昨季リーグ4位だったオリックス。上位進出に向けた「投」の課題は左の先発不足だろう。松葉貴大投手は3勝12敗に終わり、山崎福也投手も苦しんでいる状況。右腕に比べ、若い左の枚数はなかなか揃わない。
しかし、そんなチーム状況を救う左のゴールデンルーキーが入団してきた。JR東日本出身のドラフト1位・田嶋大樹投手だ。
「社会のことを何も知らない」から、高卒ではプロに進まなかった
田嶋投手は、栃木県出身の21歳。佐野日大高校時代は、しなやかなフォームから繰り出す最速145キロの直球とキレのあるスライダーを武器に、エースナンバーを付けて活躍。3年春の選抜ではベスト4に入り、その時点ですでにドラフト上位指名がささやかれていた。
しかし、プロの道には進まず、社会人野球チームに入ることを自ら選択。理由は「基礎体力や技術の不足」、そして「社会のことを何も知らない。礼儀も勉強したい」というもので、そこからも当時18歳の少年らしからぬ思慮深さがうかがえる。
2018年は必ず10勝以上して、新人王
田嶋投手は2015年にJR東日本に入社し、プロ解禁となる3年後に向けて新たなスタートを切ると、名門チームで1年目から主力を務めた。エースとなった2016年には、フォームの安定感が増したことでコントロールに磨きがかかり、直球の最速も152キロにまで成長する。
ドラフト解禁年となった2017年は打ち込まれる試合が目立ったものの、徐々に調子を上げ、夏の都市対抗野球では2試合連続完封勝利。さらに、秋の第28回「BFAアジア選手権」に社会人代表として出場すると、決勝で5回無失点と好投し、MVPに選ばれている。
そして、「アマチュアナンバーワン左腕」として迎えた2017年ドラフトでは、2球団競合の末、オリックスへ入団。新入団会見では「長く野球ができて勝てる投手になりたい」「来年(2018年)は必ず10勝以上して、新人王に向けて頑張っていきたい」と頼もしく語った。
「坂道」を駆け上がり、チームを救う左腕に
現在行われている宮崎キャンプでは一軍に帯同し、連日ブルペン入り。2月8日には初めてシート打撃に登板すると、若手打者を相手に49球を投げ、安打性の当たりは7本だった。
「憧れの選手も、真似をした選手もいない」という田嶋投手。会見やインタビューにおいては常に緊張した面持ちで、まだまだ初々しさの抜けきらない21歳だが、周囲の声に流されない芯を持った若者だという印象を受ける。
また、アイドルグループ・乃木坂46、欅坂46のファンであることを公言。青濤館入寮の際は彼女たちのグッズを持参したり、けやき坂46の「ひらがなポーズ」を披露したりと、年相応の一面ものぞかせる。ホームゲームでは登場曲にも注目したいところだ。
山岡泰輔投手、山本由伸投手など、楽しみな若手が台頭しているオリックス投手陣。その力と、一度火が着けば止まらない打線とをかみ合わせ、パ・リーグの台風の目となれるか。開幕まで1カ月半。待望の左のエース候補のルーキーイヤーに、今から期待が高まる。
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