埼玉西武の日台交流。台湾の「ライオンズ」とコラボイベントを実施

パ・リーグ インサイト 武山智史

2016.9.14(水) 00:00

8月30日、埼玉西武ライオンズ対福岡ソフトバンクホークスの試合前。西武プリンスドームのグラウンド上では埼玉西武の公式パフォーマンスチーム「bluelegends」に加え、台湾プロ野球・統一セブン-イレブンライオンズの公式チアリーダーの「Uni-girls」が息の合ったダンスを披露する。さらに、埼玉西武のマスコット・レオと統一のマスコット・LIONが連続バク転で対決。両球団のマスコットによる、互いの意地を見せた白熱の戦いが繰り広げられていた。

この30日と翌31日の2日間、埼玉西武は「統一セブン-イレブンライオンズデー」と銘打ち、日台の「ライオンズ」がコラボレーションするイベントを行った。埼玉西武と台湾球界の関係と言えば過去には郭泰源氏に始まり、許銘傑氏、張誌家氏と台湾出身の投手が先発陣の一角を担っていた。そして現在は郭俊麟投手、C.C.リー投手、呉念庭選手と3人の台湾出身選手が在籍し、今もつながりは深い。

「今回のイベントは過去のつながりはもちろん、きっかけとなったのは昨年の郭俊麟投手の入団です。郭俊麟投手を獲得した直後、台湾観光協会に行き『イベントを一緒にやりませんか』と提案しました。それで生まれたのが昨年から開催している『台湾デー」です。西武グループ全体でもインバウンド(訪日旅行)を推進する流れがあったのも大きいですね」と西武ライオンズ事業部コミュニティーグループの市川徹氏は説明する。

その流れに加えて、パ・リーグの積極的な台湾マーケット拡大も追い風となっている。台湾出身である北海道日本ハム・陽岱鋼選手の活躍もあって、台湾の野球ファンの日本プロ野球に対する関心が高まっていた。今年1月にはパシフィックリーグマーケティング(PLM)とFOXスポーツ台湾が3年間の放映権契約を締結。5月には台北で開催された台湾国際観光博覧会(TTE)に出展するなど、台湾でのパ・リーグの認知度アップを図っている。

埼玉西武と統一セブン-イレブンライオンズのコラボレーションは同じチーム名の縁、西武OBの郭泰源氏が今季から監督を務めていることもあって統一セブン-イレブンライオンズ側からコラボイベントの話が出た。協議の結果、日本、台湾でそれぞれ1回ずつイベントを行うことが決まる。7月30日、31日には統一セブン-イレブンライオンズが主催試合で「埼玉西武ライオンズデー」を開催。日本からは「bluelegends」、レオ、ライナ、そして台湾プロ野球でプレー経験のある渡辺久信SDが現地を訪れた。訪台に同行していた市川氏は振り返る。

「イベント実現のために台湾には何度も足を運びましたが、日に日に埼玉西武ライオンズの認知度は高まっていた印象があります。埼玉西武のユニホームを着ているファンの方もいて『台湾にも埼玉西武が好きな人が多いんだな』と感じましたね。パ・リーグ6球団で言えば、ウチと北海道日本ハムが突出しているのではないでしょうか」

「埼玉西武ライオンズデー」の2週間前には西武グループとして「西武デー」を開催した。西武OBの秋山幸二氏が始球式を務めたこの時、グッズを販売した際には初日で完売するほどだった。

そして8月の「統一セブン-イレブンライオンズデー」。スタンドには統一セブン-イレブンのユニホームを着た埼玉西武のファンや、はるばる台湾から来た統一セブン-イレブンのファンの姿も見られた。

また、チームに帯同していた統一セブン-イレブンの蘇泰安総経理(GM)は「これからもこのような交流イベントが続いて、もっと台湾のファンに埼玉西武ライオンズさんの魅力を広げて行きたい。統一セブン-イレブンライオンズの日本での知名度をもっと広げられたらと思います」と今後のさらなる両球団の交流に向け意気込みを語った。

渡辺SDは7月に台湾を訪問した際、「統一セブン-イレブンの選手・コーチを、埼玉西武が行う南郷秋季キャンプに招待する計画を考えている」と現地メディアのインタビューに答えた。将来的には交流試合、または台湾でのレギュラーシーズン開催も視野に入れている。

「今年コラボイベントを開催して、間違いなくお互いにメリットがあったと考えています。来年以降も継続して行い台湾で埼玉西武のファンが、日本で統一セブン-イレブンのファンが増えるように展開していきたいですね」と展望を語る市川氏。埼玉西武と台湾野球の密なる関係、発展は今後も大いに期待される。

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パ・リーグ インサイト 武山智史

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