セ・リーグ覇者の巨人と、「SMBC日本シリーズ2019」を戦っている福岡ソフトバンク。奇しくも、2011年に中日、2014年に阪神、2015年に東京ヤクルト、2017年に横浜DeNA、2018年に広島と、ここ10年の日本シリーズでセ・リーグ5球団と対戦し、そのすべてを下しているため、巨人を敗れば文字通り「セ界制覇」ということになる。
2勝を手にして迎える第3戦から、東京ドームに乗り込む福岡ソフトバンク。その強さを敵地でも引き続き見せてほしいところだが、ここでは移動日のうちに、長かったシーズンの思い出深い試合を振り返りたい。「パ・リーグインサイト」編集部は、ヤフオクドームでホークスファンの皆さんにアンケートを実施し、「2019年ベストゲーム」と「今季のMVP」をピックアップした。
<福岡ソフトバンクファンが選ぶベストゲーム>
【1】4月25日のオリックス戦(ヤフオクドーム)
【2】9月6日の千葉ロッテ戦(ヤフオクドーム)
これぞエンターテイナー。劇的な幕切れからの……
【1】4月25日、ヤフオクドームで行われた福岡ソフトバンクとオリックスの試合は投手戦となり、9回が終了しても0対0のままだった。オリックス先発・山本由伸投手は、8回1安打無失点、福岡ソフトバンクの先発・大竹耕太郎投手は9回途中無失点で降板。なお、大竹投手の後を受けたルーキー・甲斐野央投手は、9回1死1,2塁のピンチをしのぎ、デビュー戦から11試合連続無失点というプロ野球新記録を樹立した。
試合は0対0のまま、延長戦に突入。10回表、オリックス・福田周平選手のヒット性の当たりを今宮健太選手がファインプレーで食い止め、流れを引き寄せた福岡ソフトバンク。その中で、この試合最大の見せ場を演出したのは明石健志選手だった。10回裏、山崎福也投手から無死1,3塁のチャンスを作ると、今季ここまでノーヒットだった明石選手がライトポール際へ飛び込むサヨナラ3ラン。
さらに、その劇的な一発だけでは終わらず、ダイヤモンドを一周したあとには何と華麗なバック宙でホームイン。1991年の日本シリーズで同じくバック宙で本塁を踏んだ秋山幸二氏(西武)を彷彿とさせるパフォーマンスで、記憶に残る試合を作り上げた。
「育成出身初」もここまできた。球史に残るエースの証明
【2】9月6日、ヤフオクドームの千葉ロッテ戦で先発した千賀滉大投手は、初回から絶好調だった。1回から4イニング連続で3者凡退という快投で完全に試合のペースをものにすると、打線も5回裏、女房役・甲斐拓也選手のタイムリーで先制。さらに6回裏には千葉ロッテのマーティン選手の落球で、2点目を挙げる。
7回から4者連続三振を奪い、8回まで相手打線を無安打に抑え込んだ千賀投手は、ついに迎えた9回表、先頭の田村龍弘選手、岡大海選手に連続四球を与える。しかし、続く鈴木大地選手を内野ゴロ、中村奨吾選手を二飛、4番の井上晴哉選手を空振り三振に仕留めて、見事ノーヒットノーランを達成。パ・リーグにおいては2014年の岸孝之投手(当時・埼玉西武)以来であり、育成出身選手としては史上初となる快挙を成し遂げた。
また、ホークスファンの方々に今シーズンのMVPを聞くと、千賀投手、甲斐野投手のほか、高橋礼投手や甲斐選手などの主力の名前が挙がった。しかし、印象に残っている試合として「柳田悠岐選手が離脱した試合」と答えるファンや「来年はみんなケガをしないで」と切実な思いを口にするファンも。多くの負傷者に苦しんだチームは、今季惜しくもリーグ優勝は逃している。
それでも得意としている短期決戦で王者・埼玉西武を破り、日本一を目指している最中。これからも福岡ソフトバンクは、ファンの期待を背負う常勝軍団として、自慢のスカウト力、育成力を武器に、記憶にも記録にも残るゲームを見せてくれることだろう。
記事提供: