「不思議な縁を感じる」日本ハム・万波中正が台湾で大フィーバー 「中正」が台湾の歴史的人物と同名

スポーツ報知

2025.3.1(土) 06:00

台北ドームで守備練習する万波

 【台北(台湾)28日=川上晴輝】日本ハムは28日、台湾シリーズ(1日・統一戦、2日・中信戦)に向けて会場の台北ドーム(D)で全体練習を行った。現地での一番人気は万波中正外野手(24)。「中正」の名が、台湾の初代総統・蒋介石の本名と同じであることから、注目の的となっている。台湾との縁も感じたスラッガーが、その名に恥じないプレーを見せることを誓った。

 台湾に“中正フィーバー”が巻き起こった。最終調整を終えた万波が、ベンチ前で現地メディア約30人に取り囲まれた。「台湾のチームをどう見ているか」「台北ドームの印象は」などと質問攻めを受けた。フィーバーの理由は、その名前に隠されている。

 「中正」という名前は、台湾の初代総統にして国民党の最高指導者だった蒋介石の本名「蒋中正」と同じ。熱狂的に迎えられ、「びっくりです。想像もしていなかった。不思議な縁を感じる」と驚きを隠しきれない様子だった。

 現地メディアは、蒋介石に敬意を表する時に使う「委員長」という呼び名を万波に使うほど。台北市内には、蒋介石への哀悼の意を込めて造られた国立中正紀念堂もある。「名前が一緒なので行きたいと思っていた」と滞在中の訪問に興味を示した。

 不思議な縁は、名字の「万波」にもある。日本にも出店していたことがある人気タピオカティーショップ「萬波」は、「万波」の旧字体。まだ行ったことがないというが「ぜひ行ってみたい」とニッコリ。「名字も名前もって、そんな偶然あります?」と台湾との縁に仰天した。

 もちろんフィーバーの理由は野球の実力があってこそ。現地メディアは「ホームランとレーザービームが彼の魅力」と語り、YouTubeやパ・リーグTVなどの動画を通じ、知名度は高い。23年から2年連続でゴールデン・グラブ賞を獲得した強肩にも視線が注がれている。

 この日は、フリー打撃やノックで調整した。昨年、竣工(しゅんこう)された台北Dの感想を「すごく近未来的。音響やベンチ裏とか最先端な感じ」と語った。台湾でも開催された昨年11月のプレミア12は、上半身のコンディション不良で代表を辞退。同球場でプレーすることはかなわなかった。「台湾にしかない応援スタイルを受けながらプレーするのが楽しみ」と心を躍らせた。「シーズンと全く同じ熱量で試合をしたい。野球はやっぱり面白いなと思ってもらえる2試合に」。2試合暴れ回って、台湾を熱狂の渦に巻き込む。

 ◆蒋 介石(しょう・かいせき)本名・蒋中正。1887年生まれ。1975年没。1925年、孫文亡き後、中国国民党を指導し、南京に国民政府を作り、近代的な統一国家を作った。第2次世界大戦後に中国共産党との内戦に敗れて1949年、台湾に逃れる。その後は台湾で中華民国史上、最も長く在位した元首となった。

 ◆万波 中正(まんなみ・ちゅうせい)2000年4月7日、東京・練馬区生まれ。24歳。中学時代は「東練馬シニア」で投手、外野手。横浜高では3年連続で夏の甲子園に出場した。高校通算は40本塁打。18年ドラフト4位で日本ハムに入団。23年ベストナイン。23、24年ゴールデン・グラブ賞受賞。コンゴ民主共和国出身の父と日本人の母を持ち、家族は両親と姉。192センチ、101キロ。右投右打。今季年俸1億6500万円。

 〇…フィーバーの裏には、日本ハムへの好意的な印象が影響している。現地の記者は日本ハムについて「深い絆があり、親しみを感じる球団」とし、かつて陽岱鋼や王柏融が在籍したことを理由に挙げた。また、新庄監督と陽が同じ背番号「1」をつけていたことで新庄監督の知名度も高く、奇抜なファッションや斬新なアイデアで「ユニークな発想を持つ監督」として注目されている。

 ◆日本ハム台湾シリーズの日程

 ▽1日 統一戦(15時・台北D)

 ▽2日 中信戦(15時・台北D)

 ▽3日 帰国

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