ノラネコぐんだん作者 工藤ノリコさんインタビュー「日々の生活にプロ野球は欠かせない大切なもの」

パ・リーグ インサイト 池田紗里

2025.5.15(木) 08:00

白泉社エントランスにいるノラネコぐんだん【筆者撮影】
白泉社エントランスにいるノラネコぐんだん【筆者撮影】

マリーンズ愛が実現させた話題のコラボ。絵本作家・工藤ノリコさんのプロ野球好きのルーツとは

ノラネコぐんだん×千葉ロッテマリーンズコラボグッズ ©Noriko Kudoh/Hakusensha
ノラネコぐんだん×千葉ロッテマリーンズコラボグッズ ©Noriko Kudoh/Hakusensha

 大人気絵本シリーズ「ノラネコぐんだん」と千葉ロッテマリーンズのコラボグッズが誕生した。

 同絵本の登場キャラクターたちがそれぞれマリーンズのユニフォームなどを纏い、躍動するイラストを用いたコラボグッズは、発売が発表されるやいなやSNSで拡散され大反響。
 これまであまり野球に親しみのなかった「ノラネコぐんだん」読者や他球団ファンの心もつかみ、実店舗販売前にオンラインストアで行った予約販売では、想定以上の予約注文を受け急遽増産をかけるほどだったという。

 発売前から大きな反響を呼んだこのコラボ。実現したのは「ノラネコぐんだん」の作者、工藤ノリコさんがマリーンズの大ファンだったという背景があった。

 子どものみならず大人の心も掴み、幅広い年代から愛される名作を創り出す絵本作家、工藤ノリコさんはプロ野球をどのように楽しんでいるのか。また工藤さんにとって「千葉ロッテマリーンズ」とは。お話を聞いた。

「ノラネコぐんだん」…2012年11月に第1作『ノラネコぐんだん パンこうじょう』を出版。現在第12作、累計発行部数500万部を超える大人気シリーズ。工藤ノリコさんの描くやさしくてユーモラスのあるかわいい絵や、8匹のノラネコたちが思いのままに行動し大騒動を巻き起こすストーリーは、子どものみならず大人の心も掴み、幅広い年代から愛されている名作
「ノラネコぐんだん」…2012年11月に第1作『ノラネコぐんだん パンこうじょう』を出版。現在第12作、累計発行部数500万部を超える大人気シリーズ。工藤ノリコさんの描くやさしくてユーモラスのあるかわいい絵や、8匹のノラネコたちが思いのままに行動し大騒動を巻き起こすストーリーは、子どものみならず大人の心も掴み、幅広い年代から愛されている名作
『ノラネコぐんだん パンこうじょう』より ©Noriko Kudoh/Hakusensha
『ノラネコぐんだん パンこうじょう』より ©Noriko Kudoh/Hakusensha

 工藤さんがプロ野球を好きになったのは、まだ幼い頃のことだったという。

「父とふたりの弟が野球が大好きで、テレビでプロ野球中継がある日は家族でよく見ていました。その環境のなかで、私も自然と野球を見るのが好きになっていきました」

 家族それぞれ応援するチームが異なるなか、マリーンズを応援するようになった工藤さん。球場に足を運ぶようにもなり、1995年第一次ボビー・バレンタイン監督体制時には、シーズン終盤まで首位争いを展開するマリーンズの姿により惹かれていった。そして2005年、プレーオフを制し優勝、日本一に輝くまでの過程をファンとして経験し、マリーンズ愛は確固たるものとなったという。

「印象に残っている試合は、2005年のプレーオフ、千葉マリンスタジアム(現ZOZOマリンスタジアム)で観戦したファーストステージ第2戦です。3位の西武ライオンズ(現埼玉西武ライオンズ)を迎えて、その日勝てばセカンドステージ進出が決まる一戦。『どうしても勝ちたい!』という緊張感を今でも覚えています。
あとはやはり、同じ2005年に31年ぶりのリーグ優勝を達成した試合は忘れられません。家でテレビで見ていましたが、リーグ優勝が決まった瞬間の爆発的な感動は一生忘れないと思います」

