開幕目前のプロ野球
3月30日に、2018年シーズンの開幕を迎えるプロ野球。オープン戦も全日程が終わり、各球団のチーム編成も固まってきたころだろう。
そんな中で注目を集めるのが、開幕1軍に割って入ってくるルーキーの存在だ。もちろん2年後、3年後、将来的に大きく成長を遂げてもらうことがチームにとって重要ではあるが、昨季の新人王に輝いた中日・京田陽太内野手や埼玉西武・源田壮亮内野手らのように、即戦力としてチームに貢献するルーキーもまた、チームにとっては大きな戦力となる。
今季も横浜DeNAの東克樹投手や巨人の大城卓三捕手、中日の鈴木博志投手、埼玉西武の伊藤翔投手、オリックスの田嶋大樹投手、山足達也内野手、千葉ロッテの藤岡裕大内野手、菅野剛士外野手といった面々は、ほぼ間違いなく開幕1軍に名を連ねそうだ。彼らがどういった活躍を見せるか、楽しみだ。
一方で、高校時代から大きな注目を集めてきた北海道日本ハムの清宮幸太郎内野手は限局性腹膜炎で入院するなど苦しみ、千葉ロッテの安田尚憲内野手もオープン戦で結果を残せずにファームで育成されることになった。高卒新人で開幕1軍入りの可能性を感じさせていた横浜DeNAの櫻井周斗投手も開幕を目前にして2軍降格が決定。高卒新人の開幕1軍入りは今季はゼロとなりそうで、やはり、高卒ルーキーにとって開幕1軍は高い壁であると改めて言えるだろう。
それでは、高卒でプロ入りし、日本のプロ野球を代表するプレーヤーへと成長を遂げた選手たちはルーキーイヤーに、どれほどの成績を残してきたのだろうか。主な高卒選手をピックアップし、それぞれの1年目の成績を振り返ってみる。まずは、すでに現役を退いた名プレーヤーたちだ。
清原氏はルーキーイヤーで打率.304、31本塁打と驚異的な成績をマーク
〇工藤公康投手(名古屋電気高、1981年西武6位)
27試合1勝1敗0セーブ 3.41
28.2回22安打0本塁打21四球29三振11失点
〇清原和博内野手(PL学園高、1985年西武1位)
126試合404打数123安打31本塁打78打点 .304
6盗塁49四球109三振 長打率.584 出塁率.392
〇桑田真澄投手(PL学園高、1985年巨人1位)
15試合2勝1敗0セーブ 5.14
61.1回64安打13本塁打17四球57三振36失点
〇立浪和義内野手(PL学園高、1987年中日1位)
110試合336打数75安打4本塁打18打点 .223
22盗塁42四球53三振 長打率.310 出塁率.317
〇谷繁元信捕手(江の川高、1988年大洋1位)
80試合154打数27安打3本塁打10打点 .175
0盗塁13四球43三振 長打率.273 出塁率.247
〇前田智徳外野手(熊本工高、1989年広島4位)
56試合43打数11安打0本塁打5打点 .256
4盗塁1四球3三振 長打率.326 出塁率.273
〇松井秀喜外野手(星稜高、1992年巨人1位)
57試合184打数41安打11本塁打27打点 .223
1盗塁17四球50三振 長打率.451 出塁率.296
やはり一際、目を引くのは、清原和博氏の成績。1年目から打率3割を超え、31本塁打を放っており、これほどの成績を残した選手はなかなか見当たらない。メジャーでも活躍した松井秀喜氏は1年目は11本塁打と2桁本塁打を放っているものの、打率.223とアベレージは低かった。
松坂大輔投手は16勝をマーク、高卒1年目から3年連続最多勝の偉業
では、現役として今もプレーしている選手たちはどうか。
〇イチロー外野手(愛工大名電高、1991年オリックス4位)
40試合95打数24安打0本塁打5打点 .253
3盗塁3四球11三振 長打率.305 出塁率.276
〇松井稼頭央内野手(PL学園高、1993年西武3位)
1年目の1軍出場なし
〇松坂大輔投手(横浜高、1998年西武1位)
25試合16勝5敗0セーブ 2.60
180回124安打14本塁打87四球151三振55失点
〇ダルビッシュ有(東北高、2004年北海道日本ハム1位)
14試合5勝5敗0セーブ 3.53
94.1回97安打7本塁打48四球52三振37失点
〇田中将大(駒大苫小牧高、2006年楽天高校生1位)
28試合11勝7敗0セーブ 3.82
186.1回183安打17本塁打68四球196三振83失点
〇坂本勇人(光星学院高、2006年巨人高校生1位)
4試合3打数1安打0本塁打2打点 .333
1盗塁0四球0三振 長打率.333 出塁率.333
〇前田健太(PL学園高、2006年広島高校生1位)
1年目の1軍出場なし
〇中田翔(大阪桐蔭高、2007年北海道日本ハム高校生1位)
1年目の1軍出場なし
〇筒香嘉智(横浜高、2009年横浜1位)
3試合7打数1安打1本塁打1打点 .143
0盗塁2四球1三振 長打率.571 出塁率.400
〇菊池雄星(花巻東高、2009年埼玉西武1位)
1年目の1軍出場なし
〇大谷翔平(花巻東高、2012年北海道日本ハム1位)
投手:13試合3勝0敗0セーブ 4.23
61.2回57安打4本塁打33四球46三振30失点
打者:77試合189打数45安打3本塁打20打点 .238
4盗塁12四球64三振 長打率.376 出塁率.284
〇藤浪晋太郎(大阪桐蔭高、2012年阪神1位)
24試合10勝6敗0セーブ 2.75
137.2回119安打10本塁打44四球126三振48失点
〇鈴木誠也(二松学舎大付高、2012年広島2位)
11試合12打数1安打0本塁打1打点 .083
0盗塁1四球1三振 長打率.083 出塁率.214
名だたるスター選手の中で群を抜くのは、松坂大輔投手だろう。今季から中日のユニホームに袖を通す右腕は1年目から16勝をマークし、防御率2.60と好成績をマーク。高卒1年目から3年連続最多勝という偉業を成し遂げた。ダルビッシュ投手の1年目は5勝。田中将大投手は1年目から活躍。田中投手は2桁11勝を挙げた。
世界のホームラン王、王貞治氏はルーキーイヤーは7本塁打
今季からエンゼルスでプレーする大谷翔平選手の1年目は投手としては3勝、打者としては打率.238、3本塁打。どちらかと言えば、打者の方で結果を残した。マリナーズに復帰したイチロー選手の1年目は打率.253。ウエスタン・リーグでは打率.366という結果を残していたものの、1軍での成績はそこまでのものではなかった。こう見ると、清原和博氏、松坂大輔投手の成績が頭一つ抜けている。
ちなみに、高卒で世界の本塁打王となった王貞治氏(現ソフトバンク球団会長)の1年目の成績は以下。
〇王貞治(早実)
94試合193打数31安打7本塁打25打点 .161
3盗塁24四球72三振 長打率.316
世界記録となる868本のアーチをかけてきた王氏だが、1年目に放った本塁打は7本だった。
球界を代表するスターたちでも、高卒1年目から活躍するのは至難の業であることが良く分かる。将来の球界を背負って立つ逸材たち。その花を大きく開かせるときまで、ゆっくりとその成長を待ち、見守りたいものである。
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