26日のオリックス戦で移籍後初の4番で自身初の20号を放った大田
■北海道日本ハム 4-1 オリックス(26日・札幌ドーム)
北海道日本ハムの大田泰示外野手が26日、本拠地オリックス戦で念願のシーズン20本塁打を達成した。
北海道日本ハム移籍3年目で初めて4番を任せてくれた栗山英樹監督の期待に応えた。2回の第1打席で左前打を放った後の4回。オリックスのK-鈴木からソロアーチをライナーで左翼席に放り込んだ。
「試合前に監督が『思い切って振れるように打順を4番に入れたから』という話をしてくれました。その意図を自分で理解して、監督の気持ちを意気に感じて試合に入っていった中での20号を素直に受け止めたいです。うれしさもあるし、まだまだ打てたんじゃないかなという気持ちもあります」とプロ11年目での大台到達の喜びを噛みしめた。
バントをしない攻撃的な2番打者という難しい役割を求められ、葛藤を抱えながら過ごしたシーズンだった。
「最低限の仕事はしなきゃいけないし、その中でも自分の持ち味を出さなきゃいけない。そういう葛藤がありました。ランナーが一塁に出たらゲッツーを打つかもしれないとか、ランナーを進めなきゃいけないとか、いろんな制限がある中でやってきました。いい意味で自分勝手にやれたらもっとホームランを打てたかもしれないし、でも自分の欲を抑えながらやっていった結果、ヒットを打てたというケースもある。どれが正解か分からないですが、シーズンが終わった時に数字を受け止めて、来季に向けて自分の中でまた試行錯誤してやっていきます。今日の1本というのは本当に大きな1本。さらに成長しなきゃいけないと思います」
理想の4番には今季限りで現役を引退する巨人阿部の姿が…
理想の4番像について問われると、明確なイメージが次から次へと言葉になって溢れ出た。「チームを勝利に導く、打順の中の核。ホームランだけが4番じゃないと自分では思っているし、1点欲しい時には自己犠牲もしなきゃいけない。仲間がつくってくれたチャンスをいかに点につなげるかが大事。しぶとさを持ちながら一発もある、やっかいで怖さもあって。その結果が打点につながっていくと思います」と一気に語った。
頭の中にあるのは、今季限りで引退する巨人の阿部慎之助捕手だ。
「毎日結果を出してこそ、チームの4番だと思うし、チームの中心選手になってチームを鼓舞できる、背中で引っ張れる選手が理想というか、僕がジャイアンツで見た4番の先輩たちはそういう姿でした。だからあれだけ強かったし、勝たなきゃいけないという使命感の中でやっているというのは伝わりました。阿部さんもそうでした。1番に思い浮かぶし、頼もしい存在でした。いいお手本になってくれて、その背中を見て自分の今のプレースタイルがあると思っています」
巨人時代の14年にも4番を経験しているが、この日は新鮮な気持ちで臨んだ。「純粋に4番に入ってワクワクして一日を過ごしました。順位が決まった後で、Bクラスに終わったシーズンではありましたが、自分を出せるいい試合になったんじゃないかと思います」とうなずいた大田。来季のさらなる飛躍を予感させる“ファイターズ初4番”の1日となった。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)
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