ロッテ・坂本光士郎「2イニング、3イニング投げられるようになったのは自分にとってプラス」悔しいシーズンから復活の兆しを見せた1年に

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ロッテ・坂本光士郎(撮影=岩下雄太)
ロッテ・坂本光士郎(撮影=岩下雄太)

 「去年から比べると試合数も投げられましたし、2イニング、3イニング投げられるようになったのは自分にとってプラスかなと思います」

 ロッテの坂本光士郎は今季をこのように振り返った。

 坂本は昨季移籍後ワーストの8試合の登板にとどまり、「一言で言ったら悔しいシーズンでしたし、その悔しさを来年(2026年)同じことをしてはダメだし、変えていかなきゃいけないところを変えていかないといけない」と唇を噛んだ。

 今季に向けての自主トレでは「安定感もそうですけど、体が硬くなっているのはすごく感じたので、そこにフォーカスして体を柔らかくする。連動というところをフォーカスしてやっていました」と、柔軟性を求め、トレーニングに励んだ。

 投球面では、「自主トレの中でもいいストレートがだいぶ感覚的には増えてきている。それを継続していけたらなと思います」と生命線となるストレートを磨き、「まっすぐ、スライダーだけになってしまうと絞られてしまう。そこに関して、カット、スプリットがあるだけでバッターも違うと思うので、そこは引き続きやっていきたいと思います」とカットボール、スプリットを投げ、打者の的を絞らせない考えを示した。

 2月10日のライブBPでは、井上広大の1セット目の5球目に113キロのチェンジアップを投じ、見逃しを奪った。チェンジアップは昨季まであまり投げていなかった球種だが、「(球種が)多ければ多い方がいいと思いますし、精度というところもブルペンの中でいい感じで、投げられているので投げています」と試投。

 「引っ掛けているところもありましたけど、井上に対しての最後のチェンジアップはブルペンの中でも精度が高くなってきている。僕の場合、まっすぐ、スライダーというところがあるので、スプリット、チェンジアップを去年とかそれまでのシーズンと比べて割合を増やしていければ、投球の幅も広がってくると思います」と好感触を掴んだ。

 2月18日の広島との練習試合でもチェンジアップを投げるなど、新シーズンに向けて新たな引き出しを増やした。対外試合初登板となった2月14日のDeNAとの練習試合から3試合連続で無失点に抑えていたが、2月25日のオリックス戦、3月4日の楽天とのオープン戦で失点したのを最後にファームで過ごした。

 ファームでは「基本的にはそこの柔軟性、連動というところはずっとやっていました」と、変わらず上半身と下半身の連動性を意識して取り組み、投球面でも開幕から4試合連続無失点に抑え、4月7日に今季初昇格。今季初登板は同日のオリックス戦、1-3の8回二死一、二塁と走者を背負った場面での登板となったが、「スタートとしてはすごく良かったかなと思います」と、若月健矢に内野安打を打たれたものの、紅林弘太郎をストレートで右飛に打ち取り、スコアボードに0を入れ、ベンチに戻った。

 紅林に1ストライクから投じた2球目の空振りは151キロを計測するなど、ストレートが力強かった。「今年初めてくらいの150だったんですけど、気持ちと体とがしっかり合致してスピードも出ていましたし、球質的にも自分が求めているところにだいぶ近づいているので、継続してやっていこうと思います」

 この日の登板では“左打者”との対戦はなかったが、「左にどれだけスプリットを使えるのかが勝負になってくる。早く対戦したいと思います」と、“左打者”との対戦を心待ちにした中で、今季2度目の登板となった4月14日の日本ハム戦、1-4の8回一死走者なしの場面で、今季初めて左打者と対戦し、西川遥輝を1ボール2ストライクから4球目の150キロのストレートで二ゴロに仕留め、続く田宮裕涼を1ボール2ストライクから外角の142キロのカットボールで空振り三振に仕留めた。

 2月の春季キャンプ、練習試合ではチェンジアップを投げていたが、「投げているんですけど、バッターと対戦している中で、スプリットがいい感じに落ちていて空振りが取れている」と話し、「できるだけ早く結果を残さないといけない。自分の中でスプリットが良いなと思ったので、チェンジアップをなるべく少なくしてスプリットにしています」と、4月時点ではスプリットの優先度が高くなり、チェンジアップの割合が自然と減った。

 4月16日の日本ハム戦では、今季初めて4-3の勝ち試合の7回に登板し、1回を無失点に抑えた。4月21日のオリックス戦で、4-3の6回無死二塁の場面で、先発・ジャクソンの後を受けて登板し1回を無失点に抑えたが、翌22日に一軍登録を抹消。

 5月17日に再昇格を果たすと、力強いストレートで打者を圧倒した。2回を無失点に抑えた5月24日の楽天戦、1-8の3回一死一、二塁で平良竜哉を3ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた6球目のインコース146キロストレート、6月10日の中日戦、1-11の7回先頭の石伊雄太を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた外角148キロストレート、1-11の7回二死走者なしで岡林勇希を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた外角149キロストレートは素晴らしかった。

 ストレートが大きく良くなった要因に「ライン出しじゃないですけど、ちょっと悪い時は体が外回りすることがずっとあった。今年すごくそれがダメだなと思った時に修正ができているので、そこはマウンド上でも落ち着けているのかなと思います」と説明。

 6月7日の巨人戦では、1-2の8回一死二塁で坂本勇人に対し、6球目まで全てストレート。3ボール2ストライクから投じた7球目、相手打者がストレートを意識している中で、意表をつく外角131キロスライダーで見逃し三振に仕留めた。「なるべくまっすぐでカウントを整えていって、最後ここでスライダーだろうなというところで、(佐藤)都志也ともサインがあったので、迷いなくいけたなという感じがしています」

 6月5日の巨人戦では左打者のインコースにカットボール、スライダーを積極的に投げていたが意図的に投げていたのだろうかーー。

 「左バッターにめがけていくのは今始めたわけではないですけど、ずっとそういうイメージで投げています。それが内にしっかり決まっているかなと思います」

 以前は左打者のインコースにシュートを投げていたが、シュートよりもスライダーの状態が良いから左打者のインコースにスライダーを投げているのだろうかーー。

 「そうですね、外だけじゃ、限界がありますし、まっすぐもインコースに投げられるようにと思っています。変化球でインコースをいくだけで、バッターからすると違うと思うので、そこは意図的にも投げています」

 6月10日の中日戦、1-11の6回一死三塁で細川成也を1ボール2ストライクから4球目のインコース140キロカットボールで空振り三振、6月23日の日本ハム戦、0-4の8回二死一塁で進藤勇也を2ボール2ストライクから外角の128キロスライダーで見逃し三振に仕留めるなど、“右打者”にもスライダー、カットボールの威力を発揮している。

 「真っ直ぐ以外だと主となる球はスライダーとカットになると思うので、それでしっかり空振りだったり、見逃しが取れているのはすごく自分の中でいいかなと思います」

 この時期、フォークやスプリットをあまり投げていなかった。夏場に向けて隠しているのだろうかーー。

 「そんな出し惜しみできるピッチャーではないので、時期が来たら、投げる時が来たら投げますし、今のところカット、スライダーがすごくカウントも整えられていますしというところで投げています。右バッターが続いてきたところで、曲がり球だけじゃ限界が来ると思うので、そうなってくるとスプリットも投げていかないといけないなと思っています」

◆ 複数イニング

 ショートイニングだけでなく、7月11日のオリックス戦で3回を無失点に抑えれば、7月18日のソフトバンク戦でも2回を無失点に抑えた。

 複数イニングを投げる時は、一旦気持ちをリセットしてからマウンドに上がるのか訊くと、「なるべく切らないようにと思ってやっています」と話す。7月18日のソフトバンク戦は5回と6回のイニング跨ぎ。5回裏終了後にはイベントがあり、もう一度気持ちを入れ直すのは難しいところ。

 「7月18日のソフトバンク戦が5回6回が今年初めてだったんですけど、いつも通りいきたかったので、アンダーシャツだけ着替えて、後はずっとベンチでいつものようにやっていました」

 2イニング目を投げるにあたって、「去年ぐらいまでだと回跨ぎだったら攻撃の2アウトくらいからキャッチボールをやっていたんですけど、それをしないようにして、再度やっちゃうと軽く投げちゃったりするので、それをなくすためにチェンジになった瞬間にマウンドに行って、1球だけ軽く投げて、後は1イニング目と思ってピッチングして試合に入るようにしています」と、ルーティンを確立した。

◆ 夏場以降はツーシームも投げる

 今季の坂本は安定した投球を見せたかと思えば、大量失点してしまうことが多かった。6月13日のDeNA戦で1回2/3を投げ3失点してしまったが、6月23日の日本ハム戦から7月14日の西武戦にかけて5試合連続無失点。6月13日のDeNA戦後の防御率は「3.55」だったが、7月14日の西武戦で防御率「2.33」まで回復。8月7日のオリックス戦で2回・自責点0で防御率「2.73」となったが、続く8月11日のソフトバク戦で1回4失点を喫し、防御率「3.95」まで跳ね上がった。

 ただ、ストレートの強さは変わらなく、非常にもったいなかった。「点を取られる試合もありますけど、それが甘く入ったりところだったりする。そこをファウルを取れたりしたいなと思うんですけど、球自体は全然去年とか一昨年に比べて良いのかなと思います」

