日本ハム、「一球一球サインが変わる」“セコセコ野球”の精密さ支える選手の意識と努力

スポーツ報知

2025.10.20(月) 05:40

先発で好投した古林睿煬(右)とタッチを交わす新庄剛志監督(カメラ・豊田 秀一)

◆2025 パーソル クライマックスシリーズ パ最終ステージ 第5戦 ソフトバンク1―7日本ハム(19日・みずほペイペイドーム)

 日本ハムがシーズンから貫く“セコセコ野球”で8安打7得点で王者・ソフトバンクを圧倒した。スクイズやエンドランなど細かなサインで相手を翻弄(ほんろう)する新庄野球の精密さを日本ハム担当の川上晴輝記者が「見た」。

 ヒッティングの構えをしていた郡司のバットが横に倒れた。ソフトバンク・大津が、慌ててバント処理に駆け出した。

 0―0の4回無死一、二塁、4番・郡司がカウント2―1からの4球目、バントの構えにスイッチした。初球でも同じような動きを見せ、いずれもボールに。バントなのか、ヒッティングなのか―。完全に相手バッテリーを翻弄し、四球をもぎ取った。無死満塁とし、続く清宮幸の一ゴロで先制点。郡司は「一球一球サインが変わって」と、めまぐるしく作戦が動いていたことを明かし、「普通にあるだろうなと常に思っていた」と、何食わぬ表情で振り返った。

 5―0の5回1死二、三塁では、新庄監督は田宮へ初球から2球連続でスクイズを命じた。1球目はファウルとなったが、2球目を投手前に転がし6点目を奪った。二塁走者・清宮幸の生還はならず2ランとはいかなかったが、指揮官が以前「2回外してくることはないので」と話していた通り、完全に読み勝ちだった。

 1点を奪うために、ありとあらゆる仕掛けを施す。新庄監督の掲げる「セコセコ野球」は選手たちにも深く浸透していると感じる。今季20本塁打の万波は、8月5日の西武戦(エスコン)でスクイズを決めた。「驚きもありながら、でもあり得るよな、と。備えることは習慣になっている」と語った。12本塁打の清宮幸も、「何が起こるか分からないので」と、試合前練習で自らバント練習を行うなど入念な準備を行っている。

 シーズン中に監督が「俺のコメントに対して、相手もこんがらがっていますって」としてやったりの表情を浮かべていたことがある。奇策と言われていた作戦も、今では当たり前のこと。就任4年目、チルドレンたちと作り上げてきた新庄野球は、完成に近づいていると言えるだろう。

◇新庄ハムのセコセコ野球の神髄が詰まったシーン

 ▼0―0の4回無死一、二塁 4番・郡司が初球をヒッティングからバントの構えに切り替えボール。その後2球はバントの構えを見せず。カウント2―1から再び、バントの構えを見せボールに。結局5球目も外れ四球をもぎ取った。

 ▼2―0の4回2死一塁 カウント0―2から一塁走者の清宮幸がスタート。打者・万波は見送ればボールの低めフォークに反応、ボテボテの打球は大きく開いた三遊間を破り、一、三塁とした。

 ▼5―0の5回1死二、三塁 代わったばかりの松本晴から田宮が2球連続スクイズ。1球目はファウルになるも、2球目を投手前に転がし成功。二塁走者は本塁で憤死して2ランにはならなかったが、貴重な6点目を奪った。

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