千葉ロッテ戦で7回3者凡退に 前人未到の通算300ホールド達成
■北海道日本ハム 3-0 千葉ロッテ(13日・札幌ドーム)
北海道日本ハムの宮西尚生投手が13日、千葉ロッテ戦(札幌ドーム)で前人未到の通算300ホールドを達成した。
3点リードの7回から3番手として救援。中村奨を中飛、角中を遊ゴロ、レアードを一飛とクリーンアップをわずか11球で片付けた。ベンチに引き上げる際にチームメートに祝福され、思わず笑みがこぼれた。「(中島)卓は人の記録に興味ないのに握手してきて、それ見たらホッとした」。ルーキーイヤーの08年から積み重ねた大記録の余韻に少しだけ浸った。
昨年11月に左肘の手術を受けて全治3~4カ月と診断されたものの、驚異の回復力で開幕1軍入りを果たした。さらにチーム14試合目で早くも7試合登板。1勝0敗6ホールド、防御率0.00と抜群の安定感でチームを支えている。「勝ちパターンの投手としては、まだボールに弱さや甘さがある」と状態は万全でないが、それを補えるだけの豊富な引き出しを持っている。
この日は前日12日の反省を生かし、リリースポイントをボール2個分ほど下げたという。「疲れもあったし、昨日は芯で捉えられて飛んでいたので、角度を変えようと思って。横に曲がるスライダー、横の角度を意識した。それがハマった」とブルペンでのひらめきを実行して結果を出した。
15年オフの左肘手術後に肘を下げてから、自身のコンディションや相手打者に応じて、腕の位置を自在に操れるようになったという。「真っすぐが速いわけでもないし、変化球が多いわけでもないし、コントロールもビタビタじゃない。唯一、投げる位置を器用に動かせることくらいかな。それをうまいこと使っている」。自身のストロングポイントとして挙げた。
通算274ホールドで歴代単独トップに立った昨年8月以降も着々と記録を更新し続けている。その心の内には、リリーフという仕事を多くの人に評価してもらいたいという思いがある。「これからプロを目指す子たちにも、ホールドという記録で目立てることを知ってもらい、目標にしてくれたらうれしい。そういう数字を作っていきたい」。ホールド部門で一人旅を続ける宮西自身が追いかける目標は、元中日・岩瀬仁紀が記録した歴代最多の1002試合登板だ。あと366試合。「見えそうで遠い。ここからの1年がどれだけ大変か分かるから。でもそれを目指すのがモチベーション。だから疲れていても心が折れない」と前を向いた。
「心の中ではめちゃくちゃうれしくても外に出さないのがポリシー」。そう語る宮西は、お立ち台で喜びを爆発させることはなかった。次の目標を問われると「もちろん301ホールドを目指して頑張ります」とクールに即答。いつも通り淡々と仕事をこなす頼もしい鉄腕がそこにいた。
■祝福の声
○栗山英樹監督
「すごい記録。野球の試合が読めて、相手の気持ちが分かっているし、体にいろんな問題が起こって普通だったら投げられない状況でもかなり投げてくれた。ただただ感謝しかない」
○木田優夫投手チーフコーチ
「厳しい場面で抑え続けているのはすごいと思う。ああいう展開になったら宮西がいるのは強み。今日も助けてもらった」
○金子弌大投手
「300ホールド達成の場にいるだけでもすごいのに、その試合に投げられて光栄です。どんなことがあっても動じない、ランナーがいてもいなくても変わらないすごさを感じます」
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)
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