「シーズンオフはとてもつまらない…」30年来のプロ野球ファン

「日々の生活にプロ野球は欠かせない大切なもの」と工藤さん。

「マリーンズの試合がテレビで放送されているときは家にいればだいたいいつも見ていて、試合結果は日々チェック。解説の人の話を聞きながら野球を見るのが好きで、武田一浩さんや田中賢介さんの解説の日はうれしいです。マリーンズの試合がないときは違うチームの試合も見たり、プロ野球が日常のなかにある生活をずっと続けています。なのでシーズンオフはつまらなくて我慢の日々。とてもつまらない…」

 続けて、「いつでも勝利を願って応援していますが、負け試合でも、新しい選手や若手のピッチャーが起用されたりすると、この選手はいま今後につながる経験をしている、それはそれでチームの未来のためになるんだなと納得して見たりしています」と、30年来のプロ野球ファンならではの楽しみ方を口にした。

 絵本シリーズの原点である4コマ漫画(『ノラネコぐんだんコミック』に収録)には、野球を題材とした4コマ作品もたびたび登場。絵本「ノラネコぐんだん」の世界観のなかでも、工藤さんが描く野球場を、また球場のなかで躍動するノラネコぐんだんをぜひ見てみたい。


オファーは「とてもうれしかった」念願のコラボが実現するまで

ノラネコぐんだん×千葉ロッテマリーンズ トレーディング芝生アクリルスタンド 全5種 ©Noriko Kudoh/Hakusensha
ノラネコぐんだん×千葉ロッテマリーンズ トレーディング芝生アクリルスタンド 全5種 ©Noriko Kudoh/Hakusensha

 5月16日(金)からマリーンズストア ミュージアム店、スタジアム店で「ノラネコぐんだん×千葉ロッテマリーンズ」コラボ商品が販売開始(マリーンズオンラインストアでは再販開始)となる。最初にマリーンズからのオファーを聞いたときは「とてもうれしかった」と工藤さん。

「私がマリーンズを好きなのを、版元である白泉社の方たちも知っていたので『球団へ持ちかけてみようか?』という提案もいただいたこともありましたが、それをやってはいけないと思って。なのでマリーンズから声をかけてもらえたときはうれしいと同時に『よかった』とも思いました」

 新規描き下ろしイラストが用いられている今回のコラボ商品。どのように制作していったのか問うと、

「いつもは絵本の中で物語の内容に沿って走ったりジャンプしたりする様子を描いているので、今回のような止まった絵、決めポーズの絵は普段あまり描く機会がなく、躍動感を出すためにはどうすればいいか考えて、走り描きのようなラフスケッチの絵をそのまま活かして仕上げました」

 またキャラクターの配役については、

「ノラネコぐんだんは8匹なので、鳩のパッポヒを入れて9人のチームになる。そうなるとワンワンちゃんは監督で、マーミーちゃんはチアリーダーだな、と。チアのポンポンやコスチュームはM☆Splash!!の画像を見て参考にしました」

ノラネコぐんだん×千葉ロッテマリーンズ フェイスタオル ©Noriko Kudoh/Hakusensha
ノラネコぐんだん×千葉ロッテマリーンズ フェイスタオル ©Noriko Kudoh/Hakusensha

 最後に、2025年ペナントレース奮闘中の千葉ロッテマリーンズへのエールを聞いた。

「勝ってほしいとは当然毎日思っていますが、もはや勝ち負けを超えて絶対的に応援しているという感じです。マリーンズという応援したいチームがいてくれるからこそ、野球観戦という日々の最高の楽しみがあり、感謝しています。今年も優勝目指して応援します!」

工藤ノリコ
1970年、神奈川県生まれ。女子美術短期大学卒業。絵本作家、漫画家。主な絵本に「ノラネコぐんだん」シリーズ(白泉社)、「ペンギンきょうだい」シリーズ(ブロンズ新社)、「ピヨピヨ」シリーズ(佼成出版社)、『セミくんいよいよこんやです』(教育画劇)ほか多数。読み物に「マルガリータ」シリーズ(あかね書房)、漫画に『ノラネコぐんだんコミック』(白泉社)など。

「ノラネコぐんだん」シリーズ書籍【筆者撮影】
「ノラネコぐんだん」シリーズ書籍【筆者撮影】

ノラネコぐんだん×千葉ロッテマリーンズ コラボグッズ詳細はこちら

インタビュー・文 池田紗里

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ノラネコぐんだん作者 工藤ノリコさんインタビュー「日々の生活にプロ野球は欠かせない大切なもの」

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