全国の捕手ファンに見てほしい
埼玉西武キャンプの全体練習終了後は、全国の捕手ファンお待ちかねの時間だ。
2月3日午後2時半ごろ、炭谷銀仁朗選手と岡田雅利選手の「個別強化練習」が開始した。埼玉西武キャンプではお馴染みの、過酷を極める捕手強化練習である。
まずは秋元バッテリーコーチの内野ノックから。2人は大きな声を出しながらゴロをさばき、足腰をいじめ抜く。彼らの立派な下半身はこうして作られていくのだ。弊害としては、ウエストが合っていても腿からが苦しいため、ボトムのサイズに難儀するらしい。
基本的な反復練習と太ももは裏切らない
続いてバント処理練習。基本的で単調な動きを入念に確かめる。岡田選手は、炭谷選手に対して数多く向けられるカメラのシャッター音が、自分に対しては聞こえないことに抗議の声を上げていた。
次にブロッキング練習。これは手前でバウンドした球を、「身体で止めて前に落とす」動きを繰り返す。このように捕手が身を挺しているおかげで、投手は思い切ってえげつない変化球を投げられるのだ。女房役とはよく言ったものである。
防具を外した後は、地獄の股割り。秋元コーチが一定のテンポで投げる球を、屈んだ状態で前後左右に体重を移動させたり、交互に足を出したり、スクワットしたりしながら受け取る。炭谷選手は終始涼しい顔でこなした。そのたくましい太ももは必見である。
大阪桐蔭「トリオ」じゃなくて「カルテット」
水分補給を挟み、爪先立ちで「段階的な」空気椅子。腰と膝の位置を段階的に変えながら、決められた時間、止まっていなければならない。ここでも炭谷選手はさすがだった。
うまくできなかった岡田選手は、空気椅子状態で1分間固まる追加メニューを課された。一度は秋元コーチに終了までのカウントをお願いしたが、「あと50秒」と言われた直後に「やっぱりやめてください」と前言撤回。何とか時間まで耐え抜き、観衆の拍手を浴びた。
埼玉西武の捕手王国は過酷な練習が支えている
その後、岡田選手がコーチとのじゃんけんに勝ち、さらなるしごきは免除。日が傾きかけたころ、個別練習は終了した。最後まで周囲の笑いを誘いつつ、道具を持って引き上げる37の背中はフォトジェニックだった。
朝から全体練習に加わり、打撃練習に励み、ブルペンで投手の球を受け、その後に個別強化練習。捕手の練習メニューは過酷だ。しかしだからこそ、彼らは高いレベルでポジションを争える。地獄の個別強化練習の中に、埼玉西武の捕手王国の秘密を垣間見た。
記事提供: