投げ抜いた。6回に味方打線が勝ち越しに成功し、勝利投手の権利が巡ってきた。福良淳一監督も「良く投げたと思います」と評価する力投だった。
与えた3つの四球以上に、制球には苦しんだ。変化球がほとんど決まらず、福岡ソフトバンク打線はストレート1本に絞って対策を取った。それでも、ヒット1本に封じた。即戦力左腕として期待を寄せられ、初登板でそれに見事に応えた田嶋投手。その良さは一体どこにあったのだろう。
試合後、福岡ソフトバンクの立花義家打撃コーチはこう語る。
「球が来ていて、選手に聞くとキレていると。ビデオで見たよりも腕の位置が下がっている感じで、ボールが吹き上がってくるようだった。変化球が全然入っていなかったし、球数も多かったのに、仕留められなかった。真っ直ぐ1本でいっていたんだけど、ファールになってしまっていた」
初回に31球、2回に34球を投げた田嶋投手。2回は中村晃選手が9球、松田選手が10球、甲斐選手も9球を投げさせた。ただ、この立花コーチの言葉を借りれば、“粘った"というよりも“捉えられなかった"という表現が相応しいよう。12球団でも屈指の打者が並ぶ福岡ソフトバンク打線。初見とはいえ、その打線がストレート1本に絞りながら、それを捉えきれなかったのだから、最速150キロを記録した真っ直ぐの威力は相当のものだったのだろう。
また、藤本博史打撃コーチはこうも語っていた。
「いい投手はいい投手。右打者のインコースをどんどんついてきた。真っ直ぐに絞っても打てなかった」。
左スリークォーター気味の田嶋投手のフォーム。角度のあるところから、右打者のインコースを遠慮することなく、強気に突いていった。この内角攻めがまた、福岡ソフトバンク打線を苦しめたのだ。
試合後に「力が入りすぎたところがあって空回りした。内容はよくない。勝てたことは嬉しいけど、修正点はまだたくさんある」と語った田嶋投手。まだまだ、これが本来の投球では無さそう。これからのルーキー左腕の投球が楽しみだ。
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