米野球専門誌が大特集「スチュワートは日本での生活に馴染んできた」
福岡ソフトバンクは今年5月、日米が驚く“補強”を行った。昨年の全米ドラフトでブレーブスから1巡目(全体8位)指名を受けたカーター・スチュワート投手の獲得だ。優れた育成システムを持つ日本一球団は、6年総額700万ドル(約7億6700万円)で契約した“金の卵”をじっくりと育て上げる方針。今季は3軍、フェニックス・リーグでの登板のみにとどまったが、本人は米メディアの取材に対して「集中できる環境」「日本が大好き」などと早くも“日本愛”を語っている。
スチュワートは昨年、ブレーブスからドラフト1巡目で指名を受けたものの、身体検査で右手首に異常が見つかったとされ、契約額を下げられて入団せず。短大に進学した今年も上位指名が確実視されていたが、全米ドラフト直前に福岡ソフトバンクと契約して球界を驚かせた。生え抜きのスター選手を次々と輩出し、球界をリードする福岡ソフトバンクがどのように育てていくのか、大きな注目が集まっている。
スチュワートはシーズンを終えて帰国しており、米スポーツ専門誌「ベースボール・アメリカ」は「『僕はトレイルブレイザー(先駆者)になったような気分さ』:カーター・スチュワートは日本での生活に馴染んできた」とのタイトルで特集を掲載。本人のコメントも交えて、日本での1年目を振り返っている。
記事では、福岡とスチュワートの出身地のフロリダ州メルボルンが、地球の2地点の最長距離7926マイル(約1万2760キロ)に近い7723マイル(約1万2434キロ)も離れていることに注目。「仕事のために行くにはかなり離れた場所だ」と言及し、福岡ソフトバンクと契約に至った経緯などを振り返っている。ブレーブスとの契約破談は、9歳の時のスケートボードでの手首の怪我を理由に金額を下げられたためだとも説明。短大時代の監督の「彼は100%健康だった。彼がここにいた間は手首に問題は全くなかった」というコメントも紹介している。
溢れる“日本愛”を明かす「どんなにここが好きで、どんなにこのチャンスに感謝しているか」
これまでも多くの“助っ人”が日本にやってきたが、スチュワートは「アメリカ生まれのドラフト1巡目に選ばれた選手として初めて日本でプロ契約をした」選手。同誌の取材に対して、本人は「僕はトレイルブレイザー(先駆者)になったような気分さ」と胸の内を明かし、「他の選手もこの機会にトライしてほしいと思っているよ。これまでのところ、日本が大好きだよ。そして、友達みんなにどんなにここが好きで、どんなにこのチャンスに感謝しているか話してるんだ」と話している。早くも心には強い“日本愛”が芽生えているようだ。
肝心の野球では、まだ3軍の試合で登板しただけ。ただ、育成に定評のある福岡ソフトバンクの環境には感謝している様子。「今、最もタフなことは毎日の日課をこなすこと。体を鍛えながら、プロ野球がどんなところか学んでいるところ」と、自身の実力を磨くことに集中しているという。
「ベストなことは、僕を指導してくれるコーチに毎日会えること。そして、多くの選手たちも僕に良くしてくれている。人生が仕事一色になり、それに集中できる環境だよ」
記事の中では「友達もいなくて、両親ともあまり話せない状態なので、自分で考えて、毎日やってるよ」とも話しているスチュワート。慣れない環境に身を置いていることをプラスの力に変えているようで、日本の野球にも徐々に慣れてきているという。「四球が少し多くなった」と課題を挙げながらも「ここの選手は、単打、二塁打に多く頼ったオールドスクールの野球をする」と言及。日本の野球を理解しようと努力していることがうかがえる。
スチュワートが順調に育てば、将来のエースとして期待できることは間違いない。常勝軍団がさらなる高みへと到達するために“超有望株”の台頭が待たれるところだ。
(Full-Count編集部)
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