先日7月15・16日に行われた「マツダオールスターゲーム2016」は、まさに北海道日本ハム・大谷翔平選手のための試合となった。1戦目は試合前の「ホームランダービー」で勝利し、2戦目は5番DHで出場して左中間へのホームランを含む3安打でMVP。一時は出場が危ぶまれたものの、投手として選出されながら野手として主役の座に躍り出るという離れ業を、「二刀流」はやってのけた。
もちろん投手としても見る者の想像を超える活躍を見せ続けているが、今年は5試合連続ホームラン、そして前代未聞の投手による先頭打者ホームランを記録するなど、やはり今まで以上に野手としての活躍にも注目が集まる。体がよじれんばかりのフルスイング、逆方向へのホームラン、そして積極果敢な走塁。野手としての魅力も、十分に持ち合わせている。
この状況に対して、他球団としては何としても大谷選手の勢いを止めなければ、勝利のチャンスは見えてこない。「大谷ヲ包囲セヨ」は、他球団のミッションでもある。では「打者・大谷」が苦手とするのは誰か。通算成績で7打席以上の対戦をした投手たちの中から、「大谷キラー」をピックアップしてみると、その傾向が見えてきた。
【「打者・大谷」が苦手とする投手たち】
<楽天・則本昂大投手>
7打席 7打数 1安打 3三振 対戦打率.143
<埼玉西武・十亀剣投手>
27打席 23打数 4安打 9三振 対戦打率.174
<千葉ロッテ・大谷智久投手>
11打席 11打数 2安打 3三振 対戦打率.182
<千葉ロッテ・西野勇士投手>
7打席 7打数 0安打 1三振 対戦打率.000
<オリックス・佐藤達也投手>
7打席 5打数 0安打 2三振 対戦打率.000
<オリックス・平野佳寿投手>
10打席 10打数 1安打 4三振 対戦打率.100
<福岡ソフトバンク・バンデンハーク投手>
9打席 9打数 1安打 5三振 対戦打率.111
<福岡ソフトバンク・中田賢一投手>
9打席 6打数 1安打 4三振 対戦打率.167
<福岡ソフトバンク・サファテ投手>
7打席 7打数 0安打 5三振 対戦打率.000
※成績はいずれも7月17日時点。
そろった中で共通するのは、いずれも右腕、そして140キロ台後半から150キロ台前半をマークするストレートを持つ投手たち。中でも西野投手、平野佳投手、中田投手、サファテ投手においては、ストレートとフォークの組み合わせで三振を重ねるという共通項がある。大谷選手はストレートとフォークに加えてスライダー、カーブも随所に組み合わせるが、「右投げの速球派、フォークが得意球」という、同じようなタイプの投手を苦手としている傾向があると言える。
また前回、「投手・大谷」が苦手としているのも長谷川勇也選手、松田宣浩選手、中村晃選手といった福岡ソフトバンク勢がそろっていたが、「打者」としても中田投手、バンデンハーク投手、サファテ投手という福岡ソフトバンク勢が並ぶ結果に。やはり大谷選手のさらなる進化には、「福岡ソフトバンク攻略」が鍵となりそうだ。
無敵と思われる大谷選手にも、やはり苦手な相手はいる。しかしながら、驚くべき速度で進化を続けてきた大谷選手だけに、すぐさまポイントを修正して対応してくることも十分ありうる。その一方で、それを上回るスピードで他球団が新たな弱点を見付けることもあるだろう。包囲の末の「確保」か、包囲網突破か。大谷選手と「大谷キラー」たちのつばぜり合いも見逃してはならない。
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