
◆パ・リーグ 西武―楽天(10日・ベルーナドーム)
楽天の攻守の中心である太田光捕手(29)が「母の日」である10日、母親への感謝の思いを口にした。
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扇の要の原点を遡ると、母の支えに行き着く。太田は少し照れくさそうにしながら、お母さんの人物像を明かした。「喜ぶ、楽しむ、悲しむ、怒るというように喜怒哀楽や、感情がすごくはっきりしてますね」。優しく、時にダメなものはダメと叱ってくれる存在。小学校の教員として教壇に立っていた母は、仕事と育児を両立させながら献身的にサポートしてくれていた。
共働きの両親が交代で練習の送迎をこなし、帰宅すれば母の手料理が待つ。添加物を控えた、優しい薄味が懐かしい。「お母さんの料理は味付けが薄めなんです。子供の頃は濃い味が食べたかったけど、今思うとすごく健康的な食事でした。自分が体のケアをするようになってから、あの食事はありがたかったなと改めて感じます」。当時はちょっぴり物足りなさもあったその優しい味が、今の頑強な体の礎になっている。
胸に残る言葉がある。高校進学からは親元を離れての生活。厳しい勝負の世界を飛び込む際、母はやさしくこう告げてくれた。「死ぬ以外だったらなんでもいいからね。それくらいしんどかったら、いつでも家に戻ってきていいんだからね」。退路を断つのではなく、そっと“逃げ道”を用意してくれた。「最後の逃げ場を作ってくれる、ダメでも戻る場所があると思えたのは、ありがたかったです」。その大きな慈愛があったからこそ、迷うことなく戦い抜くことができた。
今は太田自身も結婚し、家族を持つ立場になった。「子供から見た親はすごく大人に見えるけど、実際に自分が伝える側になると、一言一言をどう伝えようか、すごく考える。責任の感じ方が全然違う。親もこうやって考えて接してくれていたのかな、と思ったりしますね」。親の重みを改めて感じている日々を過ごしている。
「僕は性格や考え方もお母さん似。だから気持ちが分かる部分も多いので、アドバイスしてもらったり、逆にしてあげられたらいいなって思います」。そうほほえむ顔はいつにも増して柔らかい。10日の母の日。勝利の二文字とともに、感謝の思いを届けたい。一挙手一投足に、母から授かった優しさと強さを込めていく。(宮内 孝太)