現役1位は巨人上原、NPB時代のダルビッシュは驚異の数字…安定感を示す「WHIP」

Full-Count 広尾晃

2019.3.11(月) 11:37

2012年から活躍の場をNPBからMLBに移したシカゴ・カブスのダルビッシュ有※写真提供:Full-Count(写真:Getty Images)
2012年から活躍の場をNPBからMLBに移したシカゴ・カブスのダルビッシュ有※写真提供:Full-Count(写真:Getty Images)

歴代10傑は名投手が並ぶ、現役では上原が唯一のランクイン

 WHIP(Walks plus Hits per Inning Pitched)は、投手の能力を示すセイバーメトリクス系の指標。1イニング当たりに許した安打、四球の走者数だ。

 数式は(被安打+与四球)÷投球回数。数値が小さいほうが優秀。1980年代に考案され、MLBでは公式記録になっている。WHIPは、被安打が少なく制球力が良い投手の数値が良くなる。投手の安定感を示す数値であり、WHIPが1.0を割ると非常に優秀とされる。

 しかし、近年、WHIPは「運」の所産とされる「被安打」の占める割合が大きいため、信頼性を疑問視する声も一部にある。

 防御率など投手の「率」の数字は、NPBでは2000投球回以上の投手でランキングしているが、現役では2人しか該当しないのでWHIPは1500回以上の投手のランキングとする。1500回以上は178人いる。

◯NPB通算WHIP10傑 ()は実働期間 所属があるのは現役

1 村山実 WHIP0.95(1959-1972)3050回1/3
2 野口二郎 WHIP0.96(1939-1953)3447回1/3
3 大友工 WHIP0.97(1949-1960)1591回2/3
4 稲尾和久 WHIP0.989(1956-1969)3599回
5 杉浦忠 WHIP0.993(1958-1970)2413回1/3
6 上原浩治(巨) WHIP1.008(1999-2018)1583回2/3
7 藤本英雄 WHIP1.010(1942-1955)2628回1/3
8 土橋正幸 WHIP1.02(1955-1967)2518回1/3
9 江夏豊 WHIP1.025(1967-1984)3196回
10 小山正明 WHIP1.030(1953-1973)4899回

 昭和30~40年代、阪神のエースとして活躍した村山が1位。続いて戦前からの大投手・野口、さらに巨人の技巧派エースの大友、西鉄の稲尾、南海の杉浦と続く。そうそうたる顔ぶれだ。

 1.0を割る投手は5人だが、6位には現役の上原浩治が続く。上原は昭和の大投手に迫る優秀な数字。平成に入って与四球率は上がっている中で、抜群の制球力で異彩を放っている。

NPB時代のダルビッシュは1.0以下、巨人菅野も優秀な数字

◯現役投手WHIP10傑 1500回以上 /は通算の順位。

1/6 上原浩治(巨) WHIP1.01(1999-2018)1583回2/3
2/22 岸孝之(楽) WHIP1.09(2007-2018)1856回1/3
3/41 成瀬善久(オ) WHIP1.129(2006-2017)1548回
4/45 和田毅(ソ) WHIP1.134(2003-2017)1654回2/3
5/49 金子弌大(日) WHIP1.14(2006-2018)1825回2/3
6/77 岩隈久志(巨) WHIP1.20(2001-2011)1541回
7/79 能見篤史(神) WHIP1.21(2005-2018)1648回1/3
8/87 メッセンジャー(神) WHIP1.222(2010-2018)1527回1/3
9/91 内海哲也(西) WHIP1.227(2004-2018)1969回
10/119 涌井秀章(ロ) WHIP1.26(2005-2018)2211回2/3

 上原がずば抜けているが、岸、成瀬、和田、金子らWHIPが1.1台の投手も優秀だといえるだろう。WHIPの数値が小さい投手は失点のリスクが低く、長いイニングを投げることができる。現役最多勝の東京ヤクルト石川はWHIP1.27で11位/歴代129位だ。

◯MLBで活躍するNPB出身先発投手のNPB時代のWHIP

ダルビッシュ有(カブス) WHIP0.98(2005-2011)1268回1/3
田中将大(ヤンキース) WHIP1.11(2007-2013)1315回
前田健太(ドジャース) WHIP1.05(2008-2015)1509回2/3
菊池雄星(マリナーズ) WHIP1.17(2006-2018)1010回2/3
大谷翔平(エンゼルス) WHIP1.04(2013-2017)543回

 ダルビッシュは北海道日本ハム時代、被安打が少なく、WHIPの数値は1.0以下と極めて優秀だった。

◯1500回未満の現役の主要投手のWHIP

菅野智之(巨) WHIP1.02(2013-2018)1086回1/3
大瀬良大地(広) WHIP1.21(2014-2018)609回2/3
千賀滉大(ソ) WHIP1.11(2012-2018)559回
則本昂大(楽) WHIP1.15(2013-2018)1128回1/3

 2年連続沢村賞の巨人菅野は、WHIPも優秀だ。現在の投手を見るうえでもWHIPは有効だといえよう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

記事提供:Full-Count

記事提供:

Full-Count 広尾晃

この記事をシェア

  • X
  • Facebook
  • LINE