覚醒の時を迎えるオリックス高卒4年目野手。コーチ&監督が語る魅力とは

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2018.3.12(月) 14:17

今季の飛躍が期待されるオリックス・バファローズ 宗佑磨選手(C)Full-Count
今季の飛躍が期待されるオリックス・バファローズ 宗佑磨選手(C)Full-Count

2014年ドラフト2位で入団した宗選手にブレークの兆し、開幕「1番・中堅」筆頭候補に

オリックスの宗佑磨内野手が好調だ。11日の埼玉西武戦(ほっと神戸)では4タコに終わったが、ここまでオープン戦6試合で3本塁打を放つなど開幕スタメンに向け猛アピールが続いている。

プロ入り直後から身体能力の高さに定評があったが、度重なるケガに泣き、その実力を発揮することはできなかった。ブレークの兆しを見せるプロ4年目に迫った。

宗選手は2014年に横浜隼人高からドラフト2位でオリックスに入団。甲子園には出場することはなかったが、走攻守で当時から各球団のスカウト陣からは高い評価を受けていた逸材だ。だが、体の線が細く抜群の身体能力を発揮する“土台"が出来ていなかったため、プロ入り直後からケガとの闘いが待っていた。

2015、16、17年に二軍コーチとして宗選手を指導してきた下山一軍打撃コーチは「すごい身体能力、潜在能力を持っていましたが、なんせ体ができていなくてケガに弱かった。100の力を出そうとすると、体がついてこない。膝や腰のケガもあって技術練習がほとんどできなかったですから」と当時を語る。

誰もが認める力を持っていても、試合で発揮できなければ意味がない。ましてや、その力に自身の体が耐えることができなかったのだから、なおさらだろう。1年目の教訓を生かし、そこから体作りに専念し、ケガにも負けない土台を作り上げた。

一軍デビューは2016年。だが、わずか3試合の出場で4打数無安打とプロの洗礼を受け初安打はお預けとなった。そして昨季、念願のプロ初安打を放つも10試合の出場で22打数4安打、打率.182と思い描くような結果を残すことはできなかった。

それでも昨秋の高知キャンプから、今春の宮崎キャンプで打撃フォームを固め、実戦でもアピールし、一軍帯同を実力で勝ち取った。

「調子が良いから打てる、悪いから打てない、という低いレベルじゃない」

土台作りの期間が終わり、技術的な練習もより強度を増して取り組めるようになった。これまでの鬱憤を晴らすかのように宗選手の成長スピードは急速に上がっていった。

「内角の球を打ちにいくと、どうしても体が開いてしまう。けど、宗の場合は体が開く前にバットが出てくる。表現があっているか分からないが、手が速く出るんですよ。それが一番です」と下山コーチも、その成長スピードに目を細める。

福岡ソフトバンク・柳田選手ばりのフルスイングに、同じチームの吉田正選手を彷彿させる大きなフォロースルーを見せる豪快な打撃フォームが特徴的。スタンドインする長打力も生まれ、もちろん足を生かした打撃も可能だ。「豪快=大振り」のイメージを抱きがちだが、本人はそれを否定する。

「ただ大振りしているわけじゃないです。強く振る、その中でコンタクトするように意識しています。コーチの方々とも相談して、自分の中でも今の形を理解しているので。調子がいいから打てる、悪いから打てない、という低いレベルじゃないと自分は思っているので」

3月3、4日の横浜DeNAとのオープン戦では2試合連続先頭打者本塁打、そして9日の巨人戦でも一発を放った。オープン戦では主に1番として起用されている。先頭打者に一発、長打があるだけで相手投手に与えるプレッシャーは大きく変わってくる。

福良監督も「相手は嫌やろね、足もあるし、長打がある。一歩抜けてるかな。でも、(1番・中堅は)競争ですよ」と、チームの課題だった「1番打者」の有力候補として評価している。

キャンプ途中から本職の遊撃から外野へとコンバートされ、大ブレークのチャンスをつかもうとしている。「プラスに捉えています。勝負できる場所で勝負したい。1日1日でベストを尽くすだけ、自分ができることはそれしかないので」。

自身初の開幕一軍、そして「1番・中堅」をつかむため、がむしゃらに突き進んでいく。

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