日本のプロ野球をもっと身近に。台湾で行われたライオンズ同士のコラボイベント

パ・リーグ インサイト 豊川遼

2016.9.14(水) 00:00

8月30日、31日の両日は西武プリンスドームで「統一セブン-イレブンライオンズデー」が開催された。今回は日本と台湾のプロ野球界で同じライオンズを名乗る両球団同士によるコラボレーション企画であり、7月は台湾・台南でも同様のイベントが行われていた。

統一セブン-イレブンは台湾プロ野球(CPBL)が誕生した90年から続く老舗球団。年間優勝は他球団を上回る9回を誇る。また、アジアシリーズには過去4度出場しており08年には日台のライオンズ対決が実現している。

このように試合で対戦をしたことはあったものの、今回のような交流イベントを実施したことはなかった。転機となったのは今年、西武OBの郭泰源氏が監督に就任してからだ。郭氏は現役引退後、最高顧問として渡辺久信氏(現シニアディレクター)や石井丈裕氏らの台湾球界入りを支援したことでも知られる。今年の3月からは西口文也氏を臨時コーチとして招くなど、現在でも日台の架け橋となっている。ちなみに球団は西口氏のコーチ期間終了後、労をねぎらうためにファンとの写真撮影会を用意した。こうして海外出身者が主役となるイベントの実施は、日本ではあまり類をみない。

7月30日、31日に台南市立野球場で行われた義大ライノズ戦での「埼玉西武ライオンズデー」で、選手達は今回のコラボイベントのために製作されたユニホームを着用して戦った。8月に来日したチアリーダーの「Uni-girls」やキャラクターの「LION」が着ていたものと同じものだ。これは台南限定で発売され、30日の試合前には既に在庫がSサイズのみとなるほどの大人気商品となった。

その他にもコラボTシャツや記念タオル、ボールなど多彩な商品が揃えられていた。驚いたことに、ユニホームを購入すると選手のフィギュアがおまけで付いてきた。統一セブン-イレブンのサービス精神旺盛なグッズ販売には驚かされた。

球場前では両球団のキャラクターが描かれた旗がズラリと並び、用意された特設ステージ前では埼玉西武と統一セブン-イレブンの応援歌が交互に流されていた。そこでは、観戦に訪れていた台湾人の野球ファンが日本語で埼玉西武の応援歌を熱唱している姿が見受けられた。

その近くに並んでいたブースでは、西武プリンスドームへの観戦ツアーの宣伝や、グラブの手入れをする場所、内野席チケット購入者特典の手渡しが行われていた。この2日間の前売りチケットを購入すると両チームのコラボフラッグやタオルをもらうことができた。また、入口ではジェット風船も配られており、まるで西武プリンスドームで応援しているかのような体験ができるよう、周到な準備がなされていた。

この2日間はあいにくの雨模様で両日とも1時間以上の中断を強いられたものの、現地のファンは豪雨にも負けずに応援を続けた。7回裏の攻撃前には埼玉西武の応援歌を熱唱。気温30度の熱帯夜で進行した試合はさらに熱を帯びたのだった。

現在、埼玉西武には台湾出身の3選手が在籍。一方の統一セブン-イレブンは郭泰源氏が監督を務めていることから、これからも埼玉西武と統一セブン-イレブンのコラボイベントは続いていくことだろう。両国のさらなる野球の発展を願い、今後は両球団による定期的な交流戦の実現にも期待していきたい。

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パ・リーグ インサイト 豊川遼

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