野球解説者の野口寿浩氏が指摘「6回のライナーゲッツーは試合の流れを変えた」
■福岡ソフトバンク 6-3 巨人(日本シリーズ・20日・ヤフオクドーム)
日本シリーズ第2戦は20日、ヤフオクドームで行われ、福岡ソフトバンクが巨人を6-3で破って2連勝を飾った。セ・リーグ王者の巨人は最終回こそ3点を奪ったものの、先発・高橋礼の前に打線は沈黙。ここまで牽引してきた亀井、坂本勇、丸の上位打線に当たりが出ていない。東京ヤクルト、北海道日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーし、昨季まで2年間は東京ヤクルトでバッテリーコーチを務めた野球解説者の野口寿浩氏は、この試合では「走塁ミス」が大きく響いたと指摘。勝負の分かれ目になったと分析している。
福岡ソフトバンク高橋礼、巨人メルセデスの投手戦となったこの試合。5回までパーフェクトに抑え込まれた巨人打線は、6回先頭の若林が死球を受けて初めての走者となった。田中俊が送り、1死二塁に。しかし、続く重信の打球は遊撃へのライナーに。若林が飛び出しており、ダブルプレーとなった。巨人は9回にも1死満塁で岡本がフェンス直撃の適時打を放った際に走塁ミスがあり、アウトを1つ献上。結局、追いつくことができずに敗れた。
野口氏は、6回の走塁ミスが「試合の流れを変えた」と指摘する。
「この試合、巨人はやられ方が悪かった。結局、走塁ミスが2つ出ました。6回のライナーゲッツーと最終回のミス。最終回のミスは試合の結果にそれほど影響はなかったかもしれませんが、6回のライナーゲッツーは試合の流れを変えました。走塁ミスというのは、試合の流れを作るものですが、両リーグを勝ち上がってきたチームが対戦する日本シリーズとなると、ちょっとしたところで勝敗は分かれます。ミスというのはあるものですが、そのミスの内容によります。走塁ミスは相手に流れを渡しやすい。
あのショートライナーも、すごくいい当たりではありませんでしたし、ギリギリ捕れるかどうか、という打球でもありませんでした。打った瞬間に気持ちが(前に)行き過ぎている。『ホームに行く』となりすぎているから、ああいうミスになってしまう。しっかりライナーバックできていれば、2死二塁となり、まだ分かりませんでした。あそこで先制できていたかもしれない。準備不足、注意力不足以外の何物でもない。流れを手放してしまうプレーでした。6回にミスが出た後、松田宣がホームランを打ったのは7回でしたが、あそこから流れはつながっているとも言えます」
ようやく高橋礼から初めての走者を出したところだっただけに、しっかりとつけ込みたかったところだろう。
代走・周東は大きな働き「大竹を通常のリズムで投げさせなかった」
一方で、福岡ソフトバンクは7回にデスパイネが山本の失策で出塁すると、すかさず“切り札”の周東を代走で送り込んだ。松田宣の先制3ランは「周東が打たせた」と野口氏は言う。
「セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルの時、代走・増田が出て、巨人のゲレーロがホームランを打ったプレーを思い出しました。周東がグラシアルにヒットを打たせて、松田宣に3ランを打たせた。巨人の大竹は周東が代走に出てからリズムを崩しっぱなしで、甘いところでストライクを取りに行かなければいけなくなって、松田宣が打った。周東が大竹を通常のリズムで投げさせなかったということです。巨人からしてみれば、頼みの大竹があんなに簡単に点を取られてしまった」
走塁で両チームの明暗が分かれたとも言える。
また、野口氏は先発投手を含めてこの試合のメルセデス、第1戦の澤村以外の投手が全員失点していることも、巨人は「心配」だと指摘。では、ここから逆転することはできるのか。第1、2戦と甲斐のリードに抑え込まれている打線の奮起しか、勢いを取り戻す方法はないという。
「打線が爆発するしかないのではないでしょうか。よく『守備からリズムを作る』と言いますが、早いイニングで打線が点を取って、相手の先発をノックアウトして、というのが最もチームに勢いがつきます。確かに、接戦の中での攻撃のリズムを生むのは、バッテリーを中心とした守備からです。ただ、日本シリーズのように数試合しかない中で、シリーズ全体の流れをつかもうとしたら、第3戦で早めにビッグイニングがくること。そうするとジャイアンツにいい風が吹いてくるのではないでしょうか。簡単ではありませんが、それを巨人打線はCSでやってきているので、絶対に無理とは言えません。そのために、試合がない21日を有効に使ってほしい。相手の配球を洗い出し、戦略を立てること、狙いを絞っていくことが必要でしょう。福岡ソフトバンクにはまだまだいいピッチャーがいますが、巨人打線にしてみれば、打てない相手ではない。第1戦の千賀に比べれば……と考えられるはずです」
ミスも響いて2連敗を喫した巨人が本拠地で巻き返せるのか、それとも、福岡ソフトバンクがこのまま3連覇を達成するのか。まだ目が離せないシリーズが続く。
(Full-Count編集部)
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