
西武、楽天、ロッテ、DeNA、ヤクルトの各担当記者が推す選手を紹介する「推しえて」の今年第1回は西武・村田怜音(れおん)内野手(23)。ルーキーイヤーの昨季、1軍デビュー戦の5月11日の楽天戦(ベルーナD)で初スタメン&初安打。その後4戦連続でスタメン起用されるも、4戦目に「左膝後十字じん帯損傷」で無念の長期離脱となった大砲候補が今季に懸ける覚悟を語った。
2年目で初の春季キャンプ1軍スタート。村田は「結構、充実していて毎日楽しくやれてます。バッティングの状態もいい感じできてます」。宮崎・南郷での明るい表情が順調な調整を物語る。大引内野守備・走塁コーチから特守の際に「ジャンボ」の愛称をつけられた196センチ、110キロの大きな体をいじめ抜いている。
同年代のプロ5年目・長谷川、24年ドラフト2位・渡部聖(大商大)とともに連日、夕方のチーム最終バスの時間まで汗を流す日々だ。「長谷川とは去年、居残りで連日一緒にバッティングをしてたんですけど、聖弥も加わったんで、新人ですし一緒にやろうって話し合ってやってる感じです」
今季から就任した仁志野手チーフ兼打撃コーチと立花打撃コーチからは付きっきりで指導を受ける姿も目立つ。「立ち遅れない。速い球に差されないように。手が体から離れやすいので、なくすためにはどこに力を入れたらいいのか」と試行錯誤。助言を吸収し実践している。
“一瞬”で終わってしまったルーキーイヤーだった。1軍デビューとなった5月11日の楽天戦(ベルーナD)では「6番DH」で初スタメン。最初の打席で左前安打を放ち、その後4戦連続でスタメン起用され一気に1軍に定着できるチャンスもあった。しかし、悲劇が起こったのは4試合目。「6番一塁」で出場した5月15日の日本ハム戦(エスコン)。7回の守備でファウルフライを追いかけフェンスに激突。「左膝後十字じん帯損傷」の大けがを負い、全治3か月の診断。無念の長期離脱となった。同期のドラフト1位・武内が新人王を獲得するなど華々しい活躍を見せる中、3軍で地道なリハビリに時間を費やしただけに、今季に懸ける思いは人一倍だ。
オフは三重・徳和小、久保中の同級生である中日・岡林らと自主トレに励んだ。午前中を打撃練習に費やし、午後からは筋力トレーニングや体のケアに努める日々。同級生からは貴重な他球団の長距離砲たちの流儀も手に入れた。「中日の飛距離を出す打者はどういう意識で練習をしてるのかとか聞きました。『引っ張りのフライはいいけど引っ張ってゴロを打っちゃダメだよね』とか、『流して強いゴロはいいけど流したフライは良くないよね』とか」。全てを糧とし成長につなげていく。
“チャームポイント”の一つが、長髪が流行する近年では珍しい2ミリにそろえられた丸刈り。「自前の市販のバリカンのマックスが2ミリなので、それ以上アタッチメントなしでいくとけがしちゃうんで。2ミリ以下はいけないって感じです。染めたい欲も、伸ばしたい欲もない」と我が道を行く。風呂場で自ら刈り上げるこだわりのヘアスタイルは今季も継続予定だ。
「れおん」の名にかけて「レオ」には負けられない。正一塁手の座を争う元オリックス・セデーニョの愛称は「レオ」。「オレは『れおん』だよって結構(セデーニョに)言ってるんですけど、分かってるのかよく分からないです」と苦笑い。“ライバル心”は言葉の壁に阻まれ一方通行のもようだ。194センチ、118キロのセデーニョと、体形はほぼ一緒だが実績はライバルが上。「(打撃で)飛ばしてる映像を見て、すごいなぁとは思うけど、あまり意識しないようにしてますね」と自然体で挑んでいく。
いよいよ始まる勝負の2年目。今季の目標に「ホームラン2ケタと規定打席って言いたいですけど、ちょっと欲張りすぎなんで。現実を見て規定打席の半分は絶対立ちたい」と少し控えめだったが「新人王は、今年覚醒できれば狙えるタイトル。頭の片隅には入れて1軍でやっていきたい。もうそこまでいったら大変なことになります」と、野心を見せる。西口監督も「しっかり振ってていいんじゃない。このままの感じでいってくれれば」と期待を込めた未来の主砲候補が、各地で花火を打ち上げる。
(取材・構成=大中 彩未)
◆村田 怜音(むらた・れおん)2001年8月4日、三重県生まれ。23歳。相可では甲子園出場なし。皇学館大を経て23年ドラフト6位で西武入団。196センチ、110キロ。右投右打。プロ通算は4試合打率2割3分1厘、0本塁打、1打点。今季年俸750万円。
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