「田中幸雄」以来の投打のヒーローになれるか。オリックスに誕生した2人の「すずきこうへい」

パ・リーグ インサイト 望月遼太

今秋のドラフト。オリックスは日立製作所の鈴木康平投手を2位で指名した。社会人出身の速球派投手として即戦力の期待がかかるが、この名前に聞き覚えがあるファンは少なくないだろう。オリックスにはすでに「すずきこうへい」選手が在籍しているのだから。

「先輩」の鈴木昂平内野手は、東海大菅生高校、東海大学、三菱重工名古屋を経て、2015年にドラフト7位でオリックスに入団。1年目となる2016年に開幕一軍入りを果たし、主に守備要員として45試合に出場した。今季は出場試合数を72試合に増やしており、チーム内における自らの居場所を確保しつつある。プロ2年間で10安打、打率.133、出塁率.145と課題は明確だが、内野のポジション争いに割って入るチャンスはあるはず。持ち前の高い守備力とユーティリティ性を武器に、3年目となる来季は飛躍のシーズンとしてほしい。

一方「後輩」となる鈴木康平投手は、千葉明徳高校、国際武道大学、日立製作所を経てプロ入りした。球団スカウトが「最速151キロの角度あるストレートが武器。完投能力もあり、1年目からローテーションに入りフル回転の期待がかかる選手」と太鼓判を押す23歳だ。

先述の鈴木昂選手と名前の読みが被ることに加え、チームの主砲・T-岡田選手にあやかり、「K-鈴木」という登録名で来季を迎えることになる。「自分のイニシャルのKと三振のKを合わせました」とのことで、「登録名にKがあるので奪三振王を目指して、チームの勝利に貢献できるように頑張っていきたいです」と抱負を語った。

かつて、日本ハムには「田中幸雄」という選手が2人在籍していた時期があった。それぞれ「オオユキ」「コユキ」というあだ名で呼ばれ、スコアボードの表記が「田中幸」「田中雄」という珍しい表記になることでも話題となったが、「オオユキ」こと投手の田中幸雄氏は1985年にノーヒットノーランを達成し、「コユキ」こと野手の田中幸雄氏は1995年に打点王に輝き、2007年には2000本安打を達成。両選手ともにチームの主力として活躍し、球史に名を残している。

今年オリックスに誕生した2人の「すずきこうへい」選手のポジションは、偶然にも「田中幸雄」氏と同じく投打に分かれている。鈴木昂選手とK-鈴木投手はかつての名選手たちと同じように、記録にも記憶にも残る名コンビとなれるだろうか。ともに大学と社会人を経て、プロの舞台で飛躍を期する2人に要注目だ。

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パ・リーグ インサイト 望月遼太

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