
◆ファーム・リーグ 楽天1―1ヤクルト(8日・森林どり泉)
楽天・酒居知史投手(33)が8日、ファーム・リーグのヤクルト戦に登板し、1回無安打無失点に抑えた。
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酒居が完全復活への道のりを一歩ずつ歩んでいる。25年3月に右肘のトミー・ジョン手術を受け、26年3月に実戦復帰。ファーム・リーグで計7試合に登板して0勝0敗、防御率1・42の成績を残している。現状の投球について厳しい目で見つめた。
「試合レベルでの100で言ったら、全部を加味したら60から70くらいじゃないかな。出力もまだですし、全てです。変化球を含めて、腕が振り切れていない、体を使いきれてない。でも体のことも含めてそれは理解しているので、投げていきながらですね」
NPB通算318試合に登板している右腕にとっては手術自体が初。“商売道具”の右肘にメスを入れる恐怖心がなかったはずはない。それでも、「どうすることもできない状況だった」と、当時の葛藤をのみ込む。
「1年間を棒に振るのを分かってやるわけですし、もちろん恐怖心はありました。でも手術前の状態、どうにか改善できないかいろいろ経ての決断だった。どうすることもできない状況だったので、メスを入れるのはしょうがなかったと思うので」
長期間のリハビリ、そして1軍の舞台から遠ざる日々。周囲からは「“空白期間”がプラスになった」という言葉も期待される。だが、酒居はあえて、その“美談”を拒絶し、偽らざる本音を明かした。
「現時点での本音を言えば、プラスになったと思えるのは結果が出てからじゃないかな。いくら鍛えました、練習やりましたと言ってもそれは自己満足なので。結果が良かったらやっぱりプラスだったなと捉えられるし、現段階では(1軍で)投げられてないということが大きいのでマイナスかもしれない。正直に言うと、リハビリのつらさとかを経験できて良かったと言うのは、今はまだ美談すぎるかな」
手術後に求めたのは「元の姿」ではない。新たな自分だ。肉体強化とともに負担の少ない投球フォームを模索している。
「前回の投球フォームは肘に負担がかかるものだった。肩肘に負担がこないフォームで投げていきたいのは大前提であって、フォームづくりも並行して取り組んでいる最中です」
4月は主に中6日のペースで登板。今後は登板間隔を徐々に詰めていきながら、段階を上っていく。「前は(登板後の)リカバリーに時間がかかってたけど、どんどん早くなってますし、そういう大きい枠組みでみたらすごく良くはなっている」。一歩ずつ、確実に。頼りになるリリーバーは、完全復活を証明するその日まで歩みを止めない。 (宮内 孝太)