
◆2025 パーソル クライマックスシリーズ パ最終ステージ 第5戦 ソフトバンク1―7日本ハム(19日・みずほペイペイドーム)
「2025 パーソル クライマックスシリーズ パ」の最終ステージ(S)第5戦は、日本ハムがソフトバンクを7―1で圧倒して3連勝。対戦成績を3勝3敗(ソフトバンクに1勝のアドバンテージ)の五分に戻し、日本シリーズ(S)進出へ逆王手をかけた。新庄剛志監督(53)のまな弟子、清宮幸太郎内野手(26)が3打点でけん引。20日の第6戦で勝てば9年ぶりの日本S切符を得る。0勝3敗から4連勝で突破ならCS史上初。新庄流“メークドラマ”はクライマックスだ。
人さし指を突き上げ、軽やかに球場を後にした。新庄監督は試合終了から約1分後、「ワンモア、ワンモア、ワンモア、ワンモア」と4度連呼し、報道陣の前を笑顔で通過。第4戦後に「今日も明日も選手に聞いてちょうだい」と球団を通じたコメントを出した通り、3日連続で取材対応はなかった。チームは2連敗の崖っ縁から怒とうの3連勝。CS史上初となる0勝3敗からの4連勝突破へ王手をかけた。指揮官が追い込まれた16日の試合後に語った「4つ勝ったらドラマ」の実現まで、ついにあと1勝となった。
スクイズありエンドランありの新庄野球で8安打7得点。絶対王者を圧倒した。その中心は、まな弟子・清宮幸だ。4回無死満塁では一ゴロで先制点をもぎ取ると、3―0の5回1死満塁では右翼線へ2点二塁打を放ってチーム最多の3打点。「試合前からモーレ(レイエス)のフォアボールが多いのは想定していた。僕がすごい大事になってくる」。2つの四球で勝負を避けられた絶好調・レイエスがつくったチャンスを5番として見逃さなかった。4試合連続安打で最終Sは打率3割。「失うものはなにもない」と、押せ押せムード全開だ。
今季チーム最多138試合に出場した26歳には、主軸の覚悟を決めた試合がある。9月6日のオリックス戦(京セラD)。同点の6回1死一、二塁で、二塁走者として深い右飛で飛び出し、手痛い併殺となった。翌日指揮官に呼ばれ、「お前がこういうことをやっちゃダメだろう」と、叱責(しっせき)された。これまでコーチを介して注意されることはあっても、直接の厳しい言葉は珍しかった。「下向きなプレーはファンの皆さんに伝わる。一番試合に出させてもらっている以上は、チームの顔としてやっていかなきゃいけない」と心を入れ替えた。
10日のCS第1S前日会見では、指揮官から「ファーストゴロがあまり飛ばないように」と、両リーグ最悪の14失策をいじられた。普段から「幸太郎」と下の名前で呼ばれる背番号21は、CS7試合でノーエラー。「活躍したときに『こんなにいじられてますけど』とセットで言えるように結果で返したい」と、日本一での恩返しを思い描いた。
昨季はエースの伊藤を第1Sで温存し、ソフトバンクとの最終S初戦に先発させるも3連敗。今季は、伊藤を第1S初戦から使う“正攻法”で臨み、ここまで来た。シーズンでも12勝13敗とほぼ互角。指揮官の「選手たちは成長している。実力の差は感じていない」との手応えを証明している。最高潮の“シン・メークドラマ”が完結編を迎える。(川上 晴輝)
◆記録メモ 日本ハムが3連勝で、対戦成績を3勝3敗(アドバンテージの勝敗含む)とし、逆王手をかけた。日本シリーズ進出をかけたプレーオフ(PO)、CSで逆王手をかけたチームの星取りは(□、■はアドバンテージによる勝敗)
73年阪 急●〇●〇 →●南 海
77年阪 急〇●●〇 →〇ロッテ
04年ダイエー〇●●〇 →●西 武
05年ソフトバンク●●〇〇 →●ロッテ
07年ロッテ●〇●〇 →●日本ハム
10年ロッテ■〇●●〇〇→〇ソフトバンク
12年巨 人□●●●〇〇→〇中 日
14年日本ハム■●〇〇●〇→●ソフトバンク
24年巨 人□●●●〇〇→●DeNA
25年日本ハム■●●〇〇〇→?ソフトバンク
昨年の巨人以来10度目。0勝3敗から3連勝は初のケース。過去9度のうち3度が進出で突破率は33%。4勝先取制となってからは進出も敗退も2度ずつの五分だ。
ちなみに日本シリーズで3連敗後の4連勝は58年西鉄、86年西武(初戦△)、89年巨人ののべ3チームだけだ。
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