延長11回に左翼への飛球を相手外野陣が交錯、ボールが転々とする間に一気にサヨナラのホームを踏む
■埼玉西武 6-5 千葉ロッテ(15日・メットライフ)
埼玉西武の木村文紀外野手が15日の千葉ロッテ戦(メットライフ)で延長11回に劇的な“サヨナラ打”を放ち試合を決めた。左翼へ放った飛球を相手外野陣が交錯、ボールが転々とする間に一気にサヨナラのホームを踏んだ。
「2死からだったので、甘い球を待っていた。思い切って狙ってみようかなって」
振り抜いた打球は左中間に舞い上がった。13時に始まった試合だったが、もつれにもつれて試合開始からすでに4時間が経過。薄暮に差し掛かったメットライフドームの天井と白球が重なり千葉ロッテ左翼手・加藤がボールを見失った。
その様子を見て、木村は全力疾走。「僕も外野手なので、気持ちがわかります。スピードを上げたので、(本塁に)還ってこれました」と俊足を飛ばして一気にホームを陥れた。「キャンプを思い出しました」と、がむしゃらにベースを駆け抜けた木村は大粒の汗を拭った。
8回に森の適時打などで逆転に成功。直後には首位・福岡ソフトバンクの敗戦が球場のビジョンで伝えられ、一気にムードが高まったが、9回に登板した平井がまさかの救援失敗で同点に追いつかれた。木村は「福岡ソフトバンクが負けていたし、絶対に勝ちたい試合だった」と、勢いそのままに、激走で劇的な幕切れを呼び込んだ。
記録上は左翼手の失策だが、木村は「ヒットにしておいてくださいね」と報道陣におねだり。ちなみにランニングホームランは小学生のころにソフトボールで記録したのが最後だという。
木村の活躍もあり、チームには今季初めて優勝へのマジック「9」が点灯。この日のヒーローは「チームの雰囲気はずっといい。誰も諦めていなかったことが、勝利に結びついた。残りの試合も全部勝つつもりで戦いたい」と全勝優勝を誓っていた。
(安藤かなみ / Kanami Ando)
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