【MLB】「あの達成感があったからこそ」。元北海道日本ハムが語るメジャー再挑戦の裏側

Full-Count 佐藤直子

2018.2.27(火) 13:35

今季からカブスに加入したアンソニー・バース投手
今季からカブスに加入したアンソニー・バース投手

2016年日本一に貢献したバース投手「貴重な時間を過ごせた」

元広島のコルビー・ルイス氏や元阪神のライアン・ボーグルソン氏を代表に、日本球界を経た選手がメジャー復帰後に活躍する例は少なくない。

今季も元巨人のマイルズ・マイコラス投手がカージナルス、元北海道日本ハムのクリス・マーティン投手がレンジャーズとの契約を勝ち取った。昨季はレンジャーズに所属し、今季からカブスに加入したアンソニー・バース投手もその1人だ。

2008年ドラフト5巡目でパドレス入りした右腕は、2011年にメジャーデビュー。翌年に15試合で先発したのも含め、5年連続で20試合以上に登板したが、メジャーと3Aを行き来する日々が続いた。

ルーキーイヤーこそ、先発と救援で27試合に投げ、防御率1.68という好成績を残したが、2年目以降は防御率4.50の壁を越えられず、次第に自信を失っていったという。

そんな時に声を掛けてくれたのが、北海道日本ハムだった。マリナーズにトレードされた直後の2016年1月に自由契約となり、来日。わずか1シーズンではあったが「ピッチング技術はもちろん、自分自身を見つめ直す貴重な時間を過ごせた」と振り返る。

同じ競技とは言え「野球とベースボールに、やっぱり違いはあった」。打者が出塁した後は、犠打や盗塁で進塁し、適時打で得点する。「ヤナギタ(福岡ソフトバンク)やナカムラ(埼玉西武)のパワーは凄かった」と話す通り、最近では長打を誇る日本人選手も多いが、チームとしての戦術を重視する日本の打者を相手にし、「どういう投球の組み立てにすればいいか、自分が持つ長所をどう生かしたらいいのか、すごく考えさせられた」という。

また、日本で師事したコーチやスカウトからの技術的なアドバイスにも積極的に耳を傾け、フォームの改善にも励んだ。

日本で取り戻した自信、「あの達成感があったからこそ」

北海道日本ハムでは、当初先発として起用されたが、思うような結果が残せず。5月中旬にリリーフへ配置転換されたが、これが功を奏した。

ロングリリーフからセットアッパーまでフル稼働し、チームの4年ぶりリーグ優勝に貢献。さらに、広島との日本シリーズでは5試合に登板して3勝をマークする活躍で、10年ぶり日本一の立役者となった。

「失敗のスポーツと言われる野球では、メンタル面が大きく物を言う。北海道日本ハムで少しずつ結果を残し、日本一に貢献できたことで、失いかけていた自信を取り戻すことができたんだ。いいシーズンに加入できてラッキーな部分もあったと思うし、北海道日本ハムでプレーできたこともラッキーだった。あの達成感があったからこそ、再びメジャーで結果を残したいという思いに駆られたんだ」

メジャー再挑戦したレンジャーズでは結果が残せなかったが、もう挫けることはない。今季はカブスに移籍し、メジャー定着を目指して奮闘する。チームメイトとして共に日本一を掴んだエンゼルス大谷翔平投手の存在も励みになっているようだ。

「オープン戦初登板の映像を見たけど、相変わらずいい球を投げていた。彼なら大丈夫。同じアリゾナでキャンプをしている間に、一緒に食事にでも出掛けたいと思っているよ」

日本で取り戻した自信を胸に、必ずメジャーでひと花咲かせる。

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Full-Count 佐藤直子

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