ケガを乗り越えた2人の「高橋」投手が、来季の埼玉西武投手陣の空席を埋める

パ・リーグ インサイト 吉田貴

2017.12.31(日) 00:00

今季は「投」「守」が劇的に改善し、自慢の「打」がさらに破壊力を増したことで、念願のAクラスに返り咲いた埼玉西武。ただ、先発陣・救援陣のいずれにおいても絶対的な存在がおらず、ぽっかりと空いたポジションが依然として残されているのも事実である。来季は、その空席を埋めるに相応しい投手として、2人の「高橋」投手に期待を寄せたい。

まず1人目の「高橋」投手は、来季4年目を迎える若獅子・高橋光成投手。今季の埼玉西武先発陣は、最多勝と最優秀防御率の二冠に輝いたエース・菊池雄星投手がけん引していた。しかし菊池投手に次ぐ11勝を挙げた右腕・野上亮磨投手が、今オフFAで巨人に移籍したため、絶対的な「右投手」が不在になる。高橋光投手には、その空席を埋めるだけの活躍を期待しないわけにはいかない。

高橋光投手の持ち味は、約190センチの長身から投げ下ろす最速154キロの速球と、落差の大きいフォークだ。プロ1年目の2015年には、両リーグ通じて史上最年少となる18歳6カ月で月間MVPを獲得し、西口文也氏の引退試合ではその青いグラブを継承するなど、かねてよりエースとして将来を嘱望されていた存在でもある。

今季はなかなか調子の波に乗れず、怪我で長く戦線離脱を余儀なくされる苦しいシーズンとなった。しかし、一軍復帰後初登板となった9月24日のオリックス戦では、6回2失点(自責点1)の好投で勝利投手となる。オフはオーストラリア・ウィンターリーグで武者修行に励んでおり、巻き返しに向けた気合は充分だ。エース候補の真価が問われる来季は、どのような姿を見せてくれるか。菊池投手とともに左右のエースとなれば、チームの10年ぶりのリーグ優勝もグッと近づいてくることだろう。

続いて、埼玉西武が誇る左腕・高橋朋己投手。今季のブルペン陣は牧田和久投手や増田達至投手などの実力派はもちろん、野田昇吾投手や平井克典投手などの新しい顔ぶれも加わり、ここ数年でもトップクラスの安定感を誇っていた。しかし今オフ、シュリッター投手が退団。牧田投手もメジャーへの移籍が確実となり、再構築を余儀なくされている状況だ。そんな中、再び高橋朋投手の左腕にかかる期待は大きい。

高橋朋投手はプロ2年目の2014年に守護神に抜擢されると、63試合に登板して29セーブをマークする。翌年も怪我に見舞われながらも62試合に登板したが、2016年の前半に左肘を故障。長期間のリハビリを必要とするトミー・ジョン手術に踏み切り、復帰に向けて長く苦しい日々を過ごしていた。

しかし、今年10月1日の北海道日本ハム戦で530日ぶりの一軍復帰を果たすと、いきなり最終回を無失点で締める好投。直球も最速145キロをマークし、かつての守護神の復活をファンに印象付けた。試合後に「ファンの皆さんの『おかえり』という声がうれしかった」と語った左腕は、来季も緊迫した試合終盤に安心感をもたらしてくれることだろう。

2人の「高橋」投手に共通しているのは、怪我によって投げられない期間が長かったことだ。それだけに、一軍のマウンドで投げる意味の大きさは誰よりも知っている。来季は、先発の高橋光投手が試合を作り、高橋朋投手が締める「高橋リレー」で、ひとつでも多くの勝利をたぐり寄せてほしいものだ。

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パ・リーグ インサイト 吉田貴

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