杉内俊哉が平成以降デビューで唯一2点台、現役1位は涌井…防御率ランキング

Full-Count 広尾晃

2019.3.8(金) 14:44

千葉ロッテ・涌井秀章※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)
千葉ロッテ・涌井秀章※写真提供:Full-Count(写真:荒川祐史)

防御率は最も古い記録の一つ、歴代トップ10には名投手がズラリ

 防御率は、打率などとともに野球草創期のアメリカで、ヘンリー・チャドウィックによって案出された最も古い記録の一つだ。投手の優秀さを示す基本的な数字とされる。

 防御率とは、投手が9回完投した際に、自責点を何点奪われるかという数字だ。

○NPB歴代防御率10傑 ()は実働期間

1 藤本英雄 1.90(1942-1955)
2 野口二郎 1.96(1939-1952)
3 稲尾和久 1.98(1956-1969)
4 若林忠志 1.99(1936-1953)
5 スタルヒン 2.088(1936-1955)
6 村山実 2.092(1959-1972)
7 別所毅彦 2.18(1942-1960)
8 荒巻淳 2.230(1950-1962)
9 杉下茂 2.232(1949-1961)
10 金田正一 2.34(1950-1969)

 昭和の大投手がずらっと並んでいる。全員が野球殿堂入りしている。防御率は投手の実力に加えて、リーグの投打バランスに大きく左右される。1位の藤本、2位の野口は使用球が粗悪になり、極端な投高打低が進んだ戦前、終戦直後に投げていた投手だ。平成の投手は1人も含まれていない。

 NPBの防御率は「2000投球回以上」でランキングしている。しかし先発、救援の分業が進み、ローテーションが確立された平成以降では、そもそも2000投球回まで投げる投手が少なくなっている。現役投手で2000投球回に到達しているのは2人しかいない。

黒田氏や三浦氏も…平成以降でデビューした投手の防御率ランキングは?

○現役防御率ランキング(2000投球回以上)
1 涌井秀章(ロ)3.46(2005-2018)
2 石川雅規(ヤ)3.87(2002-2018)

 2000投球回以上は89人いるが、千葉ロッテの涌井は歴代66位、東京ヤクルトの石川は85位だ。打高の時代の投手だけに、防御率は良くない。

 今季中に2000投球回に到達する可能性があるのは、以下の3人だ。

内海哲也(西)1969回 あと31回 防御率3.21
岸孝之(楽)1856回1/3 あと143回2/3 防御率3.00
金子弌大(日)1825回2/3 あと174回1/3 防御率2.96

 しかし彼らを含めても5人しかいない。

○平成以降でデビューした投手の防御率ランキング(2000投球回以上。/はNPB歴代での順位)

1/33 杉内俊哉 2.95(2002-2015)
2/66 涌井秀章 3.46(2005-2018)
3/71 黒田博樹 3.55(1997-2016)
4/73 佐々岡真司 3.58(1990-2007)
5/74 三浦大輔 3.59(1992-2016)
6/77 石井一久 3.63(1992-2013)
7/81 小宮山悟 3.71(1990-2009)
8/82 西口文也 3.73(1995-2015)
9/85 石川雅規 3.87(2002-2018)

 歴代100位以内に9人。1位は昨年限りで引退した杉内。通算防御率は唯一2点台だったが、それでも通算では33位だ。平成に入ってから、NPBのトップクラスの投手は1000投球回前後でMLBに移籍するのが一つのルートになったこともあって、今後も防御率ランキングの上位は変わりそうにない。

 防御率ランキングは、投球回数を下げるか、平成と昭和で分けるなど、別の基準を設けるべきではないかと思われる。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

記事提供:Full-Count

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