昨季まで3年連続で全143試合出場もオープン戦はベンチスタート目立つ
「#今年の千葉ロッテは打線が違う」――。3月のオープン戦日程が記されたポスターに、新加入のブランドン・レアード内野手、ケニス・バルガス内野手とともに、大きくプリントされているフレーズだ。千葉ロッテはその言葉の通り、石垣島キャンプからオープン戦でいくつものポジションで激しいチーム競争が生まれている。井口監督も「チームに厚み、体力もついてきた」と、ここまでのチーム状態に十分な手応えを感じている。
注目のドラフト1位ルーキー・藤原恭大外野手をはじめとする外野手の争いも注目だが、内野では昨年までキャプテンを務め、今年から選手会長となった鈴木大地内野手の起用法がはっきりしていない。昨年守っていた三塁にレアードが加入したことで、このオープン戦では代打やイニング途中の守備からなど、途中からの出場が多くなっているのだ。
昨季まで3年連続全143試合出場し、昨季は打率.266、8本塁打、49打点、8盗塁。プロ2年目からレギュラーに定着した29歳はベンチスタートに難しさを感じているようだ。
「やはり難しいですね。代打もそうですが、守備からも代走も。早くそのゲームの流れ、雰囲気にしっかり乗らなきゃって思うので、だから最初入っていく難しさをすごく感じています」
途中出場でもベストを出せるように。「事前の準備や取り組みは特に変えてない」というが、“攻め”の姿勢を崩さないようにしているという。
「とにかく何か体を動かしたり声を出したり、必要以上に動いておこうと思っています。普通に待っていたら後手後手に回りそうな気がするので、自分から仕掛けられるように声を出したりとか、ボールが飛んできてもいいように投球間も体を動かしたりしています」
21日の阪神戦(ZOZOマリン)では4試合ぶりにスタメン出場を果たし、3打数1安打。ここまで27打数9安打、打率.333と結果を残している。
「チーム内競争を勝ち抜くという一人ひとりの意識が個々のパフォーマンス向上にもつながると思いますし、チーム力も上がり、勝利につながると思っています。途中出場もそうなんですが、今まで経験できていなかったことを、このオープン戦で考えたり、経験できているので、すごく自分にはプラスになると思います」
すべてを前向きに捉えている。21日の千葉市内で行われた出陣式では「最高の1年に」と色紙に記した。
「正直、どういう1年になるかわかりません。ただ、秋が終わった時に最高だったなと思えるように、1日1日を大切に。そして、元気を出して1年間、野球をやりたいと思います」
オープン戦は残り2試合。アピールできる時間も残りわずかだ。
「最後の最後まで、スタート(スタメン)で出ることは諦めていない。そのために結果も必要だと思っています。途中出場の1打席、2打席、もしくは守備のみなのかはわからないですが、開幕前の集大成なので、オフから、キャンプ、オープン戦とここまでやってきたことを全力で出していきたいと思います。たとえ、やってきたことを出せなくても、しっかり自分というものを持って、しっかり前を向いて、へこたれないで。もちろん腐らないでやっていかなきゃいけない」
どのような形であっても最高の1年に。キャプテンという肩書きはなくなったが、チームの精神的支柱は、どのような状況でも変わらず、しっかり前を向いている。
(岩国誠 / Makoto Iwakuni)
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