 8月12日に今季2度目の一軍登録抹消となり、8月29日に昇格した。再昇格後は、左打者にツーシームを投げるようになった。24年に「使い分けるというよりかは、ツーシームがあるというだけで、スライダーももっと遠く感じるだろうし、と思って投げています」と左打者のインコースに投げ込んでいたが、昨季は「ツーシームも練習はしているんですけど、どこになるかわからないですけどシーズンの序盤でも途中でもしっかり投げられたらなと思っています」と話していたが結局、シーズン中はほとんど投げず。

 再びツーシームを投げるようになった理由について「まっすぐ、スライダー、カット、スプリットしかないので、左バッターからしたら逃げていく球しかない。どうにか内に入っていく球を投げたいなと思っていたので、それが今いい感じにいっているのかなと思います」と説明。

 ツーシームを投げはじめたきっかけは、「ツーシームだから変に小細工しないといけないと思っていたんですけど、握りを変えてまっすぐのように投げるだけで、キャッチボールとか投球練習の中でだいぶボールに変化がついたりしていた。これで良いんじゃないかなと、色々と試行錯誤しながらやっていく中で、試合でも使えるかなと思って、また投げ始めました」と教えてくれた。

 左打者にはツーシームだけでなく、スライダーもアウトコース、インコースに投げ込んでいる。「入ってくる球があるだけで、スライダーにしてもカットにしてもバッターからすると、逃げていく弾も有効になると思う。それは使えるんじゃないかなと思います」と相乗効果に期待した。

 8月29日の再昇格後は7試合に登板したが、失点したのは3失点した9月28日の日本ハム戦のみ。今季は29試合・35回を投げ、2勝1敗1ホールド、防御率3.86だった。

◆ 今季を振り返って

 今季はシーズン通してストレートの強さを感じた。本人もシーズン終了後、「そこに関しては本当にその通りで、ずっとひどくなることがあんまりない中で、強いストレートは常に投げられたかなと思います」と手応え。

 ツーシームを投げ始めてからは、他の球種も活きたようにも見える。「左バッターの対応というのがすごくツーシームで差し込めたりすごくしていた。その中でスライダー、カットをすごく生きてきたと感じましたし、投球の幅というのも変わったと思います」

 左のインコースにツーシーム、スライダーを投げることで、外角のスライダーも投げやすくなったりしたのだろうかーー。

 「自分がピッチャーの時は外目つけになると思うので、スライダーであったりストレートであったりとか、その中で入ってくる球があるだけでバッターはそれもケアしなければいけなくなるので、そういうところに関して最後スライダーというのも投げやすくなったと思います」

 スプリット、チェンジアップが少なかったのは、カットボール、スライダーで抑えられたからなのだろうかーー。

 「そうですね、ツーシームで結構、右バッターに関しても曲がりながら沈んでいくので結構使えそうだなと思ったので、モノにしたいというのもありました。実戦の中でそれがモノにできたらいいなと思ってやっていました」

 この秋も安定感を求めながら、「ツーシームの感じがすごく良いので、それをモノにしたいのがあります。それがモノにできれば来シーズン投球の幅も変わると思いますし、もっと楽なピッチングができるんじゃないかなと思います。そこを追い求めてやっていこうかなと思います」と、ツーシームを極めることを誓った。

 落ち球で言えば、春先投げていたチェンジアップは秋、冬で鍛えて、もっと使えるようにしていきたい考えはあるのだろうかーー。

 「落ち球というのもあればすごく便利ですし、右バッターにも便利な球になる。そこに関しては引き続き、ツーシーム、落ち球というのもやっていこうと思います」

 プレートを踏む位置も三塁側に変更した。三塁側で投げてみて「自主トレの段階でこっち踏んでみたらいいかなと思ってやっていたんですけど、結構それが最初スライダーとか抜けるかなと思ったんですけど、抜けることなく投げられた。オープン戦で打ちやすいかなと思ったんですけど、もうちょっと続けてみようと思ってやって、今年最後までプレートの位置を変えてやったんですけど、思いきって投げられますし、抜けても左バッターのインコースくらいにおさまると思ってやっていた。それがいい感じで合っていたので、今年はずっとやっていました」と振り返る。

 来年以降も「そっちから投げて左にツーシームを投げやすくなりますし、スライダーも山できるかなと思ったらないので引き続きやっていこうと思います」と、三塁側のプレートで投げていく予定。

 坂本は毎年50試合以上を登板に目標に掲げている。来季ももちろん、「毎年言っていますが50試合をクリアしたいですし、勝ちパターンで投げていかないといけない世界。勝ちパターンで投げられるように。信頼がまだないので、投げてみないとわからないというところがあったので、投げなくても計算できるくらいに仕上げたいと思います」と力強く意気込んだ。

取材・文=岩下雄太

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