9回先頭でソロ、打者一巡で迎えたこの回2打席目でサヨナラ打
■千葉ロッテ 8-7 中日(交流戦・16日・ZOZOマリン)
千葉ロッテは16日、本拠地ZOZOマリンスタジアムでの中日戦で劇的なサヨナラ勝ちを飾った。5点差で迎えた9回に一挙6点を奪う猛攻でサヨナラ決着。最後に勝負を決めたのはチームの精神的支柱・鈴木大地だった。
2-7と5点差を追いかける9回だった。代わったばかりの中日5番手・田島から、10号ソロを放って反撃の狼煙をあげた鈴木。その後、打線が猛反撃を見せて、ついに1点差に迫ると、2死満塁の大チャンスで再び鈴木に打席が回ってきた。
今季ここまで2度のサヨナラ打を放っている鈴木。「本当にみんなが繋いでくれたことが全て」と、打者一巡するまで繋いだ打線に感謝しながらも「不思議な感じですけど、結果論になってしまいますが、数えてみたら2死満塁。なんか回ってくるなという感じがすごいしました」と、劇的場面の予感を感じとり、自身今季3度目の劇的フィナーレの主人公となった。
フルカウントから内角高めの直球をとらえるとバットは真っ二つに折れた。「抜けてくれ!」と祈るような思いを乗せた打球は、願いに応えて一、二塁間を破った。「(打つ瞬間までは)自分のことしか考えていなかった。今思えばフルカウントなので走者が走っているのは当たり前の話ですが、気付いたら『あ、サヨナラだ』って感じでした」と、状況すら忘れるほど集中し、バットを振り抜いた。
サヨナラ打への伏線は、7回に放ったこの日1本目の本塁打にあった。「前の打席、(4回の)2死満塁で打てなかったことと、前の試合から自分の中で、中途半端だなという気持ちがあった」。3ボール1ストライクからの5球目。「思い切って振ってやろう!」と、中日祖父江が投じた真ん中高めの直球を強振。打球は左中間ホームランラグーンに吸い込まれた。「あれで自分の中ではスッキリした。最終回(9回の10号ソロ)も『振ってやろう!』という気持ちで振れてホームランになったので、いいきっかけになりました」。迷いが振り切れたスイングが、最高の結果への道を切り拓いた。
この日敗れていれば交流戦4カード連続負け越しとなっていただけに、チームにとって大きな1勝に。「なかなか苦しいゲームが続いていますが、勝てばすべてが報われる。カード負け越しが決まるという中でのこの勝利は、すごく弾みがつくと思いますし、明日の試合もすごく大事になってくると思います」と鈴木。交流戦今季初のカード勝ち越しがかかる17日はドラフト5位ルーキー中村稔がプロ初登板初先発する。この日の勢いそのままに、鈴木が引っ張る千葉ロッテ打線が、ルーキー左腕を援護する姿を期待したい。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)
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